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マーブル先生の独り言。2024年1月1日の能登半島地震後の復興をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。




今日はGBS。

GBSとは、Group B Streptococcusと書き、
B群溶血性レンサ球菌を指します。
膣内に常在することもある菌で、
通常は病原性がなく問題にはなりませんが、
妊娠中にこの菌が膣内に認められると
分娩児に胎児に感染して細菌性髄膜炎や
敗血症、肺炎などを起こすことがあります。

日本のGBS感染による児の死亡数は
年間100~150例といわれており、
発症数は2,000~3,000分娩に1例。
全国で500~600例/年。

そのうち死亡14%,後遺症を含めると
25%に何らかの問題が出るといわれています。
母子感染により児は肺炎,敗血症,髄膜炎,
重症後遺症(精神発育遅延,聴力,視力障害など),
死亡をきたすこともあります。

この菌の予防について:
最初、膣内のGBSを無くすればいいと考え、
妊娠中に検査を行い、陽性の場合に膣洗浄と
薬でGBSを治療しました。

ところが、治療してGBS陰性となった妊婦からも
新生児GBS感染者が発生しました。
これは、治療後に再感染したか、
子宮頚管等に隠れていて
十分治療できないのが原因と考えられます。

そこで、現在は、妊娠中に
治療することは考えず、
GBS陽性妊婦は分娩開始とともに
抗生物質の点滴を一定の間隔で、
分娩終了まで行うのが普通です。

これにより、母体から胎盤を通じて
児に抗生物質が移行し、
いわば児はすでに薬を飲んだ
状態で生まれてくるから、
GBSが付着しても感染を
予防できるという考え方です(WHO勧告)。
この結果、ほとんどのGBS感染が
防ぐことが出来るようになりました。

さて、分娩後の新生児がGBS感染を起こす感染ルートは、

(1)垂直感染:婦さんの産道にいるGBSが
分娩の時に産道内で新生児に感染を起こす。
(2)水平感染:分娩の時に感染するのではなく
分娩の後に産道以外から感染するものの
2種類あります。

新生児のGBS感染は(1)の垂直感染の方が
(2)の水平感染よりかなり多いと報告されています。