TOB断念後 46%に買い増し -元祖- | にっけいしんぶん新聞

TOB断念後 46%に買い増し -元祖-

ドン・キホーテ/オリジン -16日1、11面、17日3、11面-

ディスカウントストア大手のドン・キホーテは15日、持ち帰り弁当チェーン、オリジン東秀の株式を46.21%まで買い増したと発表しました。オリジンに対する敵対的TOB(株式の公開買付け)が失敗に終わった9日以降、市場で15%強の株式を取得しています。オリジン東秀は「公開買付け制度の趣旨に反している」と主張しており、TOBのあり方をめぐる議論にも影響を与えそうです。


何かと世間を騒がせる企業というとライブドア、というイメージが定着してしまった昨今ですが、ライブドアほどの派手さはないものの常に物議をかもしてきた企業がドン・キホーテ。
ライブドアのように市場や既存の業界ではなく、住民を相手に騒ぎを起すことが多かった同社が、捕まったホリエモン代わりというわけではないのでしょうが、とうとう市場でも暴れだしました。

一応は提携関係にあったオリジンに敵対的買収を仕掛け、「ホワイトナイト」イオンの登場で断念せざるをえなくなったかに見えましたが、法制度もしくは法解釈のすきまをついて再び攻勢をかけているのであります。

発行済み株式の3分の1以上の取得を目的に市場から株を買い付ける際にはTOB、すなわち買付け価格と時期を公表して売ってくれる人を募る形をとらなければならないのですが、今回ドンキは結果的にTOBではない形で市場で合計46%を取得しました。
一見アウトのようですが、しかしTOB失敗前の買付けとTOB失敗後の買付けは別個の行為だからこの規制対象には当たらない、というのがドンキの主張のようです。

正直、このあたりの法制度については記者もよく知りません。
解釈次第となるとグレーな部分のような気もしますが、しかしドンキ側の見方ははっきりしているようです。


 ―― 株式市場の外で発行済み株式の3分の1近くまで買い、さらに市場で3分の1超まで買い進めるというのは脱法行為だとの議論もある。
ドンキ側弁護士 「ドン・キホーテがオリジン東秀の発行済み株式の3分の1未満を買った時点では、あくまでもTOBをしようとの気持ちだったし、実際に行った。一連の行為とは言えず、(脱法行為には)あたらない。資本市場にはルールがあり、現在あるルールを守っていれば、グレーという議論にはならない。今回のケースは真っ白
 ―― TOB失敗後の市場での買い付けについて、TOB開始前から意図して実施した場合はどうか?
弁護士 「グレーだと思う」



お、お、おいおい、「真っ白」っていった尻からいきなりグレーの議論ができてるじゃないの・・・。

その時の気持ち次第だというなら、明確に検証できない以上、「いやあ、違うっていうけど、ほんとはちょっぴりそんなこと考えてたんじゃないの?」という議論にもなるわけで、「真っ白」がグレーがかって見えてもやむを得ないところでありましょう。

さらに・・・


 ―― ライブドアのニッポン放送株取得も当時はルールの範囲内だった。
弁護士 「ライブドアの案件はわれわれの認識では違法だ。今回の件では市場で買って何が悪いのだろうかという素朴な疑問がある」



うーん、見事な開き直り。
ついでとばかり、一見同じ穴の何とかに見えそうなライブドアまでばっさりです。
さすが強面社長のところの弁護士は違います。

記者は今回の件が違法かどうかについて判断することはできませんが、当のオリジン側さえ「制度の趣旨に反する」と反発しているところを見ると、少なくともはっきり違法とはいえない部分なのでしょう。
それにそもそもすでに約30%の大株主となっていたドンキを無視して対抗的にしかけたイオン側のTOBに無理があった、というドンキ側の主張にも一理あります。

市場の反応はドンキ、オリジン両者に対しネガティブなもの(売られた)でしたが、この先どう決着するのか、見当がつきません。
が、早期の法的決着でもない限り、イオンにしろオリジンにしろ、現実的にドンキとの交渉抜きに話を進めるのは無理だということは間違いないでしょう。
成り行きに注目したいところです。


それにしてもライブドア亡き後(?)、マーケットのお騒がせもドンキにお任せとなるのでしょうか。
ずばりポイントは、


あの安田会長に可愛いニックネームがつくかどうか」


そうに違いありません・・・。