今日の愛ルケ(#114)
この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写もかなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
風花 十三
恋する者にとって、携帯はなにより便利だ。携帯を持っていない人やメールを使えない男は、きっと恋人がいないからだろう。
いまや菊治にとっては必需品である。メールが冬香との唯一だがたしかな命綱だ。
話すのは午前の限られた時間、それもメールで確認してからである。
時候の見舞いに始まり、じき、「早く逢いたい」「大好き」と他愛ない言葉をくり返し、「わたしもです」「お逢いしたいです」と返ってくる。
洒落たことをいおうと思っても、結局ストレートな言葉になる。
「声をきいていると、あそこがおかしくなってくる」と訴えると、「今度、逢えるときまで、鎮めていてください」という。
「このままでは、氷ででも冷やさなければ、おさまらない」と訴えると、「可愛い…」といって、笑い出す。
子供がいれば愛をたしかめる言葉だけだし、夜にはメールも控える。しかし夫に見られる心配はないのか。
冬香は「大丈夫です」と、きっぱりいいきるが、どうしているのか。
夫のいうまま仕えているようで、意外に操っているのかもしれない。
「表面は控えめだが、芯は強いのかも」
冬香の笑顔を浮かべながら、女は分からないと、菊治は思う。
#恋をする者にとって・・・
まさか携帯について解説があるとは思いませんでした。
おまけにメールを使えない奴には恋人がいないのだろうなんて、菊治はまたしても調子に乗っちゃってますけど、まあ、これはあながち的外れでもないでしょう。
ちなみに記者の脳裏に浮かんだのは、クラブのおねえちゃんにメールを送るのに必死にピコピコ格闘する渡辺先生の姿です。
そんなメールを駆使して朝のテレホンタイム。
やっぱり大人の方は違いますね。愛をささやく電話に際しても、きちんと時候見舞いから入ります。
「大寒を迎えたまさに厳寒のみぎり、いかがお過ごしでしょうか?」
「おかげさまで元気です。そちらはいかがおすごしでしょうか?」
「もちろん、ぼくも元気です。ああ、早く逢いたい。大好き」
「わたしもです。お逢いしたいです」
「声を聞いているとあそこがおかしくなってくるんだ」
「今度逢えるときまで鎮めていてください」
「このままでは氷ででも冷やさなければおさまらないよ」
「可愛い…」
・・・。
最近、浮かれた菊治や冬香に突っ込んでいると、恋をしてるならそういうこともあるんじゃないでしょうか、というご意見をいただくことがあります。
言われてみれば記者、55歳のオッサンと36歳3児の母というところにこだわりすぎ、「お前らもうちょっと冷静になれよ」という指摘に走りすぎていました。
そうでした。恋に年齢は関係ありません。立場だって関係ありません。55歳のオッサンだって3児の母だって、恋をしちゃえばただの一人の男と一人の女です。
浮かれたってしかたありません。
しかたありませんが、しかし・・・
あんな会話も恋をしてれば当然なのでしょうか?
いいえ、信じません。
記者はそんなこと信じません。
これは普通でないとみなさん言ってください。
「声をきいてると、あそこがおかしくなってくる」
記者は最初自分の目がおかしくなったかと思いました。
しかし何度見直しても間違いありません。
では入力や校正の段階で何かがおかしくなったのかとも思いましたが、後を読んでいくとそうではなさそうです。
となるとどうやら・・・
おかしくなったのは菊治、お前の頭だ!
人妻相手に何を訴えてるんだよ、本当に。
いや相手が人妻じゃなくてもそうだけどさ。
何度も言ってるけど、中高生レベルだぞそんなの。
「声聞いてたらこないだのコト思い出して勃ってきちったよぉ」みたいな。
ストレートな言葉っていうから愛の言葉かと思ったらそういうストレートかよ。
しかし冬香もいつの間にこんな返し技を身につけたのでしょうか。
「今度、逢えるときまで、鎮めていてください」
いきなりあんなこと言われて、我が耳を疑うことなくこの返事です。
え?とか、なんとおっしゃいました?とか、恥ずかしいですとか、やめてくださいとかそんなんじゃなくて、この落ち着いた適切な対応です。
そんな風に落ち着いている冬香に対し、菊治の馬鹿さ加減はエスカレートです。
「このままでは、氷ででも冷やさなければ、おさまらない」
とっとと書斎の冷蔵庫を開けろよ、このすっとこどっこい!
そんな言葉も出てこようものですが、恋する女の感性は一味違います。
「可愛い…」
可愛いかぁーっ!?
無理、ぜったい無理、可愛くない、気持ち悪い。
だって考えてみてください、特に女性の方。
自分との電話に興奮して、いきり立ったナニのことを訴えてくる55歳の男。
ありえませんよねえ。
え、可愛いですか?
え、マジで、本当に可愛いですか?
じゃあこれはどうですか?
