■2章:遍路2周目■映画のような話は実際起こる

                1. 付き人との遍路珍道中

 

DAY64-3

 

私「そうなんだ。色々抱えて周っている人も沢山いるみたいだから。」

 

問わず語りなので私はあえて聞かない。

 

青年「実は・・・。」

私「うん。」

青年「僕は、結婚問題で周ってるんですよ。」

私「え?結婚問題?」

 

きっと彼は見た所25歳くらいだろう。

調度、誰でも結婚に悩む年齢ではあるだろうけど、そんな大問題なんかあるのか?と不思議になった。

そもそも私自体、日本の結婚は、男尊女卑の状況がなくならない限り、絶対に結婚などしたくなかったし、結婚する人に「おめでとう。」とは言うものの、実際は、「ああ。この人も人生終わったわ・・・。可哀想。」くらいに思っている所があったので、どうやったら結婚が問題になるのか話を聞いてみないとわからないと思った。

大体、世に言う「嫁・姑問題」などにしても、結婚しなければ、起こりようがないのだから。

 

青年「僕は、今、結婚したい女性がいるんですよ。」

私「ほうほう。」

青年「それでね、結婚したいと言ったら親に反対されて。」

 

この青年は、私が何を聞かずとも、とにかく聞いてもらいたいのだろう。

自ら身を乗り出して、時々ため息をつきながら苦悩した顔で話を続ける。

 

青年「で、僕の親は、さっき話した通り、有名な大きなお寺の住職じゃないですか。」

私「うん。」

青年「その女性が外国籍の人なんですよ。それで反対されて。普通の家ならよかったんですけど、家が代々続く大きなお寺の息子なんでね、日本人じゃないと駄目だと言うんですよ。」

私「へ~。大変だねえ。ってか、面倒くさいんですけど。」

青年「ね?そう思うでしょ?面倒くさいって。」

私「すっごい思うね。そんなの放っておいて、結婚しちゃえばいいんじゃない?いつかわかってもらえるかもよ?そんなに悩むくらいなら。」

青年「いや、それが・・・。」

私「え?まだ何かあるの?」

青年「多分、僕がどんどん押し切れば、親もやっぱり自分の息子なんでね、わかってくれそうな気もするんですけど、大問題はそこじゃないんですよ。」

私「え?それ以外に問題ある?」

青年「うちは大きなお寺だから、檀家さん達が代々凄い数の凄い人達が色々いるんですよ。」

私「ほう。」

青年「それでね、その檀家さん達の反対にあったら、どうしても結婚はできないんです。それでうちの親もその檀家さん達の圧力にあって、賛成したくても反対せざるを得ないところなんですよ。」

私「きゃああああ!!!マジか~~~!面倒くせ~~~!!もう、駆け落ちだね!」

 

 

青年「あ。やっぱり?・・・。やっぱり、駆け落ちしかないですか?」

私「だって、どうしてもその人と結婚したいんでしょ?」

青年「はい。」

私「その人は、この人生でもう出会えないだろうってくらい素敵なんでしょ?」

青年「はい。そうなんです。」

私「でもねえ、一つだけ気を付けた方がいいよ。」

青年「え?なんです?」

私「だってね。今、反対されている逆境にあるわけでしょ。」

青年「はい。」

私「その逆境にある時って、余計に燃えるんだと思う。好きは好きなんだろうけど、その人に恋すると言うよりもこの逆境の中で自分が悲劇の人になっていて、ダメと言われれば余計に燃える。だから、意外にもこの逆境が取り除かれてしまった時に、その女性と結婚したいと思わなくなるかもしれないしね。」

青年「え?そんなことってありますかね?」

私「あり得ると言ってるんだよ。絶対とは言わない。そうなったとしても、それでもその人が大切なら、やっぱ本物なんじゃない?」

青年「いや。僕は本物だと思ってるんで。」

私「でも、今の状況のままでは結婚できないんでしょ?」

青年「できないです。」

私「でも、その人とどうしても結婚したいんでしょ?」

青年「はい。したいです。」

私「じゃあ、駆け落ちだよ。」

青年「やっぱり、駆け落ちですか?」

私「だって、それくらいの覚悟がなきゃ、この状況を乗り越えるのは無理じゃない?」

青年「そうなんですよね~。」

私「だって、自分の人生だよ?どうせ、親も檀家さん達も皆死ぬんだよ?一応、順番で言えばあちら様が先に。それで、残される順番は、あなたの方が後に残るんだよ?必ずとは言えないけど。で、その人達の守りたいものを守って、あの人達が死んだ後に、あなたには何が残るの?有名なお寺?ふん!私には、そんなものはいらないなって思うけどね。」

