舘野泉さんが弾かれるカッチーニのアヴェ・マリアは吉松隆さんが自身の編曲を更に左手のために再度編曲したもののようだが、舘野さんが演奏されるこの曲を一度でも聞いてしまうと他のものがすべて過剰に思えてどうにも仕方ない。昔のこと、バードのミサ曲の4声を聴きなれたところに初めて3声を聴いたときのショックに近い。不必要なものがどんどん剥ぎ取られていった処に残る美しさと申せましょうか。


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