今日の愛ルケ(#25) | にっけいしんぶん新聞

今日の愛ルケ(#25)

密会 二

京都で別れたときは接吻までできたのだからと一応納得したが、いざ離れると落ち着かない。中途半端だ。
きちんとかた(ヽヽ)をつけるべきである。「かた」などという言葉を使うと暴力団のようだが、これ以上冬香に近づくことは愛の暴力団のような気がしないでもない。
しかし冬香に逢いたい。今度逢ったらもっと強く求めそうだと思いは高じる。
とにかく中途半端はいけないと思い、メールを打つ。
「あの夜のことは忘れません。なにか自分が少年にかえったような気がしました」
そしてすぐに逢いたくなると記し、大きなハートのマークをつけた。
翌日届いた冬香の返事は控えめなものだったが、最後に小さなハートマークがついている。ようやく心を許してくれたようだ。
自信を得た菊治が別れたままは辛すぎる、と打ち返すと今度は半日もせず返事が来る。
「辛いのは同じです、あなたがいけないのです」
菊治は決心して、京都まで逢いに行くのでゆっくり時間をつくって欲しいとメールを送った。


#またひとつ名言が生まれました。
「愛の暴力団」
渡辺先生は作品中カギカッコもクォーテーションもなしでさらりと使ってますが、とんでもない言葉です。
一人でも「団」とはこれ如何に、などという疑問はささいなこととして、中途半端に終わった逢瀬のかたをつけるために奪うのはいったい何なのでしょうか。
まあ、それ以前に「かたをつける」という言い回しをする時点で菊治の思考回路に大きな疑問があるのですが。

そして少年に戻ったという菊治。せっかくなので記者が新しい単語を菊治に贈りましょう。
(愛の)少年暴力団。 (藁)

さて恒例のメール交換です。
おそらく渡辺先生は不倫のストーリーに「今のテイスト」を取り入れようとしているのでしょう。
ただ哀しいかな、70歳を過ぎられた先生、かなり失敗しています。
菊治がおかしいのはいまさらですが、冬香までおかしくなっています。
実際のメールは
「またお逢いできて、なにか夢のようでした。寒くなりますから、お体には気を付けて」
そのあとに小さな(はあと)です。かなりの違和感です。不倫へと突き進む人妻のトチ狂った感じが出ているといえばそうなのですが、絵文字メールで今の感覚を出そうとするあまり、本来の冬香のキャラと無理が生じているかもしれません。

浮世から離れていく二人の愛、そして渡辺先生であります。