今日の愛ルケ(#298)
この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写もかなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
たしか浴衣はおおってやっただけのはず・・・
挿画:小松久子先生
風死す 七
============================ 冬香を殺してしまったが、冬香は恨んでいないどころかかすかに微笑んでいるように見える。
============================
ボディランゲージの達人に申し上げるのは心苦しいのですが、
きっと、見えるだけですから・・・。
============================ 菊治は安堵して、冬香の浴衣を少し開く。
少しも変わらぬ躰は白く、気高すぎるほど臈 たけて、見知らぬ人が見たら、白磁の裸像と見間違うかもしれない。
============================
それで安堵するって・・・
いいですねえ、そのポジティブシンキング。
分けて欲しいですよ、その、なにごとも自分に都合よく解釈できる力。
本なんか出したらきっと売れますよ。
「超・菊治的思考法」-「なのか」と「ようである」でお気楽ライフ!-
みたいな。
・・・ちなみに見知らぬ人が見ても、たぶん転がってる死体だと分かると思いますが、ところで、そんなふうに浴衣を開いてなにするつもり?
ま、まさか・・・ていうか、やっぱり・・・?
============================ 「ふゆか…」とつぶやき、菊治は胸元に唇を寄せる。
============================
や、やっぱり・・・。
============================ いま一度、冬香の全身に接吻したい。すべてを唇でおおい舐めつくしたら、冬香は甦るかもしれない。
============================
そ、そうだよな・・・
愛の力で、エロスの力で、もしかしたら甦るかもな・・・
・・・って、ありえねーよっ!!
・・・なんて、とりあえずノリ突っ込みをしてみましたが、でもそのありえねー展開のほうがきっと読者は喜びますし、むしろ納得すると思いますけどね。
============================ 祈る気持で右の乳房をおおうと、乳首が信じられぬほど冷たい。触れた胸から下腹は冷え切っている。心臓が止まり、血の流れもとまり、死が定まったようだ。
============================
はい、定まりましたよ、あなたがのんびりしている間にね・・・。
============================ ならば死に向かう躰をくい止め、あの、悶え叫び、狂ったように昇り詰めた、熱い血の迸 る躰に戻したい。
============================
あー、もしもし?
えっと、冬香の躰は「死に向かっている」とかじゃなくて、「死が定まった」のをたったいま確認したんじゃなかったでしたっけ?
まあ、そんな認識変更はいつものことだからよいとして・・・
あの、悶え叫び、狂ったように昇り詰めた、熱い血の迸る躰に戻したい
狂ってんのはお前だよ!!
============================ 乳房、脇腹、お臍、下腹と、菊治は舌が痺れて抜けるまで、懸命に舐めまわす。股間から秘所、そして花蕊の手前のもっとも鋭敏な花片を上下に左右にさらに下から煽るように揺らすが、愛液も冷えたまま、なにも応えない。
============================
乳房、脇腹、臍、下腹、そして股間、秘所、花片。
全身っていうわりには偏りがありますが、しかし「舌が痺れて抜けるまで舐めまわす」とは、冬香が生きていた頃の皆無に等しいおざなりな前戯からは想像できませんね。
この執拗な接吻を生前からきちんと励行していれば、
「前戯がない。ショボイ。最悪」
と散々馬鹿にされていた菊治のセックスへの評価も違ったものになっていたことでしょう。
「しつこい。キモイ。最悪」
・・・。
やっぱ、最悪っすか・・・。
た、たしかにあのオッサンに全身を舐めまわされるのはキツイですね・・・。
ペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・
レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ・・・
ベーロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ・・・
ブーチュブチュブチュブチュ・・・ベーチャベチャベチャベチャ・・・
ネーチョネチョネチョネ分かったよしつけえな!
・・・いやもう、どんなにキモイかじゅうぶんお分かりになったことでしょう。
それなのに死んでからそのような仕打ちを受ける冬香。
女性読者のみなさん、冬香の立場になって想像してみ・・・
あ、いや、あまりグロい想像を要請するとせっかく増えた本紙の訪問者数が減りそうですね。
みなさんほどほどのところでやめておいてください。
ま、あの冬香ですから、死体になって初めて本気でボディに接吻してもらって、やっぱり悦んでいるかもしれませんね。
ですが、さすがにそんな冬香といえども・・・
============================ 冬香の躰は乳房から花蕊まで、すべて死に絶えたようである。
============ここまで============
残念ながら菊治の接吻で甦ることはありませんでした。
さあ、かくなる上は菊治、「最終手段」に踏み切るのでしょうか?
万が一そんな事態となれば、またコメント欄からブーイングの大合唱が聞こえてきそうですが、しかしみなさん、いい加減にしろいい加減にしろといいつつ、実はその「最終手段」を期待しているのではないでしょうか。
いわゆる「怖いもの見たさ」的な気分になりつつある方も、実は少なくないでしょう。
いやもう実際、ここまでくればなんでもありですよ。
やっちゃってくださいよ。
やっちゃいましょうよ。
ええ、記者もヤケクソ気味です。
でも先生、ただやるだけじゃなんですから、ここは今まで誰も書かなかった斬新な愛の表現でフィニッシュに持ち込みましょうよ。
たとえばやっちゃってつながってる最中に先程手にしたナイフに再度ご登場願って、「俺はは死ねないけど、これだけはずっと、お前の中に・・・」なんていいながら自分で切り取っちゃうとか。
逆アベサダ、あるいは、ひとりアベサダ。
いやー男としては考えるだけで痛いですけど、最後くらい菊治に根性見せてもらいましょうよ。
え?
