私の連続3周野宿の旅のハチャメチャ珍道中を連載中!

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■3章:遍路3周目■深まる絆

            4. 追われる身の私の隠れ家は家族のような仲間達だった

 

DAY81-1

 

私は、最御崎寺下のお堂のある場所に張ったテントの中で目覚めた。

昨夜、わりと遅くまでしゅんちゃんと話していたのでゆっくり目の朝だ。

テントから出て、ゴソゴソしていると、しゅんちゃんも起きだしてきた。

 

しゅんちゃん「おはよう!Noisy!」

私「おはよう!しゅんちゃん!」

 

まだまだしゅんちゃんと遊んでいたい気持ちでいっぱいなのだが、高ちゃんの49日に間に合わせたいのもあるし、何より、あまりゆっくりしていては、3周目の早い段階でせっちゃんが迫って来てしまう。

そんなジレンマに苛まれながら、迫りくるであろうせっちゃんの事が気がかりで、そそくさとテントを片付けていると、しゅんちゃんもゆっくりと支度をしている。

しゅんちゃんは、人懐こく愛らしくて、とても優しいから言葉にトゲもなく、何より、幼稚園の時の友達のような感覚で遊べるので一緒に居ると楽しいのだ。

先へ早く進まなければと焦る私もありつつ、まだ正直、しゅんちゃんと遊んでいたい気持ちでいると、それを察するかのようにしゅんちゃんが、声をかけて来る。

 

しゅんちゃん「え!?Noisy!まだ行かないよね?」

 

どうやら、しゅんちゃんも私に旅立ってほしくないようだ。

 

私「まあ、準備できたら行こうかと思ってたけど、どうした?」

しゅんちゃん「え!?折角、室戸岬にいるんだから、一緒に散歩していくでしょ?」

 

確かに、遍路ばかりして前に進んできたから、少し観光も兼ねてゆっくりするのもいいかと思い、答える。

 

私「散歩!?いいねえ!行こうか!」

しゅんちゃん「ああ、よかった!やっぱり、行くよね!」

 

しゅんちゃんと私は、下の道路まで降りて行き、私の荷物を自転車にセットして、しゅんちゃんの荷物も一緒にそこへ置いておいた。

しゅんちゃんと海岸線に設置されている遊歩道を歩きだした。

今日は、少し雲があるものの晴れている。

高知の南国の風に吹かれながら、大きな太平洋を眺めつつ二人で話しながら歩く。

 

私「いや~!しゅんちゃん!やっぱ、高知は暖かいねえ!」

しゅんちゃん「そうだよね!でも、僕は、逆打ちでずっと高知を歩いて来たから、ずっと暖かかったんだよね。愛媛にいた時は、まだ温かい時季だったから、まだ暖かかったけど、本当は、高知以外はもう随分寒くなって来てるから、僕がこの後、徳島にたどり着いてから、寒いだろうね。」

私「うん。寒いと思うよ。だって、ここに来る前まで既に夜は肌寒かったもん!」

しゅんちゃん「そうだよねえ。僕もこの後、お遍路を早く終わらないと本気で寒くなってしまうね。」

私「そうだね。あああああーーー!!ちょっとーーーー!!しゅんちゃん!」

しゅんちゃん「え!!??なになになに!?」

私「これ見てーーーー!!!」

 

私は、まだ咲き誇っているハイビスカスを指さした。

 

私「ちょっとー!もう、11月も中盤に差し掛かろうかと言うのに、まだハイビスカス咲いてるよー!」

しゅんちゃん「ああ!ほんとだー!いやー!高知は、南国だねえ!」

私「ここだけ、季節が2か月は違うね!」

 

 

しゅんちゃんも私も、余りにもお名残惜しすぎるのか、当てもなくずっとブラブラしながら、話し込んでいると、とうとうお昼になってしまった。流石に今夜の寝床も日暮れまでに確保しなければいけないし、この先の事を思うとそろそろ出発しないわけにはいかなかった。

 

私「しゅんちゃん、お昼だね。そろそろ出発しないとまずいよね。しゅんちゃんも。」

しゅんちゃん「あ、Noisy、一緒に何か食べて行くよね?」

 

しゅんちゃんもお名残惜しいのだろう。

引き伸ばしてみたところで、私は順打ち、しゅんちゃんは逆打ちだ。

どうやってもここで別れるしかないのだ。

 

私「そうだね。じゃあ、一緒にご飯を食べてから出発って事にしようか。」

しゅんちゃん「ああ、よかった!そうしよう!」

 

私は、少しでも前に進んでおかなければいけない焦りもありながら、この人懐こいしゅんちゃんとの楽しい時間も終わってほしくなく、一緒にご飯を食べに行くことにした。

二人で自転車の所まで戻り、荷物と自転車を回収する。

 

私「どうする?」

しゅんちゃん「あ、ここから1キロ程戻ったとこにレストランあったよね?あそこは?」

私「そうだね。他に見覚えがないからそこにしよう!」

 

二人で、レストラン明星まで私は自転車を押しながら一緒に歩いて行く。

レストラン明星は、太平洋の真ん前に立つ、ホテル明星内にあるレストランだ。

中へ入ると、少し古びた食堂感が否めないのだが、太平洋を目前に眺められる空間は、中々居心地がいい。

 

私「わあ!しゅんちゃん!海が見えていいね!」

しゅんちゃん「そうだねえ!Noisy!」

 

