■3章:遍路3周目■深まる絆

             3. 一難去ってまた一難

 

DAY76-3

 

私「博士・・・。強姦とは違うんだよ。」

博士「え?違う?」

私「うん。その人が言ってる女の子ってのは、私の事だろうし。」

博士「実は・・・。そうや・・・。だから・・・心配になって今日、来てみたんや。」

私「ああ。やっぱりそうだったんだね。ありがとう。でも、違うんだよね。」

博士「違う?」

私「うん。確かにゴンちゃんが、強引に自分の気持ちをぶつけて来るから、押し問答になって力尽くで自分の方へ引き寄せようとして、私が暴れたんだよ。」

 

博士は黙って聞いている。

 

私「それで・・・ゴンちゃんの力が強すぎて、中々逃れることが出来なくて、揉み合いになって。それで、力の限りに暴れてたから、多分、私たちのやり取りだけを声で聞いたら西川さんには、そういう風に聞こえたかもね。」

博士「そうやったんや・・・。」

私「うん。だから、強姦は違うんだけど、ただ、私は友達でいたいだけなのに通じなくて。」

博士「うん・・・。」

私「それで、昨日は、ゴンちゃんの殺気を感じてたから、飲んでる時に博士に帰って欲しくなくて。」

博士「手を机の下で引っ張ったから、なんかあるから居ってほしいんやと思ったんや。それで・・・。」

私「うん。そう。」

博士「でも・・・帰ってしまったから・・・。」

 

博士は自分が限界に達して帰ってしまったことを申し訳なく思い、後悔している風でもある。

 

私「いや、博士が悪いわけじゃないから。」

博士「いや。俺は、それも気になっとったんや!俺が昨日帰ってしまった後にこんな事があったって、今日、この話を聞かされて・・・。」

私「本当に。博士のせいじゃないよ。遅かれ早かれ、いつかこうなるはずだったんだと思うしね。それに、別にゴンちゃんも嫌いじゃないのに、こんな状況ならゴンちゃんを遠ざけないといけないのかなと思うと、今日は、残念だなあと思ってて。それでなんか気分も上がってこないなと思ってたら、博士が来てくれたから。むしろ、ありがとうだよね。」

博士「そう・・・言ってくれるなら、ホッとした。」

私「まあね。私もゴンちゃんとの距離を縮めたらいけないなとは思ってたんだよね。でも、だからこそ、ゴンちゃんは、私に近寄れなくて、逆に昨日の夜のようになったのかもね。」

博士「で、どうするん?」

私「それは、ゴンちゃん次第だね。ゴンちゃんが、友達のようにできるなら、私は何も変わらないよ。それに、昨日の夜も、ゴンちゃんに最後、そう言ったから。友達でいられるなら、昨日の事は忘れてやるって。」

博士「う~ん・・・。」

私「でも、なんか今日は、吐き出せてよかったよ!博士、ありがとう!」

博士「俺は、なんで、帰ってしまったんや。帰って欲しくないって合図も送られて来とったのに思って・・・。なんで、対人恐怖症なんや?って・・・。なんで、限界になってしまうんや?って・・・。」

私「ほんと、博士のせいじゃないからー!もーー!そんなに責めないでよー!ありがとうって言ってるのにー!」

博士「それやったらいいんや。」

私「うん。いいんだよ。博士。ありがとう。」

博士「俺は・・・。でも・・・。」

私「ん?」

博士「手をつないだだけで、子供ができると本気で思っとるから・・・。」

私「えーーーー!!んなわけないでしょうがあーーー!!ははは!!」

博士「いや!本気で思っとるんや!」

私「もーーーー!!博士はーーー!!」

博士「いや、これは、真剣に考えてる事や!誰になんと言われようとも!」

私「もー、いいわーー!博士はー!」

博士「やから、手も繋いだらいかんのや!」

 

