今日の愛ルケ(#237-238)
この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写もかなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
<あらすじ>箱根に一泊旅行に出かけた作家村尾菊治(55)と人妻の入江冬香(37)。ふたりはそこで激しく交わりながら、エクスタシーのさなかに首を絞めあい、互いの深い愛を確かめあうようになる。そんな関係に満足とともに不安と戸惑いも感じる菊治。妻から届いた離婚状にも心を揺さぶられるが、一方で冬香との逢瀬は確実に増えてゆく。
(7月1日付日経新聞より写)
#<あらすじ>のみならず、物語の先を書いてしまっていた先月の<あらすじ>とは違い、今月はどうやら間違いなく<あらすじ>のようです。
間違いなく<あらすじ>なのですが、やや間違いのある<あらすじ>であるのは相変わらずですね。
今回は訂正せずにそのまま本文へと進みますが、しかし「梅雨」の章が始まってから今話までの3話、その3話分の中身自体もまた、ほとんど<あらすじ>の域を出ておりません・・・。
梅雨 三
絶頂を迎える際、首を絞め合う戯れが新たにくわわった。それは戯れではなく性技かもしれないが、これを求めてきたのはむろん冬香だ。
昇り詰めながら「死にたい」「殺して」と訴える冬香の首を締めつけると、さらに激しく震えてゆき果てる。咳き込み、喉をひきつらせたところで力を抜くと「離さないで…」と冬香は訴え、実際箱根ではゆるめた途端に、「意気地なし…」と罵られた。
それほど「いい」のだという。
「あなたは、快くないの?」ときかれて思い返すと、冬香が「殺してぇ…」と震えながら果てる瞬間、秘所も痙攣し、襞という襞がぴたと菊治のものをとらえて、締めつけてくる。
その快感にたちまちゆき果てたことを告げると、冬香は「嬉しいわ…」とうなずき、そして囁く。
「あなたを、一緒に連れていくの」
冬香の柔肌と一緒なら、どこへ連れ去られてもいいと、菊治は開き直る。
#手をゆるめた途端に「意気地なし」と罵られた。
菊治、あのときの冬香のひと言がよほどショックだったのでしょうか。
それともいつもどおりの記憶の時間的混濁なのでしょうか。
「意気地なし」と罵られたのはコトが終った後のピロートークの最中で、決して「ゆるめた途端」ではありません。
明らかに勘違いをしております。
しかしほんとに菊治はあのとき意地を見せて殺っちまわないでよかったですよ。
なんてったってこの首絞め、所詮は
戯れ いや 一種の性技
すなわち、
プレイ
なのですから。
まったく、「あなたにも死んで欲しかった」だの、「どうして殺してくれなかったの?」だの、「まさに『死を賭けた愛』」だのとやらはどこへ行ったのやら。
ま、ほんとに死んじまったらその快感はもう得られませんからねえ。
で、冬香はきくわけですよ。
「あなたは、快くないの?」
最近「愛ルケ」を読み始めた方、渡辺ワールドでは「快い」と書いて「よい」と読みます。もちろん、性的快感の意味です。
で、どうやら菊治は冬香と違い、首を絞められることで直接的に快くはならないようですが、首を絞められて昇り詰める冬香の襞を通し、間接的に通常以上に快くなっているようであります。
その答えに満足してうなずく冬香。
このあたり、だんだん菊治のしぐさが伝染りつつあるようですが、しかし冬香の思考は菊治には伝わらないようです。
「あなたを、一緒に連れていくの」
菊治はどこへ連れ去られるのかわかっておりません。
わかっておりませんが、「冬香の柔肌と一緒ならどこでもいい」などと暢気なことをいっております。
どこなんでしょうかねえ。
やっぱり、半分飛び込みそうになるというあちら側の世界のことなんですかねえ。
怖い話ですねえ。
勝手にそんなこと決められてもねえ。
絶頂の中、冬香に連れ去られて、すごおく「快 く」なるとはいっても、到底「快 く」承諾できる話ではありません・・・。
梅雨 四
「あなたを一緒に連れていくの」とは呆れるが、他愛なく、愉悦の世界に引きずられたことはたしかである。
このごろ冬香は昇り詰める寸前に菊治の首を締めつけてくるが、細い指でとても死ぬとは思えないものの、手加減しないので菊治も咳きこむことがある。
苦しくて手をはね除けたこともあり、果てたあとにあれでは苦しくて死ぬだろうときいたが、逆に冬香は「死ぬのは、いやですか?」ときき返してきた。
冬香が死にたいというのに死にたくないとはいいにくい。仕方なく「いいけど…」と答えると、冬香が訓すよううにいう。
