今日の愛ルケ(#358-360) | にっけいしんぶん新聞

今日の愛ルケ(#358-360)

この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写多少出てまいります。そのような記述を好まない方、並びに15歳未満の方、及びストーリーをブログ上で知りたくない方はご遠慮ください。
と断っておりましたが、最近は性的な描写はほとんどでてまいりませんので、むしろ性的な描写をお望みの方はご遠慮なさったほうがよいかもしれません。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。


※特に今回は原文の性質上、下ネタを避けてとおれなくなっております。
それどころか記者、やけくそ気味に避けずにとおっているフシさえあります。
そういうのがお嫌いな方は読み飛ばしてください。



夜長 五

その夜、妖しい気な気持にとらわれた
風の盆に行けなかったことを悔いるうち、やがて冬香が編み笠に淡い朱色の浴衣で踊る姿を想像する。そのうち、部屋の天上から胡弓の調べがきこえるような気がして、耳を澄ませていると、闇の中から浴衣姿の冬香がひっそりと現れる
「ふゆか…」とつぶやくと、こちらへいらっしゃいというように中腰のまま手を差しだすが、そのとき菊治は冬香に惹かれていたのが顔の美しさやスタイルよりも、雪国の女の肌の白さと忍耐の裏に潜む情熱であったこと気づく。
さまざまな思いを抑えて耐えるもの静かな女がすべてをかなぐり捨てて淫らな女に豹変する、その変貌に自分のなかの男が狂わせられ、冬香のなかの女に首を絞めたときの力が引き出されたのだ。
「そうだろう、ふゆか…」
勾留されて初めて欲情した菊治は、知らぬ間に自分のものを握っていた「ふゆか」とつぶやきながら擦るうちに、冬香も燃えだし、髪を振り乱して「ください」と訴える
その声を待っていたように、菊治は初めて独房のなかで、布団をかぶったまま、どくどくと若者のような勢いでゆき果てる。


#あー、とうとうやっちゃいましたね・・・。

幻聴の楽隊まで引き連れて登場した幻覚の冬香の浴衣で踊る姿にいよいよ欲情した菊治が・・・という展開、まあ、これくらいはみなさん想定の範囲内だったでしょう。
しかし、この想定外のアピールはなんなんでしょうか?


どくどくと若者のような勢いで・・・


これは単に久しぶりで溜め込んでたってことをいいたいのでしょうか。
それともやはり、


「俺は五十五の頃でも若者並みだった」


って訴えたい誰かがいるのでしょうか。

ふーん、そうですか。
そいつはよかったですね・・・。


とまあ、つい最後のシーンに目を奪われがちですが、それより突っ込んでやんなきゃならんのはこっちのほうでしょう。


菊治はいまようやく、冬香に惹かれていたのが、単なる顔の美しさや、スタイルでないことにきがつく。(原文)


お、お前・・・



やっぱり中身は見てなかったんかぁっ!!


しかも・・・


それより、雪国の女の肌の白さと・・・



まだ外見のこと言うかぁっ!!


・・・忍耐の裏に潜む情熱に惹かれたのである。(原文)


なんかよくわからんけど、やっと中身について触れたと思ったのも束の間・・・


思いを抑えて耐えているもの静かな女が、すべてをかなぐり捨てて淫らな女に豹変する・・・


今度はセックスかよ!!


なにが究極の純愛だよ・・・。
こいつが惚れてたのは、やっぱ外見とセックスの淫らさだけじゃねえかよ・・・。
しかもようやく今ごろ気づいたって、勾留二十余日、自分と冬香を見つめた成果がそれかよ・・・。
いいのかよ、そんな結論でよ・・・。
おまけにそれで欲情しておかずにしちゃうってよぉ・・・。

自分が殺人までやらかしてしまうほど愛した女の魅力が外見とセックスだけで、中身がなぁーんもなかったってことに拘置所で気づいたら、記者なら凹んで欲情どころじゃねえぞぉ・・・。


