■2章:遍路2周目■映画のような話は実際起こる
1. 付き人との遍路珍道中
私「あ、ごめん!」
ムロムロ「なんか、毎日楽しそうだね!で、昨日言ってた、あのうるさいって言ってた人は、なんなの?」
私は、沢村さんとの流れを話して聞かせた。
ムロムロ「へえ~~!付き人さんがいるんだ!ははは!!そんな話、聞いたことないよ~!でも、Noisyには、付いて行きたいって思っちゃうんだと思う。わかるもん!僕も、そう思うよ!」
私「そう?」
ムロムロ「だって、足摺岬で会った時、いきなりフレンドリーで、すっごい楽しかったから、実は、僕、全然帰りたくなかったもん!あ~、もっと話したかったな~って。それであの後、電話して僕もバイクで追いかけて中村市まで行ってみようかなって考えたもんね。だって、バイク遍路だったから、あっという間に終わってしまうってのもあるけど、その僕のバイク遍路旅の一番のクライマックスは、Noisyと会ったところだから。」
私「ははは!じゃあ、今日ようやくその続きが話せたね!」
ムロムロ「そう言えば、足摺岬で会った時、調度、大量殺人事件中だったでしょ?あれは、どうなったの?」
私「あ~~!!そうそう!いきなり、会った時その話したよね!」
ムロムロ「そうそう。だから、Noisy無事に中村まで帰れるのかな~?そんな状態でって心配してたんだよね。」
私「ありがとう!あの時は、止血剤飲んだから大丈夫だったんだけど、健康と殺人事件が治るようにお祈りしながら1周したんだけど、なんと!結願したら、治ったのよ~!」
ムロムロ「ええええ!!??止血剤では、治らないって言ってたのに!それって、奇跡のお利益~~!?すっご~~~い!」
私「ね。凄いでしょ。私もびっくりよ。」
ムロムロ「え~~!僕も、自転車でお遍路しようかな~~!!?」
私「え?大量殺人事件治すために?」
ムロムロ「はははは!!僕は、大量殺人事件になりようがないよね~!ははは!!」
こうやって延々と二人で盛り上がり、ムロムロのアパートへ到着した時には既に夜中の2時になっていた。
ムロムロは狭いアパートで申し訳ないと言いながら、布団を敷いてくれ、遍路を離れた心地よさと今日一日の楽しさで心から気を抜いてゆっくりと寝た。
最初の1周目の終わり頃に気付いてはいたものの、「お遍路をずっと続ける事は、楽しい反面、心の負担でもある。」と言う事をそろそろ噛みしめて来る時期でもあった。
DAY66-1
朝、ムロムロのアパートで目覚めて、まだ眠そうなムロムロに別れを告げる。
私「あ、ムロムロ、まだ寝てていいよ!私は、付き人と待ち合わせがあるから行かなきゃいけなくて、もう行くけど。それじゃあ、ありがとう!」
ムロムロ「あ!楽しかったよ!」
私「私も!あ!お接待で泊めてもらったから、いらないかもだけど、私のお札をあげる!」
ムロムロ「うわあ!ありがとう!また高知に来たら寄ってね!」
私は、ムロムロのアパートを出て、8時にコンビニへ行ってみると、沢村さんがいない。
あれだけ念押しで「携帯電話を持っていないから、8時には必ずいるようにと念押しをしておいたのに。
私としては、日本人的にきっちりしていなくても、別に気にも留めないのだけど、今日は念押しをしておいた事と、沢村さんが携帯電話を持っていない事で、10分待てばいい事なのか、半日待たなければいけないのかがさっぱりわからない。ましてやお互いに家の近所での出来事ではなく出先なのだ。
それに、自転車も何もかも軽トラにあるので沢村さんが来るまで何もできない。
あれ程、念を押したのに・・・。
30分程、コンビニの前ですることもなく待っていると、沢村さんが慌てたように軽トラで入って来た。
私「おい!ごるぁあああ~~~~!8時に来とけって言っただろ~~~!!」
沢村さん「ひゃああ~~~~!いや、あれがなんちゃらかんちゃらで、どうのこうのやったきん、なんちゃらこうちゃら、あ~のこ~ので!」
訳の分からない、結局、何だったのかさえもわからない言い訳を並べ立てていた。
私「もういい!沢村さん、行こう!」
沢村タクシーに乗り込み、別格5番大善寺へ向けて早速出発する。
私「ねえ、沢村さん、昨日の夜は何をやっていたの?」
沢村さん「昨日は、なんちゃらかんちゃらで、どうちゃらこうちゃらだったんでね、ちょっと行かないかんとこがあって、ピーチクパーチクだったんですよ。」
え?
