わたしと、モノがたり | noahnoahの21世紀宝船ブログ

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札幌「Organic cafe知恵の木」のディレクター&治療家のnoahnoahが暮らしの中の気づきを「宝物」にたとえ、七福神にちなんで7つのテーマでブログに書き留めていきます。船が宝物でいっぱいになったらいいな。よろしかったら、あなたも一緒に楽しい船旅しませんか?



●noahnoahのカメラ片手に取材しますシリーズ①

雑貨店「パスキューアイランド」さんの巻





札幌の街に、30年以上も続く

大好きな雑貨店があります。

その名も「パスキューアイランド」


私は、親しみを込めてこのお店を、

「パスキューさん」、そう呼びます。



古いビルの一角にひっそりと佇み、

夕暮れ時に灯る白熱灯のあかりが

ほんわかと訪れる者の心を和ませる

懐かしくて優しい雰囲気のお店。








一歩中に入ると、

丁寧に陳列された美しい食器や小物、

センスの良いポストカード、

それに、上質なリネンで手作りされたシャツ・・・



選んだ人の、静かで、堅実な暮らしぶりが

窺えるような品々が温かに迎えてくれます。













私、恥ずかしながら、

男なのに雑貨店が好きなんです。



パスキューさんとの出会いは、

高校生の時にさかのぼります。



当時、パスキューさんは、

街の中心部に位置する

ファッションビルの中にありました。



「クリムソンショップ」という名の

セレクトショップがありまして、

アイビーやプレッピースタイル好きな若者の間で

一世を風靡した「ボートハウス」のトレーナーなど

扱っていて、好きでよく出入りしていました。



そんなショップの片すみに、ちょっとした

品の良い雑貨を並べたスペースがありまして

それがパスキューさんの始まりでした。



デザインの優れた食器や小物、

外国の街の風景が写し込まれた

モノクロームのポストカード・・・



当時、学生だった私にとって、

それらの品々はまばゆいばかりに新鮮で

自分の世界を広げてくれるような驚きに

充ちていました。



中でも気に入ったのは、

真鍮(しんちゅう)製のペーパーウェイト。


手に持ってみると、ズシリとくる重量感と、

独特のツヤが何とも言えず良いのです。



よく錬磨された真鍮というのは、

金属であるにも関わらず温かで、

なめらかな質感は女性の肌を連想させます。



その時、私は心の中で叫びました。

「真鍮は、金属の世界におけるほ乳類だ!」



高校生にとっては、少々値の張るその品を

私はどうしても、気になっていたある女の子に

プレゼントしたくて購入しました。



その娘とは、

友達以上、恋人未満といった間柄でしたが、

なぜか惹かれるものがあり、

さらに仲良くなるきっかけがほしかったんです。



手紙を書くのが好きな娘で、

私にもよく、日記のようなものを

書いては送ってくれました。



真鍮製のペーパーウェイトなら

そんな彼女へのプレゼントとして

最適と思ったのです。



「贈り物にしたいので

素敵な包装をお願いします」


女性の店員さんにそう告げると、

店員さんは、まるでお姉さんのような

頼もしくも温かな笑顔で応えて下さり、

ペーパーウェイトをそっと小箱に入れ、

綺麗にリボンを結んで私に手渡してくれました。



高校生のプレゼントとは思われないほどに

上品で大人っぽく包装された小箱。

それはこれから始まる恋の成就を

私に約束するかのような素敵さに溢れていました。



しばらくしてから、彼女の誕生日に

気持ちをしたためた長い手紙とともに

そのペーパーウェイトをプレゼントしました。



数日して、彼女から返事が来ました。

文面を読んだ私は、しばし絶句。



そこには、こう書かれていました。



「ごめんなさい。

わたし、今、ほかに好きな人がいます。

でも、素敵なペーパーウェイト気に入りました。

ありがとう。大切に使わせてもらうね。」





・・・贈ったのがペーパーウェイトだけに、

私の「おもい」は彼女にとって

きっと、「おもすぎ」たのかも知れません。



その時、私は再び心の中で叫びました。

「真鍮は、恋愛の世界においては無力だーっ!」



恋愛成就には味方してくれなかった真鍮でしたが、

以来、私は真鍮という金属がとても好きになりました。



ちなみに現在、わが家では、

表札、洗面所の蛇口、トイレの便座本体をつなぐ金具、

トイレットペーパーホルダーのすべてに真鍮を使用し、

これらを「真鍮四姉妹」と呼んで愛おしんでいます。



さて、長々と個人的な恋バナなど披露して、

この先、どうなっちゃうんだろうと

思われた方もあるでしょう。

大丈夫、ちゃんと着地しますから(笑)。




そんな素敵な品々に出会えるお店・パスキューさん。


やがて私も歳を重ね、結婚して父となり、

カフェを立ち上げ、忙しい日々を過ごしているうち

