投機のリスク自覚して -自戒。- | にっけいしんぶん新聞

投機のリスク自覚して -自戒。-

隅田浩氏(レジェンダ・インベスティメント代表) -17面個人投資家NOW-

-最近の個人投資家の動きについて
「日本では、ネット投資家などを見ると投資より投機の比重が高く、賭博のイメージが強い。もっと企業業績や景気動向を踏まえて投資する人が増えてもいい」
-投機のどこがいけないのか
「投機自体は市場の流動性を高めるので悪くない。ただ、ネットの掲示板などを見ると、思わぬ損失を被った時に他人や市場のせいにするなど投機のリスクに無自覚な個人投資家もいる。リスクを踏まえて参加すべきだ」
-個人の中にはレジェンダの売買が相場を動かしているとの見方もあるが
「株価指数先物などの売買回数が多いため目立っているようだが、あくまでリスクを限定した取引が中心で、相場を一方向に動かすような極端な売買はしていない。参加者の多い先物などの市場では無理だ」
-個人へひと言
「とれるリスクや損失など、自分で一定のルールを持って投資するほうがいい。他人のせいにしていては市場では一生勝てない」

(インタビュー記事を要約)

隅田氏ほどマーケット内外で知名度の異なる方はいないでしょう。
一般には全く無名かと思いますが、市場参加者の間ではある種のカリスマであり、海外誌で取り上げられたこともあるほど知名度の高い方です。
国内でもっとも大きな株式先物市場である日経平均先物市場で2割近い売買シェアを誇るビッグプレイヤーで、市場で大口の売買が成立するたび「また隅田氏か?」といわれるほどの人物なのであります。

ただ、個人投資家に限らず機関投資家の中にも日中に日経平均の値段を動かしているのは隅田氏だと考えている人もいるようですが、ご本人がおっしゃるとおりそれは勘繰り過ぎでしょう。大きな売買をすれば結果的に多少価格が動くことはあるかもしれませんが、それで相場を操って継続的に利益を生み出すことは難しいと思います。
とかく豪腕なイメージが強い隅田氏ですが、実際に講演を拝見するとむしろ緻密な努力家といった印象を受けたものです。

さて、そんな氏もおっしゃるように、リスクに無自覚で無責任な投資家が多いのは残念なことです。
記者もネットの掲示板は見ますが、売り買いを煽る投稿は問題外として、分析もせずに買った株に小手先の株価押し上げ策を期待し、実施されないと「経営陣は株主軽視」だなどと真剣に書き込んでいる恥ずかしい輩も見受けられます。
もちろん個人投資家全体のうちのごく一部でしょうが、インサイダーの西武鉄道や粉飾決算のアソシエントのような特殊な例を除けば、投資のリスクと損益の自己責任くらいは理解してから参加して欲しいところです。

などと偉そうに言う記者も、先物が思わぬ動きをした時に「ちっ、隅田(さん)め!」と毒づいたことがあるだけに、「他人のせいにしていては市場では一生勝てないという」という彼の言葉を十分に噛み締めなければなりません

(写真は記事を読んだ後の記者のモニター)