今日の愛ルケ(#289)
この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写もかなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
花火 三十
うなずく菊治。たしかにきょうの冬香は思い詰めたようだったが、ベッドに入った途端に積極的になり、激しく危うく燃えた。単純に花火で興奮したのかと思ったが、嬉しいとか死にたいとか、いつもと違い支離滅裂に口走ったのは、夫と争って自暴自棄になっていたからか。
思えば、菊治が花火に誘って即座に大丈夫、泊りますと答えたころから、夫と破滅し家にいられなくなることを覚悟していたのか。
「なにも知らなくて…」と菊治が謝るが、冬香は「いいの」という。
菊治がつくった躰は絶対誰にも触らせない、そこには菊治が全部入っていて、菊治のしたことは全部覚えているのだという。
それを菊治は天上からの女神の声のようにきく。
「わたしはこのまま、あなたに抱かれたまま死にたいの。この最高の愛の、このために、人は生まれて死ぬのでしょう」
そういわれると、そんな気もする。
「愛で死なずに、なんで死ぬの…」
あの控えめだった冬香がこれほど叫び、訴えるのが、菊治には無気味で怖くて、震えるほど嬉しい。
#冬香はいつもと違い・・・
いえ、いつもどおりです。
なんだか思い詰めたみたいだったり、飯食っててもまともな会話しなかったり、ベッドで急に積極的になったり激しく燃えたり、そして果てたあと喋りだしたら支離滅裂だったり・・・。
すべていつもどおりです。
みんな飽き飽きしてるくらいです。
それでもたったひとこと、「滅茶苦茶にして」でたいがいみんな冬香になにかあったことをお見通しだったんですよ、ひとり興奮してた菊治、あんたを除いてね。
だいたいなにを今さら、冬香はあのころ覚悟を決めていたのかとかなんとかいってんでしょうか。みんなそれもわかってましたよ。
もっとも、それは世間では覚悟とは言わず、「開き直り」っていいますけどね。
さて、その開き直ってる女です。
なんでしょうか、きょうは。
決めゼリフ連発ですよ。
やれ、「あなたにつくってもらった躰だから・・・」だとか、「この躰には、あなたが全部入ってるの・・・」だとか、「この最高の愛の、このために、人は生まれて死ぬのでしょう」だとか、とどめは「愛で死なずに、なんで死ぬの…」ですよ。
早くも Vシネ 映画の宣伝文句を打ち出しているのでしょうか。
こんな感じの。
![劇場版 愛の流刑地 劇場版 愛の流刑地](https://stat.ameba.jp/user_images/ba/cc/10001718407_s.jpg?caw=800)
「この躰には、あなたが全部入ってるの」
性に目覚め、愛に生きることを選んだ冬香が、
菊治とともにたどりつく流刑地とは…。___
「この最高の愛の、このために、___
人は生まれて死ぬのでしょう」___
あの「失楽園」から十年。________
渡辺淳一が紡いだ、本当の「純愛」。___
新作ロードショーのポスターと劇場予告編のナレーションのつもりだったのですけど、ポスターは即席で雑につくった分、なんだか場末感満点になってしまいましたね。
路地裏に何年も前から貼り付けられたままの破れかけのやつみたいですよ。
なお、監督や出演を勝手にイメージして記載しなかったのはズボラではなく、記者なりの配慮でございます。
え?
映画化なんてされるわけないだろ、ですって?
それ以前に本として出版されるのかよ、ですって?
いい質問でございますよ。
今まで記事にしませんでしたが、せっかくの機会ですので手元にほったらかしにしていた情報をお出しいたしましょう。
まねきねこ証券(仮名)から今年の3月に出されたある株式投資レポートの一節を紹介いたします。
__________________________
「幻冬舎(7843 ジャスダック市場)」
投資判断:新規B+
-ざくっと略-
・・・また、来 06.3 期業績においても・・・同社独自の売り込む仕掛け作りにより、増収増益が期待できると考える。来期は現在日経新聞の最終面に連載されている渡辺淳一氏の「愛の流刑地」も出版予定である。年内に出版予定だが、すでに映画化の話もある。10年前に同じく日経新聞で連載され映画化された渡辺淳一氏の「失楽園」は100万部以上の大ベストセラーとなっており、今回も同程度の発行部数が期待できよう。(以下略)
__________________________
いえいえ。
これは記者の作り物じゃないのですよ。
実在する証券会社の作成したレポートなんです。
ですから、とりあえず書籍化されることは間違いないようで、おまけにどこまで進んでいるのか、映画化の話もあるということなんですよ。
それにしても、「失楽園」の100万部と同程度の発行部数が期待できるというアナリストさん、実は女性なのですが、こんなことをおおっぴらに言えてしまうのも、彼女が本編連載を読んでいないからに違いありません。
読んでいればなかなか言えませんよ。
いやー、まさに知らぬが仏です。
それから幻冬舎さん、万が一今後の収益計画に「愛ルケ」を織り込んでいるなら、そろそろ修正を考えておいたほうがいいんじゃないでしょうか。
それと映画化の話・・・
レポートの時点から半年近く経ちますが、進展どころか立ち消えになっていたりしないのでしょうか・・・?