博士は、実際、病気でさえなければ、中々モテそうなのだけど、対人恐怖症でもあるし、人と接することが怖いから、これまで彼女さえいなかったのだろう。本気で言っている以外の何物でもなかった。

 

私「じゃあ、博士といれば、安心だね。」

博士「そうや!」

 

とは言ってみたのだが、元々私は、その空気も既に読み取っていたから、博士といると気持ちが落ち着くところもあったのだ。

でも、こうやって博士が心配してくれてわざわざやって来てくれたことは、嬉しかった。

自分の事も責めていたなんて、対人恐怖症でもあるから、こんな事で悪化しても欲しくないし、博士がわざわざやって来て、話してくれてよかったと思った。

 

私「だから、私は、大丈夫だよ。まあ、西川さんはどう思ってるか知らないけど、博士にも誰にも言わないでって言ってたって事は、きっとこれ以上、誰かが話さなければ広まらない話だろうし、それに事実はちょっと違うし、後は、ゴンちゃん次第で、私も忘れてやると言ってるんだから、問題は大きくはならないと思うよ。」

博士「俺は、心配やったから聞いただけで、西川さんが話したくて話したわけやないんや。」

私「そう。それじゃあ、後はゴンちゃん次第だね。」

 

実際、この話は、この後これ以上、大きくはならなかったし、何処かでその噂が流れていると言うのも全く耳にもしなかった。それに、私がこの話をしたのは、この博士に話して以来、今回、このお遍路話を書くまで誰にも私の口から話をすることは二度となかった。

 

博士「そしたら、そろそろ帰るよ。」

私「うん。ほんと、来てくれてありがとう!また、帰ってきたら、うどん行こうね!」

博士「うん。また行きたいところがあったら電話して。書き留めておくから。」

 

博士は、帰って行った。

私は、博士に聞いてもらって、すっきりした。

本当に、心の底から。

人に残念な思いをさせられても、またその気持ちを癒してくれるのも、人なんだと思った。

 

もう、これで一体、私がゴンちゃんに対して、どう思っているかはゴンちゃんもよく理解できただろうし、これまでだって、これからだって、私は変わることはない。後は、ゴンちゃんが前に向いてくれることを待つだけだ。

心の底から、気持ちがリセットされ、またどんどんパワーがみなぎって行くのを感じる。

 

よーし!!

今度こそ!!

自転車で走って走って走る抜く、3周目だ!!

 

DAY77-1

 

今日は、11月4日、晴れ。

朝、民宿あずさで目覚めた私は、私の晴れ晴れとした心を表すかのような快晴だ!

よーっし!

今日は、走るぞー!

 

 

準備を済ませ、朝10時にチェックアウトして、昨日打ち残している、直ぐ近くの80番国分寺へと向かう。

2周目の終わりごろに考えた、「遍路後の私の行き先を教えてくれ。」なのだけど、それも心にちゃんととめて、2周目の途中からお願いしているので、このまま残り3周目終了までお願いしてみよう!

まあ、1周目の願い事が、せっちゃんも私も奇跡的に叶ったとは言え、そううまくは行かないだろうけど。

国分寺でお参りを済ませ、清々しい気持ちで、まずは体を温めるようにダラダラと10分程度漕いで、調子の出た所で自分のトップスピードにのせて走り出した!

昨日の続きの83番一宮寺を打ち、84番屋島へと向かう。

 

どうしようかな?

屋島はケーブルカーで上へ上がれるけど・・・。

ケーブルカーがなんか楽しかったから、今回もケーブルカーに乗ろう!

 

そう決めて、屋島のケーブルカーの駅手前で、上りに差し掛かる。

大した坂ではないのだが、上りは上り。

今の私は、この坂道を難なく淡々と超えて、ケーブルカーの麓駅に到着すると、見たことあるバイクが止まっていた。

 

私「あ!」

バイク「あ!マントラで会いましたねえ!」

 

つづく・・・   

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