今しがた(2016年10月11日午後10時ごろ、東京)流れているFTの “Saudi Aramco warns investment cuts risks long term oil crunch” という記事、見出し関連のニュースも一見の価値があるが、最後の方でさりげなく触れられているBPの社長Bob Dudleyの発言が目を引いた。「向こう10年間は55ドルから70ドルで安定するだろう」というのだ。
詳細が知りたい!
なぜならこの価格レンジは、現在の筆者の「勘」そのものだからだ。
記事の主要部分は、イスタンブールで開催されているWorld Energy Congressの場で行った、サウジアラムコの社長Amin Nasserの講演内容を紹介しているものだが、最後の方で同時に行ったBob Dudleyの講演内容も紹介している。記事要点は次のとおりだ。
・向こう10年間、石油価格は55~70ドルで安定化すると見ている。
・OPECが協調行動を取ることを歓迎する。
・「(9月末の合意は)内容そのものよりも、協調行動を取っているという事実の方が重要。25ドルも100ドルも世界全体にとって良くないことと認識し、バランスが取れた水準を目指している」
なおAmin Nasserの講演主要点は次のとおり、
・2014年からの価格下落により石油ガス業界では1兆ドルの投資計画がキャンセルされたり、遅延しており、次の十年間に供給不足を招く可能性がある。
・化石燃料のエネルギーに占める比率は、現在の80%から2040年に75%に減少するが、依然としてもっとも重要なエネルギー源。石油は現在の9400万B/Dから2040年には1億400万B/Dに増加すると予測。したがって石油ガス部門への投資は重要。
・サウジアラムコは向こう10年間で3億ドルの投資を行う。ガス重視。
・我々は楽観的で、需給バランスは徐々に回復し、2018年にIPOを行う頃には適当な水準になっているだろう。
・上場は、ニューヨーク、ロンドン、香港で検討している。
・9/11テロの被害者がサウジ政府を提訴できる法案を米国が可決したことにより、両国の緊張が高まっていることがニューヨーク上場に与える影響について質問されたが、Nasserは回答をdeclineした。
1923年創立の世界エネルギー会議(World Energy Council)が開催しているこの会議には、日本の関係者も出席しているのだろうけれど、メディアがいないからほとんど報道されないのだろうな。