そのナニを鎮めるために氷をあてがう55歳の男。
これはありえないでしょう。
キモイですよねえ。
今のところ菊治は本当にあてがったわけじゃないですけど、ちょっと想像してみてくださいよ。他人事なら笑ってられても、自分の恋人ですよ。
ウフ、可愛い!(はあと)
そうですか…。
そうなんですか…。
恋の力って、やっぱり偉大なんですね…。
そういえば、ホテルで別れ際にご開帳しちゃった歌舞伎役者さんもいましたけど、同じようなものなんですかねえ…。
いつの間にかすっかり冬香のキャラも変わっちゃってますし…。
もう携帯の秘策がどうとか、芯が強いとか弱いとか関係なく、記者も思います。
女はわからない・・・。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
風花 十三
恋する者にとって、携帯はなにより便利だ。携帯を持っていない人やメールを使えない男は、きっと恋人がいないからだろう。
いまや菊治にとっては必需品である。メールが冬香との唯一だがたしかな命綱だ。
話すのは午前の限られた時間、それもメールで確認してからである。
時候の見舞いに始まり、じき、「早く逢いたい」「大好き」と他愛ない言葉をくり返し、「わたしもです」「お逢いしたいです」と返ってくる。
洒落たことをいおうと思っても、結局ストレートな言葉になる。
「声をきいていると、あそこがおかしくなってくる」と訴えると、「今度、逢えるときまで、鎮めていてください」という。
「このままでは、氷ででも冷やさなければ、おさまらない」と訴えると、「可愛い…」といって、笑い出す。
子供がいれば愛をたしかめる言葉だけだし、夜にはメールも控える。しかし夫に見られる心配はないのか。
冬香は「大丈夫です」と、きっぱりいいきるが、どうしているのか。
夫のいうまま仕えているようで、意外に操っているのかもしれない。
「表面は控えめだが、芯は強いのかも」
冬香の笑顔を浮かべながら、女は分からないと、菊治は思う。
#恋をする者にとって・・・
まさか携帯について解説があるとは思いませんでした。
おまけにメールを使えない奴には恋人がいないのだろうなんて、菊治はまたしても調子に乗っちゃってますけど、まあ、これはあながち的外れでもないでしょう。
ちなみに記者の脳裏に浮かんだのは、クラブのおねえちゃんにメールを送るのに必死にピコピコ格闘する渡辺先生の姿です。
そんなメールを駆使して朝のテレホンタイム。
やっぱり大人の方は違いますね。愛をささやく電話に際しても、きちんと時候見舞いから入ります。
「大寒を迎えたまさに厳寒のみぎり、いかがお過ごしでしょうか?」
「おかげさまで元気です。そちらはいかがおすごしでしょうか?」
「もちろん、ぼくも元気です。ああ、早く逢いたい。大好き」
「わたしもです。お逢いしたいです」
「声を聞いているとあそこがおかしくなってくるんだ」
「今度逢えるときまで鎮めていてください」
「このままでは氷ででも冷やさなければおさまらないよ」
「可愛い…」
・・・。
最近、浮かれた菊治や冬香に突っ込んでいると、恋をしてるならそういうこともあるんじゃないでしょうか、というご意見をいただくことがあります。
言われてみれば記者、55歳のオッサンと36歳3児の母というところにこだわりすぎ、「お前らもうちょっと冷静になれよ」という指摘に走りすぎていました。
そうでした。恋に年齢は関係ありません。立場だって関係ありません。55歳のオッサンだって3児の母だって、恋をしちゃえばただの一人の男と一人の女です。
浮かれたってしかたありません。
しかたありませんが、しかし・・・
あんな会話も恋をしてれば当然なのでしょうか?
いいえ、信じません。
記者はそんなこと信じません。
これは普通でないとみなさん言ってください。
「声をきいてると、あそこがおかしくなってくる」
記者は最初自分の目がおかしくなったかと思いました。
しかし何度見直しても間違いありません。
では入力や校正の段階で何かがおかしくなったのかとも思いましたが、後を読んでいくとそうではなさそうです。
となるとどうやら・・・
おかしくなったのは菊治、お前の頭だ!
人妻相手に何を訴えてるんだよ、本当に。
いや相手が人妻じゃなくてもそうだけどさ。
何度も言ってるけど、中高生レベルだぞそんなの。
「声聞いてたらこないだのコト思い出して勃ってきちったよぉ」みたいな。
ストレートな言葉っていうから愛の言葉かと思ったらそういうストレートかよ。
しかし冬香もいつの間にこんな返し技を身につけたのでしょうか。
「今度、逢えるときまで、鎮めていてください」
いきなりあんなこと言われて、我が耳を疑うことなくこの返事です。
え?とか、なんとおっしゃいました?とか、恥ずかしいですとか、やめてくださいとかそんなんじゃなくて、この落ち着いた適切な対応です。
そんな風に落ち着いている冬香に対し、菊治の馬鹿さ加減はエスカレートです。
「このままでは、氷ででも冷やさなければ、おさまらない」
とっとと書斎の冷蔵庫を開けろよ、このすっとこどっこい!
そんな言葉も出てこようものですが、恋する女の感性は一味違います。
「可愛い…」
可愛いかぁーっ!?
無理、ぜったい無理、可愛くない、気持ち悪い。
だって考えてみてください、特に女性の方。
自分との電話に興奮して、いきり立ったナニのことを訴えてくる55歳の男。
ありえませんよねえ。
え、可愛いですか?
え、マジで、本当に可愛いですか?
じゃあこれはどうですか?
そのナニを鎮めるために氷をあてがう55歳の男。
これはありえないでしょう。
キモイですよねえ。
今のところ菊治は本当にあてがったわけじゃないですけど、ちょっと想像してみてくださいよ。他人事なら笑ってられても、自分の恋人ですよ。
ウフ、可愛い!(はあと)
そうですか…。
そうなんですか…。
恋の力って、やっぱり偉大なんですね…。
そういえば、ホテルで別れ際にご開帳しちゃった歌舞伎役者さんもいましたけど、同じようなものなんですかねえ…。
いつの間にかすっかり冬香のキャラも変わっちゃってますし…。
もう携帯の秘策がどうとか、芯が強いとか弱いとか関係なく、記者も思います。
女はわからない・・・。