今日の愛ルケ(#69) | にっけいしんぶん新聞

今日の愛ルケ(#69)

この記事は渡辺淳一先生の連載小説「愛の流刑地」を記者が個人的な視点で読み解く記事で、性的な描写かなり出てまいります。そのような記述を好まない方、ネタバレを嫌う方、並びに15歳未満の方はご遠慮ください。
なお、記者がまとめたあらすじ中の灰色文字部分は、作品のテイストをできるだけ伝えるために原文をそのまま引用した部分です。

再会 十九

冬香の耳許を執拗に追いかける菊治の唇。激しく顔を左右に振って逃げる冬香。繰り返すうちに、ともに加虐と被虐の交錯した妖しい感覚のなかに浸っていく。
しかしそれも長くは続かない。
「やめて・・・」「だめ、だめです」「お願いですから、やめて・・・」
のけ反りながら哀願する冬香。そこまでいわれては止めざるをえない。
菊治が攻撃の手をゆるめると、冬香は放心したように、荒い息をくり返す。
苛められてさらに妖しさを増す冬香。こんな女と、ここで果てて終わるのはもったいない。まだ10時半、時間に少し余裕がある。別の形で結ばれよう。
名残惜しいが菊治は一旦腰を退いて体を離す。
「ああん・・・」
いきなり離された冬香は、軽い失望と不満の入り混じった声を漏らす。そんな好色な冬香が愛しい。
「まだ、帰さない」
かぎられた時間だからこそ、さまざまな形で求めたい。今度は横からだ。しばらく息を潜めていた菊治は再び動きだす。
一度攻められて熱く濡れた冬香の秘所を愛撫し、やがて股間を開き、横からゆっくりと入っていく。
前回と同じで冬香は慣れているのか、自ら腰を浮かして協力し、二人は再び深々と結ばれる。


#「そこまでいわれては止めざるをえない。」

やめるのかよ!
しかも「止めざるをえない」って何故に不可避かよ。

あいかわらず菊治の嗜虐趣味は中途半端で、所詮「趣味」の範囲を出ないようです。どうせなら「主義」と呼べるくらいまでとことんやれば、違った趣きながら世界観にもっと深みが出るかも知れません。

もっとも菊治にしてみれば、爆発手前の時間稼ぎという所期の目的を果たした上に相手にダメージを与えており、それなりに成功だったといえるでしょう。
しかし時間稼ぎは諸刃の剣、持ち時間は限られているのです。もう10時半、冬香は12時に出なければなりませんし、それより前11時にはチェックアウトの時間が来ます。大事なところでフロントからのコールは避けたいところです。

と、言ってはみたものの、ん?ちょっと待てよ。

9:20 冬香入室、抱き付かれてそのままベッドへ。
9:22 自ら脱ぐといってクロゼットの前で脱衣。
9:25 スリップとパンツでベッドイン、抱きしめ合う。
9:27 鎖骨の窪みタッチのあと一気に下半身攻めへ。
9:28 菊治、残忍な計画に着手。
9:35 「欲しい?」「はい」「なにを?」
9:36 菊治、冬香のスリップとショーツを脱がす。
9:37 冬香、エビになる。
9:38 冬香、仰向けに。
9:39 菊治、謎のまじないを数回繰り返す。
9:40 菊治、枕をねじ込み、いよいよ合体。
9:45 冬香、始動。
9:47 菊治、体を起こしてペースアップ。
9:50 菊治、ピンチ。動きを止めて悩む。
9:51 菊治、冬香の思わぬ弱点発見。耳許への攻撃開始。
9:55 冬香、やめてと哀願。放心状態。
9:56 菊治、時計を確認。

おかしいです。
菊治が実はもう10分15分がんばっていたとしても10時半にはなりません。だいたい、焦るな焦るなと焦りまくっている菊治が冬香の入室からここまで1時間以上も引っ張ったはずはないじゃないですか。

だいじょうぶだ、菊治。その時計は間違ってるぞ。ゆっくり行け!

そうだ菊治。
そんな「正面から男が挑む仰々しい姿勢」はやめて、「女にも男にも優しく無理がない」側臥位へと移行するんだ!(#40参照)
たっぷり苛めて妖しさを増した好色な冬香を、優しく、無理なく攻め上げろ!!

支離滅裂なのか、意図して硬軟取り混ぜているのか、とにかく菊治の攻めもいよいよクライマックスです。

なお、一旦離れてせっかくのチャンスでしたが、もちろんここでもナニを装着した様子はありません。この2人に良識を期待するのはもう諦めます。