「女は動物なの、黙っておくと、なにをするかわからないわ」
納得する菊治に冬香は抱きつき、いう。「あなたのが、いいの…」
自分のものがよくなるということか。
「そう、大きくなって熱くなって、わたしのなかを滅茶苦茶にするの…」
そうなっているとは知らなかった。
「愛と死は、隣り合わせでしょう」
だから怖くないという冬香に、菊治はうなずくが、本音はやはり怖い。
#「あなたを一緒に連れていくの」
こういわれて前話の末尾で「どこへ連れ去られてもいい」と開き直った菊治でしたが、今話の冒頭いきなり豹変し、「なんということをいうのか(原文)」と、呆れております。
どうしたことでしょうか。
なにかあったのでしょうか。
これはもしかして、
原稿用紙が替われば気分も変わる。
ということでしょうか。
先生、本紙もとりあげられた「AERA」の記事によりますと、以前から予想されていたとおり書きだめをせずに時間の進行にあわせてちょこちょこ書いているようですから、前話を書いた翌日あたりに、最後の決めセリフ「あなたを一緒に・・・」を眺めて満足してひとりうなずきながら、気分も新たに書き始めてしまったのでしょう。
それにしても、今話は決めセリフともいうべき冬香の思い切ったセリフが多数散りばめられていますね。
いきなり出てきたのが、
「死ぬのは、いやですか」
なんとも単刀直入な質問です。
記者が冬香にこうきかれたら、こう返すしかありません。
はい、嫌 です。
よしんば死ななきゃならないとしても、
あんたに絞め殺されるのは真っ平ご免です。
記者はおろか、菊治だって嫌だそうですよ。
ほら、菊治、お前年上なんだから、ちゃんと諭してやりなよ・・・
「いいけど・・・」
はぁ?
何いってんだ、おめえ?
冬香が死にたいと訴えてるのに、死にたくない、などとはいいにくい(原文)
だとぉ!?
それを止めるのがパートナーってもんだろうがよぉ。
お前、冬香がコンビニでメロンパン万引きするっていったら止めねえのかぁ?
いっしょにパクって食っちゃうのかぁ?
それで捕まってこういうのかぁ?
(警)お前、なんで万引きなんかやったんや?
(菊)えーと、冬香ちゃんがやったからですぅ。
(警)ほな冬香が死んだらお前も死ぬんか?
(菊) はい、死にます。
(警) ・・・。
ま、ある意味最強ですが・・・。
いやいや、そうじゃないですよ。
こんな昔の先生と悪ガキみたいな会話をやってる場合じゃありません。菊治は還暦も遠くないいい大人なんですから、きちんと諭すのが年の功ってもんです。
引っ込み思案の男の子みたいに「いいけど…」なんていってるから、冬香が訳のわかんないこと言い出すんですよ。
「女は動物なの、黙っておくと、なにをするかわからないわ」
たしかにあんたは馬だか犬だか、まちがいなく動物ですが・・・
いつもなにをしでかすかわからないとんちんかんですが・・・
しかしこんなことを偉そうに訓すようにいいだすとは、とんでもない開き直りですよ。
まったく、黙っておくとなにをいいだすかわからない女です。
おや、ほら、またなんだかいいだしましたよ。
「あなたのが、いいの…」
よくよくきいてみると、菊治の首を絞めたら菊治のものが大きく熱くなって冬香のなかで暴れ回るということらしいのです。
果たして物理的にありえることなのか、よいこのみんなや、いい大人のみなさんは真似をしてはいけませんよ。
記者もさすがにこれは試す気にもなりません。
でも、もしも試したことがあるって方がいましたら、遠慮なく報告してくださいね。
おっと、そんな物理的変化を気にしている間にも、冬香の暴走はまだまだ止まりませんよ。
「愛と死は、隣り合わせでしょう」「だから、怖くないわ」
えーっと、では分析するために記号で表してみましょうか。
「愛と死は隣り合わせ」∴ 「怖くない」
うーん。
まずおかしいのはどこでしょうか。
前提となる命題でしょうか。
「愛と死は隣り合わせ」
さらっと「真」であるものとしておりますが、なんの根拠もありませんね。
どこかで聞いたことがあるようなフレーズではありますが、いきなり「隣り合わせでしょう」とさも当然のように確認されても困ってしまいます。
いえ、仮に百歩譲って「愛と死が隣り合わせ」だったとしましょう。
では、それと「怖くない」という結論を結びつける論理はどうでしょうか。
「愛と死は隣り合わせ、だから死ぬのは怖くない」
なるほど、隣り合わせなら怖くないか、と菊治のようにうなずいてしまったあなた。
将来への投資といって、妙な会員権を買わされていませんか?
