自己肯定感が持てない子どもが増えている昨今、
とてもいい絵本に出会った。
草場一壽作『かがやいている』。
いつも、自分のことが嫌いで、怒ってばかりいるカー坊と、
彼の心の声との対話を通して、
「自分が好きになれる」というメッセージを届けてくれる。
圧巻は、草場さんの絵本シリーズで大好評の仕掛け。
光輝く本当の姿との出会い・・・あっと驚く場面だ。
この場面を見せると、聞いていた人は、「あっ!」と声をあげる。
「いのちに素直に生きることが本当の自分=魂であるとして描きました。
子どもたちが、自分を好きになり自分自身の存在が本来、輝きに満ちているのだと気づいてくれたら、これにまさる幸せはありません」と作者の草場一壽さんは語っている。
草場さんは、1960年の佐賀県生まれ。
幼ない頃ころから、動物や自然など、"いのち"の営みに興味を抱き育つ。
生まれ育った地元佐賀の有田焼で、"いのち"を表す絵画を描けないかと
三年に及ぶ研究を続けた結果、
1990年、これまでの有田焼の常識では考えられない色彩の表現に成功。
その技法は、絵付けと焼成を十数回繰り返しながら色彩を表現するもので、
従来の有田焼では3~4回が限界であった
焼成回数の常識を打ち破るものだった。
佐賀県武雄市に「工房今心」を開き、陶彩画の創作活動を始めたが、
陶彩画だけで生計を立てるのは難しかった。
そんな中、草場さんの創作活動を知る保育園の園長先生から
「園児に絵を教えてほしい」と依頼があり、
陶彩画制作の傍ら「お絵かきの先生」として"いのち"を伝える活動を続ける。
活動を続ける中、
連続児童殺傷事件や高校生のバスジャック事件などが起きた。
子ども達にどうやって"いのち"を伝えるか…
試行錯誤の末に完成した絵本が「いのちのまつり」シリーズだ。
小学校3年生の「道徳」の副読本にも掲載され、
累計30万部を超える人気絵本になった。
陶彩画家として名をなした今でも、
草場さんは、絵本を携え、いのちの繋がりを伝える活動を続けている。
ボクも、『いのちのまつり』は、これまでも、あちこちで朗読してきたが、
姉妹作の『かがやいている』、また新たに紹介したい絵本に加わった。