前回 「こんな○○はイヤだ!」形式がオススメできないと述べましたが、
私自信がピグ寄席の回答席にいてそう感じたエピソードをお話します。
それは「こんなコンビニはいやだ!」というお題が出たときのことでした。
ある回答者から「店員が森三中だ」という回答が出たのです。
所詮はピグ寄席クオリティなので、それなりにウケます。
しかし、これは答えとして成り立っていません。
森三中がコンビニの店員だったら、イヤどころか近所で評判になるはずです。
ということは、お題に沿っていない回答であり、笑えない回答になります。
森三中がイヤというのはその人の主観でしかなく、表現も直線的で稚拙です。
これを司会者が容認してしまうと、どんどん稚拙な方向に流れてしまいます。
もちろん、お題に沿っていない回答を出す回答者、それで笑ってしまう観客、
さらには認めてしまう司会者の責任と言えますが、元をたどればその原因は
「こんな○○はイヤだ!」形式のお題は誰にでも簡単に作れてしまうという
安っぽさにあると思います。
安っぽく感じるのは、ピン芸人の鉄拳がこの形式でネタをやっていて、
その真似事でしかないという点もあるでしょう。
大喜利をするなら、機知に富んだ回答が飛び交うものにしなればいけません。
もしこの手のお題で大喜利をやりたいのなら、誰でも簡単に作れてしまう
「こんな○○はイヤだ!」という言い回しをやめて、
もう少し大喜利のお題っぽくアレンジする努力をしましょう。
例えば…
「こんな寄席はイヤだ!」⇒
「こんな寄席、二度と来るか! 何があった?」
「二度と来るか!」と思ったということは「イヤだ!」と同じ意味です。
そして、より激しい感情を持っているイメージになり、心情的・状況的考察
も取り入れて回答したくなります。
「こんな医者はイヤだ!」⇒
「お前、絶対ヤブ医者やろ! なぜそう思った?」
ヤブ医者だと思うということは、何か不信感や不利益を被ることがあったと
いうことで、すなわち「イヤだ!」になります。
そして回答としては、とんでもないヤブっぷりに特化して考えることになり、
直線的ではなく、掘り下げたものが出てきやすくなります。
「こんなバンドはイヤだ!」⇒
「デビュー30周年を迎えても全然売れないバンド。
その原因は?」
全然違うように感じるかもしれませんが、
「全然売れない」→「魅力がない」→「聴こうとも思わない」→「イヤだ!」
となり、意味的には同じです。デビュー30年でも売れない原因を探るという
条件が明確化され、考え甲斐のあるお題になります。
「こんなドラえもんはイヤだ!」⇒
「ドラえもんに欠陥が発見された。いったい何?」
お題によく使われるドラえもんが「こんな○○はイヤだ!」と合わさると、
最高に幼稚なお題になってしまいます。
せめてもの抵抗として、想像力をかきたてる言い回しに変えてあげましょう。
~つづく~