今日の愛ルケ(#94)
この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写もかなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。
蓬莱 二十
一度、駆け抜けた道は、二度目になるとさらに容易になる。
頂きに向かって走り出した冬香の腰の動きに菊治もつられて走り出すが、このまま果てるのは惜しく、徐々に動きをとめる。手綱を引き絞り、制御するように躰で訴える。
「少し、待って・・・」
だが冬香はとまらない。いまや冬香のほうが淫らに、貪欲になっている。
そんな積極性は好きだし、愛しいが、しかし男の性にはかぎりがある。無限で末広がり女の性に、有限で先すぼみの性は太刀打ちできない。菊治はゆっくりとブレーキを踏むように、小休止する。
「ああん・・・」と不満そうな声を漏らす冬香。たしかに8合目まで来てとめられては駆け抜けてきた意味がない。
「ごめん・・・」
声には出さず、そっと接吻する。これで我慢して欲しいとばかり、唇から肩口へ、そして耳許へ。
しかしそこが弱いことは知っていたはずだ。滅多なことでは触れてはいけない、その
鞭を打たれた馬のように走りだす冬香に、菊治は慌てるが、一度、「ひひん」と
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滅多なことでは触れてはいけない
え、そ、そんなたいへんなことだったんですか、冬香の耳許って。
ど、どうなっちゃうんですか、菊治は、そして冬香は!?
あぁっ!
報いが・・・
その大いなる禁忌を破った報いが・・・
ふ、冬香が・・・
冬香が・・・
牝馬になって・・・・
「ひひん」と嘶いて走り出しちゃったよー!!
あっははははー!
すみません、先生すみません。
記者、本気で笑ってしまいました。
いやほんと、笑わずにいられませんでした。
狙ってらしたなら思う壺ですが、そうでなければすみません。いままでも何度も笑わせていただきましたが、記者的には今回が一番です。異論はありましょうが、ツボに入っちゃったんだからしかたありません。
だって、「ああん」と不満を洩らして「ひひん」と走り出しちゃうんですよ。しかも地響きまで立てて。
面白い、面白すぎます。
この際、ほんとに「ひひん」と嘶いて走っていったわけじゃないだろ、とかそんなことは言っちゃあいけません。イメージです。イメージだけで十分笑えます。
いやー、今回も頭からいちいち見ていけばいろいろあるんですよ、くすくす笑いながら、でも今回だけは菊治に少し同情しながら読み進んだんですけど、手綱を絞ってたはずなのにいつの間にかブレーキ踏んじゃったりして、お前何に乗ってるねーん!とかいろいろ突っ込んでたのが、終盤、そんなのどうでもよくなっちゃいました。
鞭を打たれて「ひひん」と嘶き走り出す牝馬冬香。
いやーだめだ、想像しただけで笑っちゃいます。すみません、全然ツボが違った方には申し訳ありません。
でもきょうはこれで勘弁してください。
いやー、ここまで投げ出さずに愛ルケを読んできてよかった。
先生、これからもこの調子で頼みますよ!