そのあとどうするのかって?
いやいや、そんなもん知ったことじゃないですよ。
あとさき考えないのが菊治の真骨頂ですから。
そこで連載が終わりになったっていいんじゃないですか。
物語がそこで終わったら、あとは読者で勝手に補完すればいいだけのことです。
そう、なにかしら秘策があるんですよ。
数々の冬香の秘策と同じように、永遠に明かされることのない、そして誰も納得のできない、秘策が・・・。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
たしか浴衣はおおってやっただけのはず・・・
挿画:小松久子先生
風死す 七
ボディランゲージの達人に申し上げるのは心苦しいのですが、
きっと、見えるだけですから・・・。
少しも変わらぬ躰は白く、気高すぎるほど
それで安堵するって・・・
いいですねえ、そのポジティブシンキング。
分けて欲しいですよ、その、なにごとも自分に都合よく解釈できる力。
本なんか出したらきっと売れますよ。
「超・菊治的思考法」-「なのか」と「ようである」でお気楽ライフ!-
みたいな。
・・・ちなみに見知らぬ人が見ても、たぶん転がってる死体だと分かると思いますが、ところで、そんなふうに浴衣を開いてなにするつもり?
ま、まさか・・・ていうか、やっぱり・・・?
や、やっぱり・・・。
そ、そうだよな・・・
愛の力で、エロスの力で、もしかしたら甦るかもな・・・
・・・って、ありえねーよっ!!
・・・なんて、とりあえずノリ突っ込みをしてみましたが、でもそのありえねー展開のほうがきっと読者は喜びますし、むしろ納得すると思いますけどね。
はい、定まりましたよ、あなたがのんびりしている間にね・・・。
あー、もしもし?
えっと、冬香の躰は「死に向かっている」とかじゃなくて、「死が定まった」のをたったいま確認したんじゃなかったでしたっけ?
まあ、そんな認識変更はいつものことだからよいとして・・・
あの、悶え叫び、狂ったように昇り詰めた、熱い血の迸る躰に戻したい
狂ってんのはお前だよ!!
乳房、脇腹、臍、下腹、そして股間、秘所、花片。
全身っていうわりには偏りがありますが、しかし「舌が痺れて抜けるまで舐めまわす」とは、冬香が生きていた頃の皆無に等しいおざなりな前戯からは想像できませんね。
この執拗な接吻を生前からきちんと励行していれば、
「前戯がない。ショボイ。最悪」
と散々馬鹿にされていた菊治のセックスへの評価も違ったものになっていたことでしょう。
「しつこい。キモイ。最悪」
・・・。
やっぱ、最悪っすか・・・。
た、たしかにあのオッサンに全身を舐めまわされるのはキツイですね・・・。
ペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・
レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ・・・
ベーロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロベロ・・・
ブーチュブチュブチュブチュ・・・ベーチャベチャベチャベチャ・・・
ネーチョネチョネチョネ分かったよしつけえな!
・・・いやもう、どんなにキモイかじゅうぶんお分かりになったことでしょう。
それなのに死んでからそのような仕打ちを受ける冬香。
女性読者のみなさん、冬香の立場になって想像してみ・・・
あ、いや、あまりグロい想像を要請するとせっかく増えた本紙の訪問者数が減りそうですね。
みなさんほどほどのところでやめておいてください。
ま、あの冬香ですから、死体になって初めて本気でボディに接吻してもらって、やっぱり悦んでいるかもしれませんね。
ですが、さすがにそんな冬香といえども・・・
残念ながら菊治の接吻で甦ることはありませんでした。
さあ、かくなる上は菊治、「最終手段」に踏み切るのでしょうか?
万が一そんな事態となれば、またコメント欄からブーイングの大合唱が聞こえてきそうですが、しかしみなさん、いい加減にしろいい加減にしろといいつつ、実はその「最終手段」を期待しているのではないでしょうか。
いわゆる「怖いもの見たさ」的な気分になりつつある方も、実は少なくないでしょう。
いやもう実際、ここまでくればなんでもありですよ。
やっちゃってくださいよ。
やっちゃいましょうよ。
ええ、記者もヤケクソ気味です。
でも先生、ただやるだけじゃなんですから、ここは今まで誰も書かなかった斬新な愛の表現でフィニッシュに持ち込みましょうよ。
たとえばやっちゃってつながってる最中に先程手にしたナイフに再度ご登場願って、「俺はは死ねないけど、これだけはずっと、お前の中に・・・」なんていいながら自分で切り取っちゃうとか。
逆アベサダ、あるいは、ひとりアベサダ。
いやー男としては考えるだけで痛いですけど、最後くらい菊治に根性見せてもらいましょうよ。
え?
そのあとどうするのかって?
いやいや、そんなもん知ったことじゃないですよ。
あとさき考えないのが菊治の真骨頂ですから。
そこで連載が終わりになったっていいんじゃないですか。
物語がそこで終わったら、あとは読者で勝手に補完すればいいだけのことです。
そう、なにかしら秘策があるんですよ。
数々の冬香の秘策と同じように、永遠に明かされることのない、そして誰も納得のできない、秘策が・・・。