論語知らずの論語塾8~孔子の伝え方 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。



今月の論語知らずの論語塾(5月24日)は、

これまででいちばん多い16人が参加。

この塾は、論語のロの字も知らなくても、

途中からでも、休み休みでも気軽に参加出来る。

それは、ひとえに安岡定子塾長の明朗な性格、

わかりやすい解説によるところが多い。


きょうは、孔子の「伝え方」について教わった。

たまたま、先日、

お坊さんたちの前で「伝え方」の話をしてきたところだったので、

興味深かった。

孔子は、多くの人から「政治とはなんぞや」と質問を受けた。

相手に応じて、答え方を変えた。

同じように答えても、相手に伝わらなくてはしかたないから。

佳き人材が国を作るという信念があったから、「人としてのありよう」を説いた。


君主には「君君たり、臣臣たり、父父たり、子子たり

~それぞれが自分に相応しいことをすればいいのだ。分をわきまえる。

重臣Aには「政は正なり

~政治は不正をただすこと。

重臣Bに「悪いことをしたら死刑にして、いい人物登用したらいかが?」と

問われ、悪い人間も更生出来る余地があると説いた上で、

君子の徳は風なり。小人の徳は草なり

~上に立つものがいい風を吹かせたら、草はなびく。


地方長官には「近きもの説べ(よろこべ)ば、遠きもの来たる」。

~何が何でも人口を増やすことばかり考えず、いまいる民が幸せならば、

遠くからおのずと人が来てくれる。

弟子の子路には「倦むことなかれ」。

~周囲を見てよく働く民をねぎらうのが大切。

 それを飽きずにコツコツ重ねていくのが大切。

弟子の子貢には「食を足し、兵を足し、民之を信にす

~食・軍備・信の3つが揃って政。

  この3つのうちどれか捨てるなら軍備。さらにもう1つ捨てるなら食。

  信がいちばん大切。「民、信無くんば立たず

弟子の子張には「之に居りて、倦むこと無く、之を行うに忠を以てす

~自分に与えられた地位で、あきることなく続けること。

  まごころを忘れてはならない。


ことばの引き出しの多い人だ。しかも具体的。

だから、人の心に届いたのだろう。

だから、弟子たちが後世の人に伝えたことばが決して古びることなく、

二千五百年たったいまも、燦然と輝いているのだろう。