やっとアマゾンポイントが1000円分ほど貯まったのでこの機会に買いました。
本屋に行くのがめんどくさかったんじゃないからねっ ヽ(`Д´)ノ

で、奇しくもアマゾンの同作品レビュー第一号を投稿したので
その下書きがてらここにも記しておくと共に、
書ききれなかったものをつらつらと書きなぐります。
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まー 既にこの 新装版 に関しては記事にしてるので
興味のある方はこちらもどうぞ。
→ 【平行植物】 新装版表紙に感動した
→ 関連サイト 平行植物園
今回のレビューは新装版という事で中身は同じなので困ったねー。
あまりくどくど内容について書くものなんだし・・・。
そもそもどういった人がこの新装版に興味を示すのか

そんな観点で 「平行植物」 に興味を持ち始めた初心者向けと
すでに知っていて他版の本も持っているがどうしようと考えてる人向けに考えてみました。
ーーー
→ 『平行植物 新装版』 カスタマーレビュー
★★★★★ 言葉によって存在を得た植物達が再び・・ by キノコ紳士
最初に書いておくが、この「新装版」はすでにいくつかある「平行植物」と内容は同じだ。
だから既に本著の過去版を持っている人には無用と言えるだろう。
しかして、もし新たに「平行植物」に触れようとしているなら即買いだし、
古いファンならばコレクターズアイテムとして購入するのもいい。
なにより程よい大きさ(217×138)でしっかりした紙質、少し古臭さを感じさせる字体はいい味を出している本だ。
私は印刷には疎いが、それでもあえてこうした固い装丁デザインをとってるところに工作舎のこだわりが見えて面白い。
巻頭にイラストが納められているが、本著の本体はほとんど文章のみである。
いくつかの章に分かれてとある植物についての研究報告といった形で様々な検証がなされ、
時に伝承や伝聞、註釈のような文体が続くので、それなりの読解力が必要な点だけはご注意を。
また、今回はじめて『幻想の博物誌』という帯コピーが付いたのも、世界がやっと彼の作品に追いついた感がある。
今までは「奇書」と呼ばれていた本著だが、現代においては「仮想世界の存在」はさして珍しい事では無くなっているからだ。
ネットメディアを通じて拡散する「情報」は共有された時点で「人面犬」のような居ないけども居るかのような存在感を手に入れる。
映画・漫画・アニメでは様々な架空の存在や設定が日々造られている。
当時のレオーニにとっては文学界の異端とも言うべき冒険だった本作は現代ではもう「奇書」では無いのかも知れない。
1999年に亡くなった彼が今のネット社会で創作活動してたら・・あまり目立たなかったのかもしれない。
まあ、そんな想像を巡らすほどに本著は時代を先取りしていたのかもと言える。
さて、この作家と本著の内容に関しては旧作のレビューでも見られるのだが・・。
新規にこの本を買おうか悩んでいる諸氏に対しての後押しという意味で少し触れておこう。
レオ・レオーニ(Leo Lionni:1910)はオランダ生まれの絵本作家として知られている。
イタリアに住んでいた頃にはファシスト政権のあおりをくらって(ユダヤ系とみられ)アメリカへの亡命を余儀なくされた。
アメリカでは新聞の美術担当の仕事などをし、この頃に『あおくんときいろちゃん Little Blue and Little Yellow』で絵本作家デビューをする。
後にイタリアに帰り、多くの絵本を手がけると共に、この「平行植物」を記した。
なので、絵本作家・イラストレーターとしての職歴が長い氏にとってこの本は珍しい作品なのだ。
「平行植物」という想像上の存在をなんのきっかけで思いついたのかは知るべくもないが、
彼が絵本で培った子供の想像力という切り込みに強く魅かれていた要素が多いのは想像に難くない。
「言葉」によって夢の存在を浮き上がらせるという手法が彼にこの植物達を書かせたのだろう。
イラスト・文章・伝承・伝聞、冒険譚、ソレらを道具に在りえざる物に命を与えたかったのだろう。
そして、それは成功して・・・東の果ての国で翻訳され人気を得ている。
レオーニもきっと生い茂る平行植物の葉の蔭で喜んでいるに違いない。
そうそう、ちなみにその「和訳」の功績も大きい事を指摘しておこう。
「タダノトッキ」「ユビスマシ」など聞いただけでイメージが想起される語感には脱帽だ。
このセンスある翻訳があってこその本著の日本での人気がある訳だ。
さあ、最後に繰り返そう。
初めて本著に触れるならば買って損はなし、あなたの好奇心をきっと満たすだろう。
古きファンなら本棚に加えても満足できる一品である。
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長げぇっっ~~ ( ̄ロ ̄:)

レビューというのは簡潔にだなあ・・・・って自分でつっこみました。
ごめんなさい アマゾンさん

いやしかし、どうこの魅力を伝えたかいいかはとても悩む。
こうした 幻想博物誌ジャンル にまったく無関係な人が興味を持つことはないだろうが
すでに 『鼻行類』 を読んだ事のある人にとっては同じに見られるのも癪だし。
鼻行類 は極めて学術書然といった書き方でかなり生物学的なアプローチなのだが・・。
平行植物 は植物(?)そのものではなく、その存在を示唆する周辺事情から入る。
基本設定からして 「保存不可能」 であり 「不可視」 という一部設定から
記録や伝承の中にだけ存在するものとして描かれている訳だ。
そう、レオーニは植物(?)の解説をしたかったのではなく、
『言葉』 の中だけに存在し、『言葉が実在』 となる過程を示したかったのだろう。
そういった曖昧なニュアンスを楽しめるかどうかが本著の肝なのだ。
最近のゲームや漫画・アニメなどの 設定集や解説本 に見られる
緻密な世界観と背景設定、リアルな検証記事は
現代の 『平行植物』 であると思う。
私は 「クトゥルー神話」 も同類のような気がして仕方ない。
レオーニ が ラブクラフト を知ってたかは分からないが
かのコズミックホラーの拡張してゆく背景設定はとても似た印象を受ける。
他の作家やファンが 妄想を形と為す 作業という点において
レオーニがしたかった 架空の存在の証明 は創作活動として市民権を得たのである。
レビューの中で書いた
『また、今回はじめて『幻想の博物誌』という帯コピーが付いたのも、
世界がやっと彼の作品に追いついた感がある』
っという部分がそれを語っている。
一昔前だったら 「幻想博物誌」 という表現が一般に通じたろうか?
現代において仮想も現実も、その存在感は極めて近しい所に歩み寄っているのだ。
レオーニがネット社会に生きていたら・・・・と思うと、私はとても残念な気持ちになる。
もっとすごい作品が出来たろうという思いと、
実は数多のネット上妄想系に埋もれて陽の目を見なかったかもという思い。
正に時代の悪戯、才能は早く生まれても理解されないし、遅ければ変人扱い。
彼はいいタイミングで 「平行植物」 を書く事ができたのだ。
そんなこんなで・・・・
もし君が 「平行植物」でググってここへたどり着いた のなら、
この 『平行植物 新装版』 は大いにお奨めする。
本としては少し値段はするがその価値はあると言っておこう。
想像の塀の向こうに住むカエル を見るが如く、文章の間から彼の存在を見るがよい。
そして君も 平行植物神話 の紡ぎ手となるのだ シャキーン(`・ω・´)

END
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