FOI | IPOジャパン編集長  西堀ブログ

FOI

FOIの粉飾決算が日経新聞の三面記事として扱われています。


IPO業務に携わる我々にとっては三面記事扱いではなく、経済記事のど真ん中で扱って欲しい話題であります。


それにしてもどうしてここまでの粉飾決算を行ったのでしょうか。


監査法人、主幹事証券会社、取引所など上場審査関係が甘かったという意見があってもしかるべきですが、それ以前の問題があるような気がしてなりません。


日本人は日本人を信じる国民です。 いわゆる性善説で物事を考えていく国民なのです。 


上場するにあたって、悪さを働いてまで数字をごまかす人なんていない、というのが根っこにあるはずなのです。


なのに巧妙に細工を施した発注書、送金、在庫の保管・・・・などなど、いずれはバレることは分かっていたはずです。


ここに至る経営陣の動機の分析が非常に重要だと私は考えています。


いくら上場審査を厳格化してみたところで、その上も行く詐欺的な行為はいつの時代にもでてくるはずだし、それを完全に見抜くことは難しいと思われます。


日本人の精神構造になにか変化が生じているのか? もしそうだとしたら、それは失われた20年とも言われる日本の閉塞感がなせることなのかもしれません。 


それと投資家のほうにも責任があるのかもしれません。 ベンチャーキャピタルはバラバラと二桁の数が出資しています。


現状、VCは投資したお金がリビングデッドになり次なる投資原資を集めることができなくなってきています。


そんな中でFOIに最終ラウンドで昨年の春先に投資したVCの担当者は、1年も経たずにIPOしたことで、社内ではヒーロー扱いになったとか聞きました。 それが粉飾の発覚でヒーローが一転して責任問題になっているとか。


多くの投資家の支援は、大きな期待となり、それが重圧になって早くIPOしなければならないという気持ちにさせたのかもしれません。


投資家のプレッシャーが大きかった理由としては、あまりにもIPOが少なすぎることも一因であると考えられます。 


出口に近い投資先企業への期待は並大抵ではないはずです。 


あれだけ多数の投資家から現状把握のための面談や日々電話での問い合わせがあれば間違いが起こりやすくなるのもわからないではありません。


上場できる会社が少ない。 これもまた、その背景を制度や仕組みが問題ではなく、IPOの数が日本という国の今の姿を映す鏡と考えればそれもまた理解できないでもありません。


すべてが今の社会が悪いと言ってしまえばそれだけです。 でも、その社会を構成しているのは我々日本人ひとりひとりだと思います。 けっして政治家が悪いわけではないはずです。


このFOI問題は粉飾決算の詳細をあばくだけでなく、なぜ経営陣がそこに至ったのかをSECは徹底的にしらべて公開していただきたいものであります。