私には、さっぱり、この人が一体どこで何をしたのかわからなかった。
要するに何処にも行く所がなく、何の用事もなく、何をしていたのかさえも重要ではなかったのだろう。
私「あ、沢村さん。昨日、戸田君から電話があって。今日、戸田君とアサヒ健康ランドで夕方5時頃待ち合わせってことになったから。」
沢村さん「あ、それやったら間に合うよ。今日、足摺岬の金剛福寺も打って、延光寺の後に5時までに行けるきん。」
私「そう。」
高知市内で足止めをくらって以来8日目でようやく高知市内を抜ける。
別格5番の大善寺の駐車場に到着してみると、すぐにお堂が見えたので、楽勝と思いきや、そちらは大師堂だった。
沢村さん「Noisy!本堂は、上にあるきん、階段を上がらないかんよ。」
私「ああ、そうんなんだ。変わってるね。」
鍛え上げられたこの私の体は、この上りの階段を喜んでいる。
沢村さんも一段飛ばしでひょいひょいと上って行く。
上に到着してみると、太平洋が見渡せ、快晴の秋の空と広がる太平洋の眺めは素晴らしかった。
お参りをしながらふと思う。
ああ、そう言えば、お願い事を考えていないけど、何にしよう?
う~ん・・・。
何?
まあ、その内みつかるでしょう。
お参りを済ませ、狭い境内をうろついていると、沢村ラジオがしきりになり始める。
沢村ラジオ「ここにボケ封じの観音様がいるんですよ。それでね、そこのゴンドラでここに上がってこれるんやけど、なんちゃらかんちゃらで、ピーチクパーチク。」
私「え?ボケ封じ?」
沢村ラジオ「え?あ、ボケ封じの観音様が、どうたらこうたら、なんたらかんたら。」
ああ。モリモリが言っていた「ボケ封じ」を周るとは、ここのお寺にも来るって事なのかと思ったりした。
階段を下り、下の大師堂をお参りする。
また沢村タクシーで次の37番岩本寺へと向かう。
当然、沢村ラジオは、大混線しながら延々と続き、話が一人で白熱するか、道中の説明であれば、車の流れではなく、自分の話の流れに合わせて時々速度が落ちる。
沢村さん「それでね、梅雨時期にお遍路をしたことがあるんですよ。いや~!毎日、雨!ずっと雨!1か月雨!1か月同じところから、動けんかったんやきん。いや~!まいったわあ~!なんで1か月も!なんぼなんでも、1か月はないわあ~!それで、またあの焼坂、久礼坂が大変で、なんちゃらかんちゃらなんですよ。それでね、あ!Noisy、そこに水が出るところがあるんですよ。ほら、そこそこ。」
そう言って、速度が落ちる。
私は後続車をミラーで確認すると、沢村渋滞が半端ない。
私「ちょっと!沢村さん!話はいいから!早く行って!」
沢村さん「あ~!!わかっとるきん!」
そう言って、必要以上に真剣な顔をして速度を上げたかと思ったら、また直ぐに混線ラジオは始まった。
延々とこの調子で37番岩本寺へ行き、お参りをしている間だけ、まるで子分のように斜め後ろに控えて静かにしている。
また軽トラに戻って来ると、沢村大混線ラジオは直ぐに始まる。
私「次は、足摺岬の金剛福寺だけど、ちょっとでも自転車に乗りたいから、帰りは金剛福寺から水車まで走るから。」
沢村さん「ああ、ええよ。今日は、アサヒ健康ランドまでなら自転車で行っても間に合うきん。」
いや・・・。
沢村さんの混線ラジオの速度だと、平坦地なら私が自転車で走るのとあまり大差はないのだけどとこっそり思う。
沢村ラジオ「いやあ~、それで軽トラで家から出かけて、帰って来る時に電柱にぶつけたんですよ。それで、どうにもならんから、なんちゃらかんちゃら、どうのこうの。」
私「え?なんて?電柱にぶつけてどうしたって?」
沢村ラジオ「いやあ、電柱にぶつけて動かんようになって、どうしょうもないから置いて歩いて帰ったら、近所の人があそこに車がある言うてオヤジとお袋に、もう言うとったんですよ。それでね、は~、えっらい怒られて。で、近所の人が、なんちゃらかんちゃら、どうちゃらこうちゃらで、ほんまに、あそこのバカ息子は言うてね、なんちゃらかんちゃらでね、それであそこの松本さんは、どうのこうのなんですよ。で、その隣に松山さんって家があって、そこの親戚が田中さんって言うて、その人がまた、なんとかかんとかでね。で、そこの息子が兄貴と同級生やきん、どうのこうので。」
沢村ラジオの近所のどうでもいい話は、なりやみそうにはなかった。
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