三菱商事と3社提携も -変容- | にっけいしんぶん新聞

三菱商事と3社提携も -変容-

日本製紙 北越と設備活用交渉へ -13日13面-

北越製紙と日本製紙グループ本社は12日、製紙設備の相互活用などを軸に提携交渉を進めることで合意したと発表しました。

ということで、第三者割り当てを引き受けた三菱商事に加え、勝手に割って入った日本製紙のおかげもあって、「規模とカネの論理」で迫る王子の手から逃れた北越製紙、その横入りした日本製紙と提携交渉に入ったということです。
ま、この提携交渉については今回触れる気はないのですが、それより目を引いたのが北越の三輪社長の写真でした。

その前にまずは、7月23日、王子にTOBを仕掛けられた直後の写真から見てみましょう。



提携前
7月23日夜、王子TOB表明直後


なんともやつれた表情、クールビズでノーネクタイであることも手伝って、ヘタをすると昭和の映画なんかに出てきたりした町工場のおやっさんが明日の手形の決済のメドがつかずに途方に暮れてる様子かなんかのような雰囲気さえ漂っています。
三菱商事がバックについているとはいえ、買収されてしまう可能性や泥沼の法廷闘争の可能性もあったあの段階での、不安と焦燥がよく表れていると思います。

さあ、その三輪社長の、12日の記者会見での様子がこちらです。




提携後
12日、日本製紙と提携検討発表記者会見


おおっ!
社長です。
まさに一部上場企業の社長さんの風格です。
余裕と自信に満ち溢れた表情は、並んで会見する日本製紙の中村社長と、もはやどっちが助けられた立場かすらもわかりません。

いやあ、記事をつぶさに読まなくても、なんかこう、この2枚の写真を見比べるだけであの時と今の北越の置かれた状況や経営陣の心理状態が如実にわかりますね。

日本経済全体や資本市場のダイナミズムを考えるとTOB失敗は残念だなんてことも思うのですが、まあそれぞれに立場があるわけで、守るべきものを守りきった男の晴れ晴れとした表情は、悪いものではありません。
それにしても2枚の写真でみる三輪社長、人間味が感じられて、ある意味おもしろいなあ。



※写真は上が7月24日付、下が9月13日付日経新聞より。