古代カルタゴとローマ展 | Art and The City

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アートホリック(中毒)なcatnoelのつれづれ日記

古代カルタゴとローマ展~きらめく地中海文明の至宝@大丸ミュージアム・東京



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http://www.karutago-roma.jp/top.html


海&トリノのエジプト2展が終わったら今度はローマとカルタゴ! と言わんばかりに、古代ロマンを掻き立てられる展覧会も続きます。西美ではローマ帝国、大丸ではローマと対峙した地中海の女王カルタゴ。カルタゴ遺跡群からの出土品と世界一のモザイクコレクションを誇るチュニジア国立博物館群の名品160点余の展示です。


カルタゴといえばハンニバル、ポエニ戦争という固有名詞は浮かんできても、実際にはどういう国家だったのかという知識はほとんど持ち合わせていない私。だいたい塩野七生ファンと自称してるのに「ローマ人の物語」は1巻目で挫折してハンニバル戦記まで辿りついていないという体たらくなので...(汗)

カルタゴの歴史はポエニ戦争前後で大別される。ポエニ戦争で最終的にスキピオ率いるローマが勝利をおさめ、カルタゴを心底恐れていたローマはカルタゴの都市を徹底的に破壊し、生き残った住民は全て奴隷にされたとか。しかし100年後にはローマ帝国の植民都市として再建。ローマ、アレキサンドリアに次ぐ帝国第三の都市として再び繁栄した。展覧会の構成もその流れで2部構成となっていました。残念ながらリストはなし。以下印象に残ったメモ。


第一章:地中海の女王カルタゴ


哺乳瓶型容器:ディズニー映画のミセスポットみたいに、顔が描かれて吸い口が鼻になっている容器があって可愛い。


有翼女性神官の石棺(前3C):


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説明文にはフェニキア、ギリシア、エジプトの文化の融合を示すとあったが、確かに様々な要素が結集したような不思議な雰囲気の像。下半身を覆う翼が神秘的。右手には鳩を持っている。 他にも墓碑がいくつか出ていたが、火葬も行っていたようでミイラのエジプトとは明らかに違う宗教&風習。その割にはエジプト産の神々も信仰されていたというのだから興味深い。説明にもあったが「女神タニトの印」は明らかにエジプトのアンクと類似している。


鎧(前3~2C):


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ハンニバル軍と関連するとも言われる鎧だそう。中央には兜をつけた女神ミネルヴァ。ひと目みてヴェルサーチの柄を思い出したが、そのヴェルサーチは日本撤退だそうで...(哀)


シチリアの顔型陶器そっくりな容器もあったし、やはり地中海文化圏というのは底流で繋がっているということが感じられる。


第二章:ローマに生きるカルタゴ


ローマ時代といえばモザイク、というわけで後半の見どころはずらりと並ぶモザイク画。日本ではなかなかローマ時代のモザイクを見ることができないので貴重な機会。私はモザイク好きなのでこの空間はとても楽しかった。モロッコやシチリアやナポリで見たモザイクを思い出す。真ん中にベンチもあったのでゆっくりと眺められるのがよろしかった(笑) 美女が花を撒き散らしているのもあれば、象に大蛇が巻きついて締め殺そうとしていたり、リアルな狩の情景もあったりと、いろいろな図柄が面白い。こんな贅沢な床の浴室を使っていたなんて、羨ましいというかなんと言うか。若冲のタイル画を作らせたプライス氏も真っ青な浴室である(笑)


なお一番巨大なモザイク画「地中海の島々と都市」が展覧会の会期中、六本木・テレビ朝日本社1階アトリウムにて無料で一般公開中。さすがに大丸には入らなかったのね...


それにしても、もともとのカルタゴが完膚なきまでに滅ぼされても、そこで文化は滅びなかったのだろうかと興味がつのる。植民地化とは江戸城を皇居としたようなものだったのか、新しくお台場にビルを建てるようなものだったのか...


大丸内の飲食店でも展覧会にちなんだメニューを発売中。イノダコーヒーの「カルタゴセット」に惹かれて行ってみたものの、待ち列凄かったのであきらめました(笑)