金子みすゞのふるさと、山口県長門市仙崎を訪ねてきた。
ボクがNHK山口放送局に着任した昭和57(1982)年、
奇しくも、大正時代の幻の童謡詩人、金子みすゞが再発見された。
ずいぶん番組やニュースで取り上げた。
みすゞの弟、上山正祐さんと、みすゞの娘の上村ふさえさんと、
みすゞの墓参りもしたことがある。
「王子山公園」に歌碑が出来たとき、その除幕式も取材した。
以来34年、つかずはなれずのつきあいをしてきたが、
3月に、みすゞの話をする機会を得て、また身近に感じるようになった。
2003年に完成した記念館に行ったことがなかったので、
久しぶりに仙崎を訪ねてみることにした。
記念館の主任、草場睦弘さんは、その当時からの知己だ。
草場さんに案内してもらい、
みすゞゆかりの場所、みすゞが見たであろう風景を見てまわった。
ボクが最近は『この道』に惹かれているというと、
詩に詠まれている榎がある場所に誘われた。
みすゞが通っていた大津高等女学校(現・長門高校)へ通う道すがら、
蓮池の傍らに一本榎がスクッと立っている。
しばし、その情景を眺めながら、この道を行けないみすゞの心境に
想いを馳せた。
このみちのさきには、
大きな森があろうよ。
ひとりぼっちの榎よ、
このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、
大きな海があろうよ。
はす池のかえろよ、
このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、
大きな都があろうよ。
さびしそうなかかしよ、
このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、
なにかなにかあろうよ。
みんなでみんなで行こうよ、
このみちをゆこうよ。