彼女にプロポーズするときに必要だといって、ローンを組んで高額な指輪を買わされていませんか?
サムライだかニンジャだかに囲まれて、よくわからないリフォームの契約書に判子をついていませんか?
「F1ドライバーは死と隣り合わせ、だから死ぬのは怖くない」
アグリさんやタクマさんはそんなこといいませんよね。
「鰹の一本釣り漁船、板子一枚下は地獄、だから地獄へ落ちるのも怖くない」
怒られますよ、漁師さんに。
どうですか、うなずいてしまったあなた。
これからは一見すると論理的な話術も、「前提条件そのものの真偽」と「結論への展開の妥当性」、両面から疑ってかかるようにしてくださいね。
いやしかし、それにしても冬香、連載当初のキャラからは考えられないセリフを今回はいつにもまして次から次へと繰り出しました。
いや、連載当初のキャラとかいうよりも、日本に生息する三十代の女性としてこれはありえねえだろうと思うのですが・・・
先生・・・
本当にいるんですか、こんな女が地方には?
注:7月4日発売の「AERA」記事の渡辺先生談話によると、冬香は地方にいるらしい。
※<あらすじ>はNIKKEI NETでも見られますが、「今日の愛ルケ」の過去ログにつきましては、 のっきーさんのブログ で順を追って見やすくしていただいております。
過去ログを読みたいという方は、ぜひご利用くださいませ。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
<あらすじ>箱根に一泊旅行に出かけた作家村尾菊治(55)と人妻の入江冬香(37)。ふたりはそこで激しく交わりながら、エクスタシーのさなかに首を絞めあい、互いの深い愛を確かめあうようになる。そんな関係に満足とともに不安と戸惑いも感じる菊治。妻から届いた離婚状にも心を揺さぶられるが、一方で冬香との逢瀬は確実に増えてゆく。
(7月1日付日経新聞より写)
#<あらすじ>のみならず、物語の先を書いてしまっていた先月の<あらすじ>とは違い、今月はどうやら間違いなく<あらすじ>のようです。
間違いなく<あらすじ>なのですが、やや間違いのある<あらすじ>であるのは相変わらずですね。
今回は訂正せずにそのまま本文へと進みますが、しかし「梅雨」の章が始まってから今話までの3話、その3話分の中身自体もまた、ほとんど<あらすじ>の域を出ておりません・・・。
梅雨 三
絶頂を迎える際、首を絞め合う戯れが新たにくわわった。それは戯れではなく性技かもしれないが、これを求めてきたのはむろん冬香だ。
昇り詰めながら「死にたい」「殺して」と訴える冬香の首を締めつけると、さらに激しく震えてゆき果てる。咳き込み、喉をひきつらせたところで力を抜くと「離さないで…」と冬香は訴え、実際箱根ではゆるめた途端に、「意気地なし…」と罵られた。
それほど「いい」のだという。
「あなたは、快くないの?」ときかれて思い返すと、冬香が「殺してぇ…」と震えながら果てる瞬間、秘所も痙攣し、襞という襞がぴたと菊治のものをとらえて、締めつけてくる。
その快感にたちまちゆき果てたことを告げると、冬香は「嬉しいわ…」とうなずき、そして囁く。
「あなたを、一緒に連れていくの」
冬香の柔肌と一緒なら、どこへ連れ去られてもいいと、菊治は開き直る。
#手をゆるめた途端に「意気地なし」と罵られた。
菊治、あのときの冬香のひと言がよほどショックだったのでしょうか。
それともいつもどおりの記憶の時間的混濁なのでしょうか。
「意気地なし」と罵られたのはコトが終った後のピロートークの最中で、決して「ゆるめた途端」ではありません。
明らかに勘違いをしております。
しかしほんとに菊治はあのとき意地を見せて殺っちまわないでよかったですよ。
