※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「君のお陰でこっちも軌道に乗ったからね」
「私が居ても居なくても同じ結果を残せる力が皆さんにはありましたから」
「しかし、近いうちにこんな話が来るんじゃないかと思ってはいたが、まさかこんなに早いとはねぇ
皆が寂しがるんじゃないか?」
「仮にそうだとしたら、とても誇らしく思います」
「で、どうする?」
概要を読んで、これはまた凄いのが回ってきたなと思った
…というのは建前で
心の中だけでガッツポーズした
このプロジェクトが形になる前から狙っていたポジションが、今、この目の前にある
目に見える表面的な結果と、水面下で勝ち得た信頼と実績
それらがこのタイミングで集約するように
お前しか居ないという状況になるように
愛しい人に会いに行く時間も惜しんで死に物狂いで駆けずり回った
「こちらとしてはもう少し君に居てもらいたいんだがねぇ」
こっちでも存分に仕事は出来るし、待遇も申し分ない
だけど、ここにはニノが居ない
ニノが見えない、ニノに触れない、ニノを感じられない
そんな生活に耐えることが恐ろしいほどに面倒臭い
「返事は急がなくていい、考えてみてくれ」
引き受ける以外に選択肢は無いんだから、この場で即答したかったけど
大人の対応としてここで飛び付くのは下品だし、そんなことで今まで積み重ねた信頼をふいにしては意味がない
「ありがとうございます、よく考えてみます」
神妙な顔の下、口の端が上げらないように唇を結んだ
「あの、本部長代理」
「ん?なに?」
「噂が流れていますけど…あれは本当ですか?」
「う~ん、どうかな?」
「あ~やっぱりかぁ…
そりゃそうですよね、行きますよねぇ…」
「その噂通りになったとしても、すぐにここから居なくなるわけじゃないよ?」
「そうなんですか?!」
「噂は異動の話じゃないからね」
「そっか…まだ大野本部長代理と仕事出来るのんだ、よかった!
それでは営業行ってきまーす!」
「はい、気を付けて」
こうして求めてもらうことは本当に有り難い
でも、ごめん
俺が頑張れるのはニノが居てくれるからだから
あの時ニノが出会ってくれなかったら、ニノが好きになってくれなかったら
俺は簡単に潰れてこの会社に籍を置いてない
「…帰るよ、全力で」
「慎んでお受けいたします」
「そうか、決めたか」
「はい」
初会議の日程は年明けに決まった
つづく