しばらくパスキューさんから遠ざかっていました。



元あった場所にすでにお店はなく、

寂しく思っていたおり、

数年前、街の中心から少し外れた通りを歩いていた時、

偶然にもあの懐かしい看板をそこに見つけたのでした。


「Pasque is.」と書かれた文字は、

まぎれもなく私の青春のシンボル、

パスキューさんの看板ロゴでした。



店内に入ると、

魅力的な品々に囲まれるようにして

上品な佇まいの女性が一人、

笑顔で迎えてくれました。



少しお歳は召されたものの

その頼もしくも温かな笑顔はまぎれもなく

私が高校生の時、プレゼントの包装をお願いした

あの店員さんと同じ笑顔。



お店は、十数年前に現在の場所へと移されたとのこと。

私は嬉しくて、度々、お店を訪れるようになりました。



ある時、カフェで使うのにピッタリの

食器を見つけて購入し、領収書を書いてもらう際、

「オーガニックカフェ知恵の木」と名乗ったところ、

店員さんはたいそう驚かれました。



聞くと、彼女はお母様のご病気がきっかけで

ご自身の食生活を見直され、

その過程で知った「マクロビオティック」に惹かれ、

生活に取り入れられているとのこと。



また、偶然ネットで見つけた妻のブログから

私たちのカフェのことを知り、

いつか行ってみたいと思っていらしたとのことでした。



・・・それ以来、仲良くさせて頂いているのが、

パスキューアイランド店主・大関眞代さん

私は「まさよさん」と呼ばせて頂いています。




●パスキューアイランド店主・大関眞代さん




「雑貨販売」というビジネスは、

ファッション同様に流行があります。


札幌っ子というのは、

「新しいモノ好きで飽きっぽい」のが特徴。


毎年、この街に多くの雑貨店が新しくできては

消えて行く中、30年の長きにわたり、

ファンに愛され続けるお店は、そうそうありません。



パスキューさんがこれだけ長く続いている理由も

お店と、扱われる商品たちが素敵である理由も、

すべては、まさよさんの「暮らしとの向き合い方」

あるのではないかと思い、

ある時、彼女にお話を伺ったことがあります。



過ぎ去った時を懐かしむように、

ご自身とお店の歴史をお話されるまさよさん。


彼女のお話を聴かせて頂きながら、

なぜ、パスキューさんは居心地の良い空間なのか、

なぜ、ここの商品たちは長く使えば使うほどに

愛着の湧く素敵なモノたちばかりなのか、


・・・その謎が解けました。



彼女の暮らしとの向き合い方には、

多くの現代人が忘れてしまった大切なものが

ありました。



まさよさんは、少女の頃から、

白熱灯のともる温かな空間で、

真鍮製のドアノブを開けて入るような場所で

仕事をしてみたいと夢見ていたそうです。



気がつけば、その夢が現実に。

まさにパスキューさんは、その通りのお店。



真鍮と白熱灯、

私がパスキューさんに惹かれる理由も

ここにありました。



わが家に真鍮製品があるのは、

先にお伝えした通りですが、私も子供の頃から

蛍光灯の白々した光が苦手で、自宅はすべて白熱灯。

おまけに、うちには電子レンジがありませんが、

まさよさんちもないとのこと。



そんなライフスタイルを

声高に主張するわけでもなく、誇るでもなく、

まさよさんは、ただ淡々とお話されるのですが、

その雰囲気は、まるで上質なエッセイを

名優が朗読しているかのよう。



少女の夢が現実になっていくまでのプロセスの中に

「物語」があるのです。



私は、まさよさんの語りを、ぜひ

知恵の木のお客様にも聴いて頂きたいと思いました。



そこで彼女にお願いし、企画いたしました。

2月の知恵の木トークライブイベント、


パスキューアイランド店主・まさよさんの

「わたしと、モノがたり」



彼女とお店にまつわるヒストリー。

雑貨店を経営してみて感じたこと。

生活の中で大切にしていること。

ご家族、そしてマクロビオティックとの出会い。

これらのことを軸にお話して頂きます。



雑貨好きな人にも、パスキューファンの人にも、

暮らしについて「思い」を持っている人にも、

ぜひ参加して頂きたいイベントです。

当日の司会は私、noahnoahが務めさせて頂きます。



●日時 2月28日(土) 
    14:00~16:00

●参加費 1500円(ドリンク&お菓子付)

●お申し込み ☎011-853-5134



冬の週末、温かな飲み物とお話で、

心、ほっこりしませんか?

あなたのご参加お待ちしています。



*まさよさんのブログ
「電話室便り」

Pasque island
〒060-0061 札幌市中央区南1西6 第2三谷ビル1F











★雑貨店が永続的なファンを獲得し、喜んでもらうには、オーナーさんの愛される人柄と個性が要求されます。まさよさんみたいに、ね。

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