私は、から揚げ定食を注文すると、しゅんちゃんも定食を注文し、楽しく話しながら食べる。

食べ終わると1時になっていた。

迫って来るであろうせっちゃんの事もだが、いい加減に出発しないと、今夜の寝床を日暮れまでに探せない。

余りにもお名残惜しいけど、ここは、気合を入れて出発しなければと思っていると、それを察するかのようにしゅんちゃんが話しかける。

 

しゅんちゃん「ねえ、Noisy。折角だから、食後にコーヒー飲んでいくでしょ?」

 

そうなのだ。

私だけではないのだ。

結局、しゅんちゃんもお名残惜しすぎて、少しでもこの楽しい時間を引き伸ばしたいのだろう。

当然、しゅんちゃんも歩き遍路をしているから、今夜の寝床の確保もあり、焦っていないわけではないはずだ。

 

私「そうだよね。コーヒーくらいいっか!ははは!じゃあ、たのもうよ!」

 

私達は、コーヒーを二つ注文して、話を続ける。

 

私「私は、戸田君と勝さんに会うから、明日までに高知市内の光明庵にたどり着かなくちゃいけないくて、ここからは、150キロくらいあると思うんだよね。」

しゅんちゃん「そうだねえ。」

私「だから、お寺を打ちながら、しかも、高知の寺って山の上にある所が多いから、1日で光明庵に行くのは無理だから、今日、少しでも進んでおかないと明日がまずいよね。」

しゅんちゃん「そうだねえ。」

私「まあ、しゅんちゃんも一緒に行けると楽しいんだけど、流石に今歩いてきた道を150キロも戻るってないしね。」

しゅんちゃん「でも、僕はあ、ゆっくり旅をしてるし、一緒に行ってもいいかなあ。」

私「え!?しゅんちゃん!150キロも戻ることになるんだよ!?」

しゅんちゃん「でも、僕もNoisyと一緒に行きたいかな。」

私「えええ!?逆打ちしてる人が、更に逆打ち?」

しゅんちゃん「うん。逆打ちの逆打ち。ははは!」

私「じゃあ、しゅんちゃん、今日の寝床は、しゅんちゃんが歩いて戻れるギリギリの所にしようか?その間に私は、金剛頂寺とか山の上のお寺を打ってくるから。」

 

しゅんちゃんは、一緒に行けることになったのがとても嬉しそうだ。

 

しゅんちゃん「そうだね!2日で150キロは歩けないけど、ここから30キロ程戻れば、奈半利ってとこから電車に乗って高知市内まで行けるんだよね。」

私「ほう!そうなんだ!」

しゅんちゃん「うん。だから、奈半利まで歩ければ、そこから電車で明日には高知に着けるよ!」

私「じゃあ、しゅんちゃん。今日はもう、1時過ぎだから、あまり距離的に進めないけど、明日の奈半利駅までの事を考えて、少しでも歩いておいた方がいいと思うから、今日、しゅんちゃんがこれから歩いて戻れる調度いい今夜の寝床ある?」

しゅんちゃん「う~ん。それなら、12キロ程先にキラメッセって道の駅があるから、そこがいいかな?真っすぐそこまで行けば、12キロくらいだから、これからの時間でも十分歩けるから!」

私「そう!それじゃあ、今夜はキラメッセに泊まろうか!そうすれば、明日、私は90キロ強走らなくちゃいけないけど、可能ではあるから、しゅんちゃんとも光明庵でまた再会できるね!なんか、お名残惜しすぎるって思ってたから、よかったよ!」

しゅんちゃん「うん!実は僕もお名残惜しくて、このまま先に行けないなと思ってから。ははは!」

私「そっか!そうと決まったら、早速、出発しよう!私は、途中で金剛頂寺の山の寺を打って来るよ!それでキラメッセに行く前に、自転車だし、しゅんちゃんより行動範囲が広いから、途中で今夜の総菜を買い込んでおいてあげるから!ビールも買っとくよ!」

しゅんちゃん「ありがとう!あ!飲み物は、僕、焼酎を持ってるからいらないよ!」

私「わかった!」

 

こうして、150キロも歩いて折角高知市内から室戸までやって来たしゅんちゃんは、もう一度途中まで歩いて高知市内へと私と戻ることになったのでした。

しゅんちゃんと私は、早速お店を出て、別れを告げた。

 

私「それじゃあ、しゅんちゃん、後でね!頑張って歩いて!」

しゅんちゃん「うん!僕は、ゆっくり歩いてるから!キラメッセで!」

 

私は、歩き始めたしゅんちゃんに大きく手を振って、自転車を漕ぎ始め、1時半に出発した。

昨日、25番津照寺を打っているので、そこへは寄らなくていい。

 

そうかあ。

キラメッセなら、26番金剛頂寺の麓を少し過ぎた辺りにあるから、一旦キラメッセへ行って、荷物を置いて行こう!

 

自転車は、荷物が重いと上りがきつい。

だから、少々距離が伸びても置いて行った方がいいと判断したのだ。

私は、最初の15分程、身体を温めるようにダラダラと走り、調子が出てきた所で自分のトップスピードに乗せて走る。

今日は、寝床も決まっているし、何より、野宿を共にする友達も一緒かと思うと楽しみで待ち遠しい。

しゅんちゃんにパワーをもらいながら、私はキラメッセをひたすら目指して走っていると、ふと携帯電話がなっているのに気付いたので走りながら取り出して確認してみると、非通知電話だった。

きっと、沢村さんが公衆電話からかけて来ているに違いない。

沢村さんは、相変わらず、私を探しているのだろうか?

 

つづく・・・   

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