How to fly・47 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「あー、やっと終わったー」



椅子の背もたれを大きく反らして伸びをする



「こっちももう少しで終わるんでこのあと一杯どうっすかね?」

「ごめん、これから行くとこあるから」

「デートっすか?」

「そう、デート」



初めての、嬉し恥ずかしの、デート宣言



「おぉ!色々昇格したんすね?!おめでとうございまーす!」

「ありがとう、まぁ、男だけどな」

「男?」

「デートの相手」



これをカミングアウトと呼ぶかは判断し兼ねるが、好きな相手を男だと告げることは、個人的な性癖の披露ではある



「…え?それは…」



それを同僚にすることはリスクがある

様々な偏見や差別があり、ほんの一部ではあるがそれを実際に聞き、知った今、怖さが無いわけではない

思いの外さらりと言えたとはいえ、相手の反応が気になってしまう



「つまり、先輩は…」


「うん」



否定や拒絶があるかもしれない

彼の比ではないが、社会的な立場が脅かされる覚悟もしなければならない



「ついに…微乳を極めたんすね」

「び…ちち?」

「ペチャンコの魅力かぁ、俺にはまだまだ辿り着けない境地っす」

「…そう、あははっ そうだよ、極めたよ、すっげぇーいいよっ」

「マジ深いっす」



肯定でも、否定でもない

軽蔑も、侮蔑もない

そこに存在するものをそのままに認識する

この狭い国でも、こんな反応を意図せず出来る奴が居る

当たり前であってほしいが、簡単なことではない



「大物だなぁ」

「え?俺っすか?」

「うん、大物になるよ」


「やったー!」



いつか彼に紹介しよう

きっと気の会う友達になれる




いつもの電車、いつもの路地

デートへ向かう道だと思うと心が弾む

カツンカッツン、カツンカッツン

階段を降りる足も弾んでいる



「いらっしゃ…い、ませ」



扉をグイと引き、カウンターへ向かうと、マスターが一瞬固まって見えた



「いつもの」



予約はもう必要ない

ここで待っていれば、彼に会える、デートが始まる

最終ステージには間に合う時間だと思っていたが、残念ながら終わった後だったらしい

光も音も、一度も変わることなく閉店した



音楽が消され、明かりが半分に落とされ、店員が一人また一人と帰って行く



「戸締まりは気を付けるように言っとくから」



俺とマスター、二人だけになってから言う


ドヤ顔はしていないはずだが、彼氏面はしているかもしれない

あえて確認していないから共通認識ではないが、おそらく二人は恋人同士である

こんな顔をしても、多少は許されるだろう

そう思って、浮かれていた



「…誰に?」

「誰ってそれは~」



そろそろステージ裏から彼が出てくる時間だ

マスターには思いがけず世話になったし、二人並んで礼の一つでも述べるべきだろう



「まぁ、その、報告ってことでもないんだけどさ、あんたのお蔭で…」


「あんたのお陰で、ここのステージはただの飾りになったよ」

















つづく