勝ち組流通、大量中途採用 -人員と人材- | にっけいしんぶん新聞

勝ち組流通、大量中途採用 -人員と人材-

出店拡大、新卒育成追いつかず -8日9面-

有力流通企業が正社員の中途採用を拡大しています。ヤマダ電機は今期、来期と2期連続で年間3000人を超す中途採用を実施、スーパー、コンビニ大手にも同様の動きが広がっています。
一方で産業再生機構の支援を受けるダイエーは約1500人の余剰人員が出る見通しで、米ウォルマート・ストアーズ傘下の西友も昨春、1600人規模の人員を削減しており、採用方針においても“優勝劣敗”が鮮明になっています。


記者は小売セクターのアナリストではありませんが、思うに小売業の順調な成長のためには、本社レベルでの出店・商品「戦略」、店舗レベルでの仕入れ等の「戦術」、そして販売現場での「戦闘」、少なくともこれら3つがかみ合うことが必要であり、それによりはじめて売上・利益の伸長へと結びつくものでありましょう。

そしてもっとも成長を左右するのは、実は戦術レベルでの人材であるはずです。
本社において戦略を立てる人材は一人優秀な人間がいれば足りますが、店舗レベルのマネージメントは優秀な人材を数多くそろえる必要があるからです。
小規模で一定の評価を得た小売業が、成長ステージへと移る際に問題となるのがこの部分であり、いわゆる「急な事業拡大に失敗」する小売業というのは、資金繰りよりも人材の面で問題を抱えていることが多いものです。

日経記事にあるヤマダ電機はすでに日本一の規模ですが、今来期とも50店程度の出店計画であり、各期3000人以上の中途採用というのはそこそこの中途退職者を考えてもかなり多いようにも見えます。しかしそれは店舗マネジメント層から現場の一線まで、人材を重視しているかということの表れなのかもしれません。

さて、そんな家電業界について以前から気になっている「人」の問題があります。
カメラ屋系も含め、家電量販店には必ずといっていいほど、メーカーからの応援人員が来ているのを皆さんご存知でしょうか。一見すると普通の店員なのですが、よく見ると胸の名札にメーカーの名前が入っていたり、「応援」というような表示がしてあったりする方々です。

この方々、非常に失礼な言い方になって申し訳ないのですが、ほとんどの場合、使えません。自分のメーカーの商品についての操作方法くらいはさすがに分かっているのですが、他のメーカーの商品についての知識はあまりなく、この商品はこのメーカーのこの機種と比べてどうかと聞くと、「わたしは○○社の者なので」と答えられない場合がほとんどです。他社製品との比較宣伝には規定があるのかもしれませんが、「ぶっちゃけどうなんですか?」と聞いても、「いや、よくわかりません」などと言われたことはあちらこちらのお店で1度や2度ではありません。
家電屋に行ってわざわざ質問する場合、こちらが知りたいのはまずはどのメーカーのどの機種の機能が優れているかや自分の目的に適しているかであって、具体的な操作方法なんてとりあえずどうでもいいのです。
おまけにこちらが買おうと思っても、価格交渉の権限など持ってはいません。
いったい彼らは何のために売り場にいるのでしょうか。

大量採用を行うヤマダ電機は現在主流の郊外店のみならず、今後力を入れる都市型店舗に人員を厚く配置するとのことですが、ヤマダに限らず家電業界の方々には、現場の一線レベルにおいて「人員」の充足だけでなく、「人材」の強化に力を入れて欲しいものです。
スーパーやコンビニの店頭とは異なり、現場の「戦闘」力のレベルによって顧客の満足度も大きく差がつき、当然売上・利益への貢献にもつながるものだと思うからです。

以上、この冬DVDレコーダーを買うためにあちこち走り回って得た記者の実感でした。