なんてったってこの首絞め、所詮は
戯れ いや 一種の性技
すなわち、
プレイ
なのですから。
まったく、「あなたにも死んで欲しかった」だの、「どうして殺してくれなかったの?」だの、「まさに『死を賭けた愛』」だのとやらはどこへ行ったのやら。
ま、ほんとに死んじまったらその快感はもう得られませんからねえ。
で、冬香はきくわけですよ。
「あなたは、快くないの?」
最近「愛ルケ」を読み始めた方、渡辺ワールドでは「快い」と書いて「よい」と読みます。もちろん、性的快感の意味です。
で、どうやら菊治は冬香と違い、首を絞められることで直接的に快くはならないようですが、首を絞められて昇り詰める冬香の襞を通し、間接的に通常以上に快くなっているようであります。
その答えに満足してうなずく冬香。
このあたり、だんだん菊治のしぐさが伝染りつつあるようですが、しかし冬香の思考は菊治には伝わらないようです。
「あなたを、一緒に連れていくの」
菊治はどこへ連れ去られるのかわかっておりません。
わかっておりませんが、「冬香の柔肌と一緒ならどこでもいい」などと暢気なことをいっております。
どこなんでしょうかねえ。
やっぱり、半分飛び込みそうになるというあちら側の世界のことなんですかねえ。
怖い話ですねえ。
勝手にそんなこと決められてもねえ。
絶頂の中、冬香に連れ去られて、すごおく「
梅雨 四
「あなたを一緒に連れていくの」とは呆れるが、他愛なく、愉悦の世界に引きずられたことはたしかである。
このごろ冬香は昇り詰める寸前に菊治の首を締めつけてくるが、細い指でとても死ぬとは思えないものの、手加減しないので菊治も咳きこむことがある。
苦しくて手をはね除けたこともあり、果てたあとにあれでは苦しくて死ぬだろうときいたが、逆に冬香は「死ぬのは、いやですか?」ときき返してきた。
冬香が死にたいというのに死にたくないとはいいにくい。仕方なく「いいけど…」と答えると、冬香が訓すよううにいう。
「女は動物なの、黙っておくと、なにをするかわからないわ」
納得する菊治に冬香は抱きつき、いう。「あなたのが、いいの…」
自分のものがよくなるということか。
「そう、大きくなって熱くなって、わたしのなかを滅茶苦茶にするの…」
そうなっているとは知らなかった。
「愛と死は、隣り合わせでしょう」
だから怖くないという冬香に、菊治はうなずくが、本音はやはり怖い。
#「あなたを一緒に連れていくの」
こういわれて前話の末尾で「どこへ連れ去られてもいい」と開き直った菊治でしたが、今話の冒頭いきなり豹変し、「なんということをいうのか(原文)」と、呆れております。
どうしたことでしょうか。
なにかあったのでしょうか。
これはもしかして、
原稿用紙が替われば気分も変わる。
ということでしょうか。
先生、本紙もとりあげられた「AERA」の記事によりますと、以前から予想されていたとおり書きだめをせずに時間の進行にあわせてちょこちょこ書いているようですから、前話を書いた翌日あたりに、最後の決めセリフ「あなたを一緒に・・・」を眺めて満足してひとりうなずきながら、気分も新たに書き始めてしまったのでしょう。
それにしても、今話は決めセリフともいうべき冬香の思い切ったセリフが多数散りばめられていますね。
いきなり出てきたのが、
「死ぬのは、いやですか」
なんとも単刀直入な質問です。
記者が冬香にこうきかれたら、こう返すしかありません。
はい、嫌 です。
よしんば死ななきゃならないとしても、
あんたに絞め殺されるのは真っ平ご免です。
記者はおろか、菊治だって嫌だそうですよ。
ほら、菊治、お前年上なんだから、ちゃんと諭してやりなよ・・・
「いいけど・・・」
はぁ?
何いってんだ、おめえ?
