2021年度、京都女子大学の総合型選抜において、
当塾からは文学部と現代社会学部への受験者がおり、それぞれ1名ずつの合格者が出ました。
昨年まで現代社会学部が学科ごとに異なる試験が行われていたのですが、
今年度からは学部でまとめて同じ内容の試験を課すという形式になったことが、大きな変更点でしょう。
ここで重要なのはやはり小論文なのですが、この小論文の特徴は何といっても、
与えられたいくつかのキーワードの中から好きなものを3つ選択し、自由に記述するというものでした。
このタイプの小論文はこれまでの京都女子大では見られなかったものですが、
立教大学の社会学部の過去問に近い形式となっており、この対策が功を奏した結果となりました。
しかしこうした形式以前に、ある程度の文章を自由に書けるという思考力と文章力が重要であるといえます。
よく、過去問が欲しいという声を耳にします。たしかに過去問題は僕自身も欲しいわけですが、
小論文の重要度でいえば、そもそもの基礎力が80%、過去問によって得られる力は20%ほどだと感じています。
現代社会学部は人気が上がっている学部だといえますが、来年受験を考えているなら、
早めに社会のことに対して疑問を持ち、そして改善する自分なりの考えを持つと良いでしょう。
そして文学部ですが、今年の総合型選抜において言及すべきは何といっても、国文学科の試験問題です。
国文学科は講義レポートという形式で、講義の内容を元に小論文を書くという形式で行われました。
今回のテーマは源氏物語だったようですが、その内容は難しく、指定された文字数を書けない受験生も多くいたでしょう。
講義レポートで重要なことは、あらすじにはしないことです。
講義で何が話されたのか、それを理解することは重要です。
しかし求められているのは、その講義を理解することにとどまらず、自分が何を感じたかということです。
理解し、そしてそこから何を感じたのか、それを感想文ではなく論文形式にすることが求められます。
論文というとどうしても文章力だと捉えられがちですが、それ以上に重要なことは思考の深さです。
言語の役割は他者とのコミュニケーションツールが取り上げられますが、
もう1つある重要な役割が、自分自身の思考を深めるというものです。
頭がいい子は早口だという特徴があるようで、
そうでない子は思考と言語の処理が追い付かず、早口で話すことは難しいようです。
このように思考と言語は密接にかかわりあっており、
それは口から出る言葉の速さにとどまらず、奥深さにも関係してきます。
文系の学科が多い京都女子大学においては、やはり言語を大切にすることが求められます。
それは表面的に見える文章の綺麗さにとどまらず、本や論文を読むことをきっかけにし、
吸収した知識などを材料に自らの思考を深めることにも用いると良いでしょう。