インドの結婚式
インドでは、結婚は聖礼典(Sanskara)とされ、ふたりが人生を共に歩んでいくための儀式です。
ヒンドゥー教では、精神(Purush)と物体(Prakritti)の融合により生物は多様化し、幸福、調和、成長の3要素を基盤とします。婚約式(マングニ)が行なわれた翌月~数ヵ月後、結婚式は、北側の軌道にある太陽が”半分輝く”日に行なわれます。
儀式は、僧侶(Brahmin)により進められ、ヒンドゥー教のお経(Mantra)が唱えられます。
以下、主要な儀式を紹介します。
GANESH PUJA
儀式は、ガネーシャ神を拝むことから始まります。ガネーシャ神は、富と繁栄をもたらし、障害を取り去る神様です。
VAR AGAMAN
花婿を迎え入れる儀式が行なわれます。
KANYA AGAMAN
花嫁は母親に付き添われ、花婿の前に登場しますが、ふたりはカーテンでしきられています。花嫁は花婿と向かい合い、僧侶がお経を唱えた後、カーテンが取り除かれます。
JAIMALA
ふたりは、お互いを受け入れ、お互いを尊敬することを誓い、花輪を交換します。
GRANTHI BANDHAN & VARMALA
花嫁と花婿は、精神の融合の意味を込め、お互いの衣服の裾が結ばれます。108個の花がついた花輪、もしくは7本の糸(Varmala)を身に付けます。これは、ヒンドゥー教の輪廻転生の考えから、ふたりが108年もしくは7回分の人生を一緒になることを表します。
MADHUPAK
花嫁の父親は、歓迎と尊敬の意味を込め、花婿にヨーグルトと蜂蜜を食べさせます。
KMANYADAN & HASTA MILAP
花嫁の父親は、花嫁の右手にバジルの葉を置き、花婿の手の上に重ね、花嫁を花婿の伴侶として受け入れてもらい、ふたりの融合を祝福します。花嫁の保護者は、両親から花婿へと変わります。この背景には、花嫁はラクシュミ神、花婿はナラヤナ神であるとされています。
HAVAN
花嫁と花婿は、婚姻の立会人として、アグニ(火の神様)を呼びます。白檀の粉、薬草、砂糖、米、油を火の中に投げ入れ奉納します。
GATH BANDHAN
花嫁と花婿にスカーフを巻き、永遠の絆でふたりを結び、神様の前で愛と忠誠を誓います。
MANGALPHERA
火の周りを時計回りに4周まわります。4周というのは、人生の4つの目的、DHARMA(宗教・道徳)、ARTHA(富・繁栄)、KAMA(愛)、MOKSHA(救世)を表します。花嫁を先頭に最初の1周から3周をまわり、花婿を先頭に最後の4週をまわります。花嫁は全ての喜びと悲しみを、夫よりも先に立ち向かうことを誓います。
SAPTAPARDI
花嫁と花婿は人生を共に歩んでいくという意味を込め、7歩歩きます。一歩ごとに以下7つの事項を誓います。
1歩目 お互いに尊敬し敬意を払うこと
2歩目 喜びと悲しみを分かち合うこと
3歩目 お互いに信用し忠実であること
4歩目 知識、価値、犠牲、奉仕の認識を培うこと
5歩目 純正の誓い、家族愛の義務、精神の成長を再認識すること
6歩目 DHARMA(正義)の原理に従うこと
7歩目 友好と愛の永遠の絆を育むこと
JALASTNCHANA
SAPTAPARDIの儀式のあいだ、薔薇につけた水をふたりにかけ、祝福します。
SINDHOOR
花婿は朱色の粉を花嫁の額に一点付けるか、もしくは髪の分け目に付け、伴侶として受け入れます。これは、花婿が花嫁を装飾する初めての儀式です。
MANGALA SUTRA
そして、結婚したという証に、花婿は花嫁の首にネックレスを付けます。
KANSAR
花婿と花嫁は、甘い人生という意味を込め、お互いにお菓子を食べさせあいます。
AASHIVAD
花嫁と花婿の両親はふたりを祝福し、ふたりは尊敬の意味を込め、両親の足元を触れます。
VIDAAI
ふたりの門出を祝います。花嫁は、夫の妻として、夫の家族の娘として、新しい人生を出発します。子孫が繁栄するようにとライスシャワーがふたりに浴びせられ、ココナッツの果汁がふたりの車にかけられます。
MENHDI
挙式前にメヘンディという装飾を、花嫁と花婿の手足にほどこすのですが、お互いの名前がその装飾の中のどこかに隠されています。花婿が双方の名前を見つけないと、ふたりの初夜は始まりません。挙式後、花嫁はメヘンディが消えるまで(通常1ヶ月程)は家事をしません。
参考資料:
パキスタンの結婚式はこちら
(2009.02.08)