「食」という字は「人を良くする」と書く | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。



いつのころからか彼女は開運料理人と呼ばれるようになった。

大阪・枚方市にある『お食事ゆにわ』。

まさに神棚に抱かれたような場所で食事をすると、

悩みが洗われ、人生が変わり、運が開ける。


開運料理人ちこの「おむすび」をほおばりながら、

涙を流している人を見たことがある。心の浄化が出来るのだろう。
ちこ自身を、
絶望のどん底から救ってくれたのも、

人生の先生がくれた“塩むすび"だった。
ちこは、「台所は自分の心を映す鏡。

 ごはんと真剣に向きあえば、すべてのことがうまくいく」という。

ボクもそう思う。食という字は「人を良くする」と書くのだから。


ラジオビタミンのスタジオに、彼女を招いたことがある。

『ゆにわ』に、彼女の屈託のない笑顔を見に行ったことも何度かある。

ちこの屈託を取り去ってくれたのが、心身に優しい食。

彼女は、いま、その「おすそわけ」をしているのだ。

新刊『神様ごはん』も、おすそわけの一つだろう。


本の中で、ちこは、こんなふうに書いている。

適度なおしゃべりは気分転換にもなるが、

話に夢中になっていると、気づかないうちに「気」が漏れていく。

自分の「気」がなくなると、食材や、空間からもどんどん「気」が奪われる。

心が定まらず、ほかのことに気をとられていると、

料理に注ぐべき「気」が削がれてしまう。

料理を作っている最中も、しゃべらずに、目の前の食材と向き合い、

料理に「気」を注ぐことで、「食べる人を元気にするごはん」になる。

子どもの頃、母親が考え事をしながら作ったごはんは
食べたらすぐにわかった。

心ここにあらず、別のことを考えながら作ると
「気」の抜けたごはんになるからだ。

たとえ、台所がどんなに整っていても、どんなに良い素材を使っても
「気」の抜けたごはんは、どこか味が物足りず
食べた後も、力が湧いてこない。

ましてや、不満、不安、怒り……などを
台所に持ち込むと、ごはんが毒のようになってしまう。


神道では
清・明・正・直の四つがそろうところを神様は好むとされる。

これを、料理の心構えで言うならば

…頭をスッキリさせ、清くいること
…台所には、明るい気持ちで立つこと
…手を抜かず、正しい手順でおこなうこと
…「食べてくれる人に、喜んでもらいたい」と素直に思うこと


料理に限らず、この4つは、人に接するときにも、大切な心構えだ。

この本を読んでいると、心が浄化されていく。

あくせくした「生き方」を見直そうという気持ちになる。