青年「そうですよね~~!!やっぱり、そうですよね~~~!」

 

青年の顔が少し明るくなる。

 

青年「あなたは、結婚しないんですか?」

私「え?私に聞く?あのねえ、私、結婚自体が吐き気をもよおしそうな程、絶対にしたくないから。」

青年「え?したくないんですか?僕はしたいって言うのに。」

私「そうよ!私は、そう言う、家同士の結婚だの女を物のように扱うだの、「嫁」とか呼ばれるのを想像するだけでも寒気がするよ。私は、「○○家の嫁」じゃなくって、「Noisy様だ!」って思うもんね。正直。」

青年「世の中に結婚したくないって思っている女性がいるんですね。え~!そんな人もいるんだ!」

私「そうよ!だから、私に結婚問題なんて起こりようがないもん。だから、あんたも結婚したくない!って私のように思えば、今のような結婚問題は絶対に起こりようがないよ。」

青年「はははは!確かに~~~!なんだか、Noisyさんと話してると、ぶっとんでますけど元気になりますね。」

私「じゃあ、こうやって自分の結婚問題について考えながらお遍路を周ってるってことなんだね。」

青年「そうです。じゃあ、もし、Noisyさんが結婚をしたいとして、僕の状況に陥ったとしたら、Noisyさんならどうします?」

私「私は、即効出て行くね。檀家さん達とも確実に今後、縁なんかいらないよね。」

青年「そんな縁を切ってしまってもいいものでしょうか?」

私「な~に言ってんの?だって、考えても見てよ。対面体裁を取り繕うだけで、あなたの幸せをまず考えてくれるような人達ではないんだよ?それって、必要なの?全然いらないよ。自分の幸せを考えてくれるようなもっと良い世界はどこか別の所にあるはずだよ。でも、そこへ自分がまず飛び出していかない限り、状況は一緒だよね。」

青年「そうかあ・・・。僕はそれが中々できないから、こうやってずっと悩んで・・・。でも、親はどうします?」

私「まあ、親は親だから、時々連絡はするかもだけど、私の事だから出て行くにしても、はっきりと「自分はこうします!」って宣言して出て行くかな。まあ、取っ組み合いの大喧嘩になるだろうけど。でも、最終的には、自分のやっていることを理解してもらいたいから。やっぱ、家族に理解されないって辛いし。」

青年「取っ組み合いの大喧嘩かあ・・・。」

私「だって、向こうも本気なら、こっちも本気よ!そうやって本気で闘ったことなら、いつか必ず理解してもらえるはずだし、いや、理解してくれなくても諦めてくれる?だろうし、何より自分がのちに後悔しないと思うから。私、後悔したくないもんね。だから、私今まで、その時々で自分なりに真剣に考えて答えを出して、例え父さんと取っ組み合いの大喧嘩になっても進んできたから、何にも後悔が本当にないんだよね。やっぱり、人に嘘をつくのも嫌だけど、仮にそれができたとしても、決して嘘をついてはいけないのは自分自身だと思うんだ。自分に嘘をついたら、自分が行き詰まるだけだから。」

青年「そうか・・・。自分に嘘をつく・・・。」

私「だって、そうでしょ?反対されているからって、じゃあ、彼女と別れて周りを丸く収めても、自分は収まらないよ。自分の殻の中で破滅まっしぐらだよね。」

青年「確かに・・・。そうするのは、苦しいですよね。」

私「で、駆け落ちすんの?」

青年「う~ん・・・。まだ、答えは出ないですね。遍路を周りながら考えます。ところで、あなたは何で遍路を周られてるんですか?」

 

どうやらこの青年も、自分が悩み事を抱えて周っているから、私もそうなのだろうと言った様子で質問をした。

正直、「問わず語りですよ~!聞かないで~!」と思った。

 

私「ああ。私は、まあ、何って言われても、旅って言うか・・・。」

 

と、答えがないままフェイドアウトしていると、やはり自分の結婚問題が気になるのか、直ぐに話はそちらへと戻って行った。

こんな話をしていると夜になり、お互い、寝袋を出して眠りにつく。

私は、また寝袋の中で思った。

 

こうやって真剣に悩んでお遍路を周っている青年もいる。

私は、楽しい旅をしているのだ。

そんな私がやっぱり、お遍路でいてもいいのだろうか?

自分の遍路としての存在意義に疑問を持ち続けているものの、やはりそれに対する答えなどこの時はでなかった。

つづく・・・   

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