少し前に亡くなった患児のご両親が、クリニックに挨拶に来てくれました。
生後間もなくから、長く生きていけない病気が分かり、
自宅への退院後は、当院からの在宅診療と、
出生した大きい病院への定期通院とを並行していました。
もちろん、状態が悪化した時には、臨時での受診・入院もありました。
詳細は省きますが、最後は比較的急速な経過で、
病院でその短い人生を終えました。
その急速な経過の中でも、自宅で見届けるのか、病院に搬送するのか、
強い葛藤の中にも、強い覚悟がありました。
愛娘の旅立ちから少し時間が経ち、穏やかな表情でクリニックに来てくれたご両親は、
色々な言葉を私たちにくれました。
――あの子がいなくなった悲しみはもちろんあるけれど、それまでの●ヵ月間、家族みんなで、家で過ごせて幸せだった
――先生たちは、あの子だけでなく、私たち親や他の兄弟のこともみてくれてたんだなと思う。それがなかったら、私たちは潰れていたと思う
今私たちがやっている仕事の意義を、改めて感じさせてくれました。
その子が使っていたベビーカーです。
座席下が大きいタイプのもので、ここに、常時外せない医療機器を置いて使っていました。
これを、クリニックに寄贈してくれました。
彼女の名前を採り入れて、このベビーカーに名前をつけようと考えています。