中央青山監査法人 | IPOジャパン編集長  西堀ブログ

中央青山監査法人

金融庁はカネボウの粉飾決算に絡み、中央青山監査法人に
上場企業などに対する監査業務を7月から2カ月間停止する
方針を出したと報じられている。


厳しく罰するのはいいが、この期に及んで行政処分が出るとは
思いもよらなかった。


金融庁にしてみれば、一罰百戒のつもりかもしれないが、
中央青山と監査契約をしている企業のほうはたまったものではない。


日本は3月決算企業が多く、本決算の監査という意味においては、
7月、8月の業務停止で困る企業は比較的少ないと思われるが
四半期開示も導入されており、監査法人に相談することもなく
第1四半期の数字を確定させていかねばならない上場企業の
ことを考えれば投資家サイドからみて問題がないとは言い切れない。


米国の事例を見れば、エンロンの粉飾決算に関与した監査法人の
アンダーセンは世の中から姿を消すことになったが今回の中央青山
の場合は、少し事情が異なると考えられる。


エンロンのケースは、「企業を監査する業務と、成長を支援する
コンサルティング業務の矛盾が同社の歯車を狂わせていった」との
解説がある。


今回の処分はカネボウの粉飾決算などで所属会計士の不正を未然に
防ぐ内部管理体制に重大な不備があったとして行われるものであるが
担当会計士は何の為に粉飾決算を見過ごしたのであろうか?


まず私利私欲のためではないと考えたい。たぶん、当時のカネボウの
経営陣も自己の立場を守るための意識はほとんどなかったと考えられる。


構造改革の進まないカネボウにあって、改革の為の時間稼ぎを行っていた
と考えるべきではなかろうか。


とは言え、粉飾でなければ構造改革費用として大きな特別損失を出して
いたに違いない。


いずれにしろ、結果は上場企業として投資家に多大なる迷惑をかけ、
金銭的な不利益を与えたのは事実である。


このことがカネボウを上場廃止に追い込み、監査契約を行っていた
中央監査法人が咎められるとしたならば、何かおかしくはないだろうか?


個別の固有名詞を持った人は歴史のいたずらであったとしても、

その巡りあわせに逆らうことは出来まい。


でも、たまたまそのタイミングに監査契約を結んでいた監査法人や
会社そのものが世の中から抹殺されるのには矛盾を感じる。


何の罪もない人々までも悪人にしてしまう今回の処分は本当に厳しい
と言わざるを得ない。


今回の処分の発端となった事件で個人的に利益を得た人がいるというのだろうか?


金融庁の役人の皆さんに問いたい。


罪を憎んで組織を憎まず、の精神があってもよかったのではないだろうか。