※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
次の日の練習もサクラさんが参加してる
僕は「格好いい鮫島くん」というフィルターを通さずに、ちゃんと見てみることにした
急に目が泳ぐ
すっごく嬉しそうな顔した後に、すぐに眉間に皺が寄る
楽しそうにしてたと思ったら、急に無口になる
今まで気付かなかった「格好いい!」だけではない鮫島くんがたくさん見付けられて嬉しい
だけど…昨日言ってた「完璧に」とか「格好良く見せよう」とか
色んな鮫島くんと周りの風景を全部合わせて上から覗いてみると
鮫島くんは、ずっとサクラさんを意識してるのが、分かった
好き
…なのかな
「ニノちゃん、おつかれ~」
「おつかれ…」
最近は実行委員の仕事で忙しくしてたマサキくんと、久し振りに一緒に帰る
「元気ないね?大丈夫?
悩みごとあるなら俺が聞こうか?」
物静かでミステリアスな僕だけど、マサキくんにはなぜかすぐにバレる
付き合いが長いからかな?
こんな時は隠しても無駄だから
この胸にあるモヤモヤしてるのを話しちゃおうかな…
「鮫島くんはさぁ…好きな人、いるのかな」
「いるかもね~」
「え?!マサキくんもそう思うの?!」
「鮫ちゃんは不器用でピュアだから、分かりやすいもん」
「そっか…」
「ニノちゃんも不器用でピュア、お似合いの王子様とお姫様だよ」
お芝居だったら…ってことか
僕の恋は、片想いだったんだ
学園祭が間近に迫って、練習も佳境に入ってくると
贔屓目でなくても鮫島くんはますます格好よくなっていった
サクラさんが居ても台詞を忘れないし、段取りも間違えない
王子様としての貫禄も出てきた
「なんてみすぼらしいのかしら」
「煙突掃除で灰まみれじゃないの」
「この娘には灰がよく似合ってるわ」
「そうよね、灰かぶり娘よね」
「お姉様、私たちは早くお仕度しなくっちゃ!」
「ええ、お城の舞踏会に遅れてしまうわっ」
「おほほほほ」
「おほほほほ」
箒をもって、立ちすくむ
「こんなんじゃ…お城へなんて行けないわ
わたしには灰かぶりがお似合いですもの
舞踏会…行きたかった…綺麗な…ドレス…着て…踊り…」
これはお芝居なのに、僕は本当に悲しくなってしまった
魔法をかけてもらわなければ、僕はただの灰かぶり娘
周りをうろちょろするだけの、ただの、同級生
「二宮」
「…なに」
「来い!」
「…え?」
「反省会するぞ!」
練習が終わったのと同時に、鮫島くんに腕を掴まれた
つづく