ていうかそもそも、いままで「たんなる顔の美しさやスタイル」に惚れていただけで究極の愛と言い切れる菊治や渡辺先生って、いったい・・・。

いやー、性のエリートってマジですごいっす・・・。



夜長 六

えーっと・・・。

とりあえず、コメント欄で早く早くという声がある訳がわかりました。
たしかにこりゃひどいわ・・・。
では、前から見てまいりましょう。


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いつも孤独な夜が不安だった菊治は、ゆき果てて落ち着きを取り戻した。
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ようやく本来の自分を取り戻したということでしょうか。

「自慰でゆき果てるのが本当の自分」

現在自分探しの旅の途中の若者のかた、万が一そんな結論を見つけても落ち込まないでくださいね。
君はまだ若いんです。
まだ新しい自分を見出せるはずです、五十五歳の殺人犯じゃないのですから。


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不安だった夜は、冬香を思って自慰をできるようになったことで待ち遠しくなった。監視されている生活だが自慰まで制限されているわけではない。なにをするでもなく日が過ぎるのを待つだけの男にとって、自慰ほど気持が安らぐ行為はない
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これは地の文なのですが・・・


誰ですか?臆面もなくこんなこといってるのは。


自慰ができる夜が待ち遠しいって、聞いててなさけないよ・・・。
自慰ほど気持が安らぐ行為はないって、いってて恥ずかしくないか?


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夜、布団をかぶれば自分の世界だ。
愛だけは国家権力も介入できない。いいかえると、自慰こそ、身柄を拘束された男の、唯一の反抗の手段でもある。
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おーい、


オザキー!

ジミー!!



本当の反抗を教えてやれ!!


ほんとお前、言うことはでっかいけどやることはちっちゃいなあ・・・。
国家権力の介入がどうしたとか、唯一の反抗がどうだかって、やってることはただの自慰だもんよ・・・。

ていうかもはや「愛=セックス」じゃなくて、


「愛=自慰」


ですか?

このストーリー、「愛」の定義がどんどんしょぼくなってるよ。
いちばんスケールが大きかったのが「連載前の作者の言葉」だもんなあ、幼稚な純愛との戦いとか言ってたときの・・・。


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こんな一人だけの勝手な思いをきいてくれるのは、冬香しかいない。
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なんだよ、わかってたのかよ、独り善がりな考えだって・・・。

だけど、冬香でも理解できるかなあ、




「国家への反逆のオ○ニー」



なんて思いは・・・。

まあ、日経の見開きにこんな持論を展開している時点である意味国の公序良俗に反抗はしてるけど・・・。


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冬香だけは、そんな行為を馬鹿らしいとか、汚らわしいとかいわず、それどころか、夢の中でいつも微笑み、ときには手をかしてくれる。
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いや、あの、「冬香だけ」っていうか、それ全部、あなたの夢か幻覚ですから・・・。

いいかえると、その冬香の存在自体、「一人だけの勝手な思い」ですから・・・。


つか、手をかしてくれるって、おい・・・。


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冬香が菊治のものを擦り、菊治も愛しいところに愛撫すると、以前同様、冬香が先に喘ぎだし、耐えきれなくなって二人は結ばれる。
求め合いながら、抽斗の奥のボイスレコーダーを思い出す。あれさえあれば、いつも冬香とともに、狂熱の世界へかけ昇れる。
なんとかあれを持ち込んで秘そかにきけないものか。菊治のなかで、熱い欲望がうねりだす。
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冬香は毎晩きてんじゃんよ。

もっと身近に感じて一緒にかけ昇りたいって、毎晩かけ昇ってんじゃんよ。

お前さあ、愛だとか反逆だとかいろいろ理屈こねまわしてっけどさあ・・・


おかずが欲しいだけだろ?


で、どうする気だ?
弁護士か高士か、それか今なら言うことを聞きそうな中瀬にでも取ってこさせるか?


