天候デリバティブ 12月に上場 -利用法- | にっけいしんぶん新聞

天候デリバティブ 12月に上場 -利用法-

東京金融先物取引所 -7面-

東京金融先物取引所は天候不順で企業が被った損失を補償する天候デリバティブの先物取引を国内で初めて12月に上場する方針を固めました。猛暑や暖冬で天候デリバティブの需要は増加しており、補償金支払いリスクを軽減する狙いでの損害保険会社などの利用を見込んでいます。

以前も触れたことのある天候デリバティブ。
これまでは企業や個人の間の相対(あいたい)取引によるオプション形式のものが中心でしたが、今年末、先物が取引所に上場することになるようです。
まずは東京と大阪の月間平均気温を対象とし、それぞれ6ヶ月先までの気温を1ヶ月単位、0.01度刻みで売買できるとのことです。

先物は、先日説明した「権利」を取引するオプションとは違い、温度そのものを取引することになります。
金額に換算すると1度が10万円で、25度なら250万円、30度なら300万円となるそうで、たとえば6月の気温が25度で取引されているとして、それよりも高くなると思えば25度で買い、結果、6月の平均気温が26度だったなら10万円の利益になるということです。
なるほど、オプションよりも、仕組みははるかに簡単ですね。

気温に売上や費用が連動する企業にとっては、猛暑や冷夏や暖冬のリスクを回避するためのヘッジ手段として利用するニーズはあるでしょう。
一般に気温リスクのある業種としては、
猛暑:遊園地やラーメン店、ガス会社
冷夏:ビアホール、プール、海の家
暖冬:スキー場、スポーツ洋品店、電力会社
などが挙げられております。

なお、上場する東京金融先物取引所は「東証」こと東京証券取引所とはまったく別物であり、個人事業者や個人投資家が手軽に利用できるようになるのかどうかなど、詳しいことは記事からは不明です。
ですが、もし可能ならば事業者さんのみならず、暑い夏が大嫌いな方は7月、8月の気温を買っておいて、猛暑がきたらしんどいけどお小遣いが手に入るように精神的なヘッジをしておく、なんて使い方もできるかもしれません。
あるいは「今年はもちろん優勝やけど、来年も開幕からガンガンいくでぇ!」と信じてらっしゃる虎党のあなたなら、とりあえず4月の大阪の気温を「買い」から入っててみてはいかがでしょうか。
開幕10連勝でもすれば、熱気で0.5度くらいは押し上げられるかもしれませんよ。


それにしても年々拡大する金融デリバティブ市場、これから金融業界では証券アナリストよりも気象予報士のほうが重宝されて、「あいつの予想(すでに予報ではない)はよく当たる!」なんていうカリスマ気象予報士アナリストが登場する時代がやってくるのでしょうか・・・。