皇位継承「第一子優先に」 -拙速- | にっけいしんぶん新聞

皇位継承「第一子優先に」 -拙速-

皇室典範有識者会議 -1面ほか-

小泉首相の諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は7日、女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認め、皇位継承順位は男女を問わない「第一子優先」とする方針をまとめました。
男女平等の考え方を徹底した方法を採用することで、「男系男子」を優先してきた天皇制は歴史的な転換点を迎えます。


えー・・・

記者、基本的に改革とか変革とかは嫌いじゃないのですが・・・

経済システムや企業統治の法制度など、公平性や合理性を求めるのが目的のルールと違い、このような歴史や伝統文化に基づく国民全体の「価値観」にもかかわることを、国民の間での議論や合意形成もなしに首相の諮問機関が勝手に方向を決めちゃってそのまま進んじゃうなんてこと、ありなんでしょうか。

やはりさすがにそれはどうかと思っております。


記者、皇位継承順位の決め方の変遷について詳しいわけではないですが、実際に即位した天皇に「女性」は十代(八人)いましたが、「女系(母方が天皇の血筋)」の天皇はかつておらず、例外なく「男系(父方が天皇の血筋)」に限られています。

それを今回、男女はもちろん、男系女系の区別もなくして天皇の「第一子優先」とするというのですが、これはある意味、日本の歴史においてもかなり大きな変革といえると思います。

変更が必要なのは明らかですが、その際、三笠宮様が「世界に類を見ないわが国固有の歴史と伝統を平成の御世で意図も簡単に変更してよいのか」と指摘してらっしゃっているとおり、皇室が憲法や法律に規定された「地位」や「制度」であると同時に、その存在自体が伝統文化的な側面を持っているということを意識する必要もあるでしょう。

にもかかわらず、有識者会議のメンバーの一人が強調した検討基準は、

「すっきりした案にしたい」

おいおい、税制なんかの話じゃないんだよ・・・。


いえ、記者はなにも「男系男子に限るべきだ」といっているわけではありません。
要は、国民的な議論と合意の形成なのです。
もちろん、全国民の合意などありえない以上この表現も極めて曖昧ではありますが、しかし少なくとも現状はその状況からは程遠い状況にあるといえるでしょう。

そのいい例が、先にあげた三笠宮様のエッセイについての報道です。
読売が3日の一面で取りあげ、日経もたしか翌日の社会面で扱っておりましたが、いずれも記事の見出しは「三笠宮様 女性天皇に異論」というようなものでした。しかし記事の中には「女性」天皇反対という記述は見られず、もっぱら「女系」天皇に疑問を投げかけたというものでした。

同じ記事を掲載した4日の日刊スポーツを見ると、見出しは「女系天皇に異論」、記事中には逆に「女性天皇については容認を示唆」とあり、記者は件のエッセイは直接は読んでいないので断言はできませんが、どうやら読売や日経の見出しの打ち方が間違っていたようなのです。

つまり、報道機関ですら「女性天皇」と「女系天皇」の区別もきちんとできていない、恐らくそういうことだったのでしょう。

このような状況の中で国民が自らの価値観に照らし合わせた判断を下せるでしょうか。
記者には到底そうは思えません。

税制や財政、社会保障などの問題と異なって一年二年を焦るべきではない問題、小泉流のトップダウンで決めることなく、より多くの国民が正確な知識や情報を共有した上で議論を深め、世論が醸成された段階で方向性を探ってもいいのではないでしょうか。


ちなみにあえて記者が私見を述べるとすれば・・・

たいへん僭越ではございますが、三笠宮様が「少々難しいかと思う」けど「大賛成」とおっしゃっている「側室を置く」ということについては、やっぱり実現は難しいのではないかと思います、と述べるにとどめさせていただきます・・・。