いずれにしても反逆のオ○ニスト菊治、国家権力への秘かな反抗に飽き足らず、おのれの自慰行為のために拘置所におかずを持ち込ませるという明確な犯行に及ばんという勢いです。

これは実行すればもはや「反逆」や「反抗」などという言葉ではすまされません。

テロです。
テロ行為です。
いや、日経の紙面で拘置所での自慰について熱く語っている時点でテロのようなものですが、このうえ自慰のためなら触法行為も辞さずという確信犯的犯行、重ね重ね国家と善良な市民への挑戦的行為です。

いまや菊治、「エロ・テロリスト」インリン様を超える「オ○・テロリスト」といってよいでしょう。
これはもう、HGに「逆M字固め」でピンフォールしてもらうほかなさそうですよ、フォー!


・・・え?
意味がわからないですか?
参考文献は11月4日付日刊スポーツです。


・・・しかしそれにしても自分でも情けなくなるエロ単語連発、作品に比例して記者も壊れ気味です・・・。

※ハッスルに興味のない方、すみません。



夜長 七

拘置所のなかの生活で、菊治が自慰とともに心が癒されるのは・・・


#割り込みすみません・・・。
記者、この冒頭の文でやられてしまいました。

なんでしょうか、この馬鹿さ加減は。
「自慰とともに心が癒されるのは・・・」ですよ。
いい大人が真顔で告白することじゃないですって。
ほんとにもう、勘弁してほしいです。

ということで、冒頭にひとしきり呆れたところで、あらためてあらすじです。#


・・・菊治が自慰とともに心が癒されるのは、運動時間と入浴のときである。
入浴は週二回十五分ずつ、被告人同士の会話も禁止だが、それでも生き返ったような気がする。運動は週三回三十分ずつ、横三、四メートル、縦三十メートルほどの空間を行き来するだけだが、唯一外の空気に触れて空を見られるので待ち遠しい。
もうこんな光の中を冬香とは歩けはしないと知りながら、真昼間、二人で歩いたときを思い返す
そんな状態で半月が過ぎたころ、北岡弁護士と再び会い、前より顔色がよくなったといわれる。夜に自慰をして、自然に眠れるようになったからだが、そこまでいうこともないので礼だけいう。
裁判の日どりが決ったと弁護士は切りだし、第一回は十月十日、検事は以前会ったことのある、織部美雪みゆきさんという女性検事だという。


#織部さん、おおかたの予想どおり法廷にも立つそうです。
調書作成段階と同一検事が担当することが異例だろうがなんだろうが関係ありません。
下の名前はたぶん永遠に分からないであろう「北岡」弁護士にフルネームで紹介されますが・・・

しかし織部さん、「美雪」ってお名前ですか・・・。

うまくいえませんが、なんか意表を衝かれました。
織部検事の印象と記者の「美雪」のイメージとがいまいち合致しません。
いや、どんなイメージだよ、といわれると困りますが、名前に対するイメージって誰しもなんなりと持ってるじゃないですか。
その範疇にないってことです。

まあそんな記者の勝手なイメージはさておき、織部検事には自分の担当する被告がどれほどキモイ野郎かをぜひ知っておいていただきたいものですね。
だいたいなにがキモイって、


「顔色がよくなったようですね」

それは夜に自慰をして自然に眠れるようになったからだ。



そんな分析いらねえよ!


そこまでいうこともないので・・・


ああ、いわなくていいよ。


ついでに読者にも報告せんでくれ。


っつうかお前、半月のあいだ毎晩か?
少し顔色がよくなったっていうより、千駄ヶ谷にいた頃よりむしろ元気じゃねえかよ。

まったく、殺人犯が被害者を想像して毎晩自慰行為って、その事実だけで反省や悔悟の色はみられねえよ。
てか、むしろ快楽殺人の線すら出てくるよ。


織部さん、この男はこんなヤツなんですよ。
なんなら記者、証言台に立ちますよ。


とりあえず、今夜、織部検事が菊治の枕元で微笑みかけないことを祈ります・・・。