食品スーパーにヨーカ堂進出 -他になんかないのぉ?- | にっけいしんぶん新聞

食品スーパーにヨーカ堂進出 -他になんかないのぉ?-

1000億円投資 5年で80店 -1面-

イトーヨーカ堂は来年度から首都圏で食品スーパーの経営に乗り出し、800億-1000億円の投資で5年間に80ヵ所に食品スーパーを核にしたショッピングセンター(SC)を開発します。
基本的な店舗構成は、既存店と差異化した「アリオ ガーデン」という約2000平米の食品スーパーをヨーカ堂が直接運営し、ドラッグストアや衣料品などの有力専門店テナントを合わせたSC形態で、来店頻度の向上と安定的なテナント収入を目指します。
開発はヨーカ堂と三井物産の共同出資のデベロッパー「モール・エスシー開発」が担い、SC開発を軌道に乗せて5年以内に上場する意向です。
総合スーパーが苦戦する中、食品スーパーは産業再生機構傘下で再建中のダイエーも特化を打ち出すなど、競争激化が予想されます。


なんかもう、ヨーカ堂もだめですね。
ヨーカ堂がはじめるっていうこれ、おそらく今イオンがマックスバリュを中核店舗に展開しているオープンモール型のSCみたいなもんでしょう。
こないだまでイオンがガンガン展開していた総合スーパーを中核にテナントが多数入居するモール型SCは、ヨーカ堂は参戦を避けたのか完全に出遅れたのか、ほとんど出店していませんでしたが、既存店売り上げが落ち込む一方では、物まねがどうとか言ってられません。
比較的落ち込みの少ない食品スーパー事業に注力です。

しかし大手総合スーパー、どこもかしこも同じことばっかりやって、なんか新しい知恵はないのでしょうか。
総合スーパー単体がしんどくなって、モール型SCをガンガン出店していたと思ったら、それもここへきてしんどくなって、今度はこぞって食品スーパーです。
機構傘下のダイエーなんて、当面倒産がなくなったのをいいことに、実験店もなしで都市型小型食品スーパーを100店出店するとか勝手なことを言ってますし、そうでなくてもここ数年、郊外には大手スーパー抜きでの同様のSCの出店が続いていて、どうせあと数年もすれば過当競争で共倒れがオチでしょう。

ところで先日、新しくオープンしたイオンの大型モールにたまたま寄りました。
千葉県の八千代緑ヶ丘という駅の目の前の店舗なのですが、デカいです。もはや「スーパー」という概念ではありませんでした。
テナントの造りにも凝っていて、フラフラするにはなかなか面白かったです。
ファミリー層向けのテナントも多く、中核店舗イオンに対する集客効果という意味ではそこそこありそうな気もしましたが、実際はどうでしょうか。
広いモールを見てまわったらいい加減疲れて、晩のおかずはイオンで買わずに食べて帰っちゃおっか、そんな風になりそうな気もしました。
ああ、そういえば記者も小売業の動向調査のために立ち寄ったはずなのに、総合スーパーは見てくるの忘れちゃったなあ。でもいまさらスーパー覗いてもなあ。

それに商圏はどの程度を想定しているのでしょうか。
少し見回すだけで、あっちにマックスバリュ、こっちにもマックスバリュ、わずか5㌔ほど離れた津田沼まで出れば、ほぼ同じ形態のイオンの大型SC。
こりゃあ、カニバリ(共食い)です。
完璧、カニバリますよ。

イオン1社でこんな有様ですが、もちろん競合する会社は多数存在しますし、取り立てて特徴のない大型スーパーはいくら頑張ったって既存店売り上げが減るのは当然でしょう。
そこへ今度は食品スーパーがわんさか誕生です。売り上げが比較的安定しているといっても、人が食べる量が増えるわけでなく、みんなが山ほどスーパーをつくれば、先はどうなるか知れています。
結局、「他所がやるからうちもやらざるを得ない」的な不毛な闘いなのでしょう。

中小型の食品スーパーなら、店によっては珍しい輸入物とか変わった惣菜とか食材とか調味料とか、あるいは激安品とか、ちょっとした宝探しみたいな楽しみをできるものなのですが、イオンやヨーカ堂が競争するモールの中の大型食品スーパーにはそんな魅力はなさそうです。
先ほどモールに行って中核のスーパーを見るのを忘れて帰ってきてしまったと書きましたが、スーパーはもはやモールの中核店舗ではなく、普通の食品とか日用品の買い物もできる大きな店が入っている、その程度のものなのかもしれません。