冬香が死にたいと訴えてるのに、死にたくない、などとはいいにくい(原文)
だとぉ!?
それを止めるのがパートナーってもんだろうがよぉ。
お前、冬香がコンビニでメロンパン万引きするっていったら止めねえのかぁ?
いっしょにパクって食っちゃうのかぁ?
それで捕まってこういうのかぁ?
(警)お前、なんで万引きなんかやったんや?
(菊)えーと、冬香ちゃんがやったからですぅ。
(警)ほな冬香が死んだらお前も死ぬんか?
(菊) はい、死にます。
(警) ・・・。
ま、ある意味最強ですが・・・。
いやいや、そうじゃないですよ。
こんな昔の先生と悪ガキみたいな会話をやってる場合じゃありません。菊治は還暦も遠くないいい大人なんですから、きちんと諭すのが年の功ってもんです。
引っ込み思案の男の子みたいに「いいけど…」なんていってるから、冬香が訳のわかんないこと言い出すんですよ。
「女は動物なの、黙っておくと、なにをするかわからないわ」
たしかにあんたは馬だか犬だか、まちがいなく動物ですが・・・
いつもなにをしでかすかわからないとんちんかんですが・・・
しかしこんなことを偉そうに訓すようにいいだすとは、とんでもない開き直りですよ。
まったく、黙っておくとなにをいいだすかわからない女です。
おや、ほら、またなんだかいいだしましたよ。
「あなたのが、いいの…」
よくよくきいてみると、菊治の首を絞めたら菊治のものが大きく熱くなって冬香のなかで暴れ回るということらしいのです。
果たして物理的にありえることなのか、よいこのみんなや、いい大人のみなさんは真似をしてはいけませんよ。
記者もさすがにこれは試す気にもなりません。
でも、もしも試したことがあるって方がいましたら、遠慮なく報告してくださいね。
おっと、そんな物理的変化を気にしている間にも、冬香の暴走はまだまだ止まりませんよ。
「愛と死は、隣り合わせでしょう」「だから、怖くないわ」
えーっと、では分析するために記号で表してみましょうか。
「愛と死は隣り合わせ」
うーん。
まずおかしいのはどこでしょうか。
前提となる命題でしょうか。
「愛と死は隣り合わせ」
さらっと「真」であるものとしておりますが、なんの根拠もありませんね。
どこかで聞いたことがあるようなフレーズではありますが、いきなり「隣り合わせでしょう」とさも当然のように確認されても困ってしまいます。
いえ、仮に百歩譲って「愛と死が隣り合わせ」だったとしましょう。
では、それと「怖くない」という結論を結びつける論理はどうでしょうか。
「愛と死は隣り合わせ、だから死ぬのは怖くない」
なるほど、隣り合わせなら怖くないか、と菊治のようにうなずいてしまったあなた。
将来への投資といって、妙な会員権を買わされていませんか?
彼女にプロポーズするときに必要だといって、ローンを組んで高額な指輪を買わされていませんか?
サムライだかニンジャだかに囲まれて、よくわからないリフォームの契約書に判子をついていませんか?
「F1ドライバーは死と隣り合わせ、だから死ぬのは怖くない」
アグリさんやタクマさんはそんなこといいませんよね。
「鰹の一本釣り漁船、板子一枚下は地獄、だから地獄へ落ちるのも怖くない」
怒られますよ、漁師さんに。
どうですか、うなずいてしまったあなた。
これからは一見すると論理的な話術も、「前提条件そのものの真偽」と「結論への展開の妥当性」、両面から疑ってかかるようにしてくださいね。
いやしかし、それにしても冬香、連載当初のキャラからは考えられないセリフを今回はいつにもまして次から次へと繰り出しました。
いや、連載当初のキャラとかいうよりも、日本に生息する三十代の女性としてこれはありえねえだろうと思うのですが・・・
先生・・・
本当にいるんですか、こんな女が地方には?
注:7月4日発売の「AERA」記事の渡辺先生談話によると、冬香は地方にいるらしい。
※<あらすじ>はNIKKEI NETでも見られますが、「今日の愛ルケ」の過去ログにつきましては、 のっきーさんのブログ で順を追って見やすくしていただいております。
過去ログを読みたいという方は、ぜひご利用くださいませ。