※画像:8月20日付日経掲載挿画に記者加筆。
※幻冬舎レポート:2005年3月16日付コスモ証券レポートより。本記事はその一部を引用しただけであり、投資の推奨や投資判断の材料を提供するものではありません。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
花火 三十
うなずく菊治。たしかにきょうの冬香は思い詰めたようだったが、ベッドに入った途端に積極的になり、激しく危うく燃えた。単純に花火で興奮したのかと思ったが、嬉しいとか死にたいとか、いつもと違い支離滅裂に口走ったのは、夫と争って自暴自棄になっていたからか。
思えば、菊治が花火に誘って即座に大丈夫、泊りますと答えたころから、夫と破滅し家にいられなくなることを覚悟していたのか。
「なにも知らなくて…」と菊治が謝るが、冬香は「いいの」という。
菊治がつくった躰は絶対誰にも触らせない、そこには菊治が全部入っていて、菊治のしたことは全部覚えているのだという。
それを菊治は天上からの女神の声のようにきく。
「わたしはこのまま、あなたに抱かれたまま死にたいの。この最高の愛の、このために、人は生まれて死ぬのでしょう」
そういわれると、そんな気もする。
「愛で死なずに、なんで死ぬの…」
あの控えめだった冬香がこれほど叫び、訴えるのが、菊治には無気味で怖くて、震えるほど嬉しい。
#冬香はいつもと違い・・・
いえ、いつもどおりです。
なんだか思い詰めたみたいだったり、飯食っててもまともな会話しなかったり、ベッドで急に積極的になったり激しく燃えたり、そして果てたあと喋りだしたら支離滅裂だったり・・・。
すべていつもどおりです。
みんな飽き飽きしてるくらいです。
それでもたったひとこと、「滅茶苦茶にして」でたいがいみんな冬香になにかあったことをお見通しだったんですよ、ひとり興奮してた菊治、あんたを除いてね。
だいたいなにを今さら、冬香はあのころ覚悟を決めていたのかとかなんとかいってんでしょうか。みんなそれもわかってましたよ。
もっとも、それは世間では覚悟とは言わず、「開き直り」っていいますけどね。
さて、その開き直ってる女です。
なんでしょうか、きょうは。
決めゼリフ連発ですよ。
やれ、「あなたにつくってもらった躰だから・・・」だとか、「この躰には、あなたが全部入ってるの・・・」だとか、「この最高の愛の、このために、人は生まれて死ぬのでしょう」だとか、とどめは「愛で死なずに、なんで死ぬの…」ですよ。
早くも
こんな感じの。
![劇場版 愛の流刑地 劇場版 愛の流刑地](https://stat.ameba.jp/user_images/ba/cc/10001718407_s.jpg?caw=800)
「この躰には、あなたが全部入ってるの」
性に目覚め、愛に生きることを選んだ冬香が、
菊治とともにたどりつく流刑地とは…。___
「この最高の愛の、このために、___
人は生まれて死ぬのでしょう」___
あの「失楽園」から十年。________
渡辺淳一が紡いだ、本当の「純愛」。___
新作ロードショーのポスターと劇場予告編のナレーションのつもりだったのですけど、ポスターは即席で雑につくった分、なんだか場末感満点になってしまいましたね。
路地裏に何年も前から貼り付けられたままの破れかけのやつみたいですよ。
なお、監督や出演を勝手にイメージして記載しなかったのはズボラではなく、記者なりの配慮でございます。
え?
映画化なんてされるわけないだろ、ですって?
それ以前に本として出版されるのかよ、ですって?
いい質問でございますよ。
今まで記事にしませんでしたが、せっかくの機会ですので手元にほったらかしにしていた情報をお出しいたしましょう。
まねきねこ証券(仮名)から今年の3月に出されたある株式投資レポートの一節を紹介いたします。
「幻冬舎(7843 ジャスダック市場)」
投資判断:新規B+
-ざくっと略-
・・・また、来 06.3 期業績においても・・・同社独自の売り込む仕掛け作りにより、増収増益が期待できると考える。来期は現在日経新聞の最終面に連載されている渡辺淳一氏の「愛の流刑地」も出版予定である。年内に出版予定だが、すでに映画化の話もある。10年前に同じく日経新聞で連載され映画化された渡辺淳一氏の「失楽園」は100万部以上の大ベストセラーとなっており、今回も同程度の発行部数が期待できよう。(以下略)
いえいえ。
これは記者の作り物じゃないのですよ。
実在する証券会社の作成したレポートなんです。
ですから、とりあえず書籍化されることは間違いないようで、おまけにどこまで進んでいるのか、映画化の話もあるということなんですよ。
それにしても、「失楽園」の100万部と同程度の発行部数が期待できるというアナリストさん、実は女性なのですが、こんなことをおおっぴらに言えてしまうのも、彼女が本編連載を読んでいないからに違いありません。
読んでいればなかなか言えませんよ。
いやー、まさに知らぬが仏です。
それから幻冬舎さん、万が一今後の収益計画に「愛ルケ」を織り込んでいるなら、そろそろ修正を考えておいたほうがいいんじゃないでしょうか。
それと映画化の話・・・
レポートの時点から半年近く経ちますが、進展どころか立ち消えになっていたりしないのでしょうか・・・?
※画像:8月20日付日経掲載挿画に記者加筆。
※幻冬舎レポート:2005年3月16日付コスモ証券レポートより。本記事はその一部を引用しただけであり、投資の推奨や投資判断の材料を提供するものではありません。