311の記録 No1
posted by nijinosizuku
記憶は時と共に色あせていきます。
この日を想い出すことは、正直、とても苦しく、そして切ない。
けれども、何か「しるし」を残しておきたい。
だから、少しずつでも、回想してこちらのブログで書き綴ってまいります。
*******************************
2011年3月11日。
確かに、その数日前から大きめの地震は来ていた。
福島人というのは、地震慣れしている。
宮城沖が揺れても、福島沖が揺れても、茨城沖が揺れても、新潟沖が揺れても、大抵の場合、揺れの余波が福島に到達するからだ。
だから、数日前からの宮城沖の揺れによって幾度か強めに揺れても、その度に「あら、大きかったわね」としか思っていなかった。
そして、「なんだか、続いてるわね~」と。
私は郡山市安積町日出山のマンションの一室にいた。
午後、私は机に向かい、YouTubeで音楽を聴きながら、自分のブログを編集していた。
最後に聴いたのはアギレラの「Beautiful」。
だから、私はこの曲を、再生することが未だに出来ない。
きっとこの先も、自分からこの曲を聴くことはないだろう。
それが14時46分だということは、ずっと後になってから知った。
あの日は、18時半ごろに出かける用事があっただけで、午後はゆっくりPCに向かっていることが出来たので、特に時間を気にかけることもなかった。
二羽いるコザクラインコを一羽ずつ時間差で部屋に放鳥していたが、その時刻の15分前くらいにはどちらもゲージに入れてあったのは、不幸中の幸いと言えるかもしれなかった。
揺れる。
揺れ始めた。ガタガタガタ。
ああ、まただわ、と思った。
揺れ始めてからほどなく、私は座っていた丸椅子のすぐ後ろに密接していた三人掛けソファの上に、自分の身体をスライドさせてすっぽり収まった。
揺れが数日前からやってきていたそれよりも若干強く感じたからだった。
それに、丸椅子ではうまく身体を安定して座っていることが出来なかった。
無意識のうちに、手元にあったスマホだけを、左手に握りしめていた。
ソファのうえで、ある考えが頭をよぎった。
「(スマホで)動画を撮影しようか」
しかし、その考えを私はすぐに打ち消した。
そうした行動を選択する結果として、よくない未来を招いてしまうのでは?と危惧したからだ。
よくない未来とは何か?
私が、助からない未来である。
少ししてから、私は次の行動に出る。
100%、本能から来る行動であった。
「生き延びなくてはならない」 ただ、そう思った。
すべてが一瞬ごとの判断にかかっていた。
一瞬ごとに判断するということを、迫られた。
私は、玄関まで、猛スピードで走り抜けていた。
「玄関のドアが曲って出られなくなったらアウトだ」と思ったためだった。
もちろん、その時すでに、未だかつて経験したことのない揺れを体験していた。
しかし、私が部屋とキッチンのある通路を駆け抜けるとき、まだ床に物は落ちていなかったように思う。
玄関へたどり着き、ドアノブを握ってやっとのことでドアを押し開ける。
すると、私が開けたのと全く同じタイミングで、隣の部屋の男の子もドアを開けた。
「どうも」私たちは、お互いに挨拶をした。
「すごいですよね」
「ええ」
揺れの本番が、そこからだということを、私たちは知らずにそんな悠長な短い会話をしたのだった。
続
この日を想い出すことは、正直、とても苦しく、そして切ない。
けれども、何か「しるし」を残しておきたい。
だから、少しずつでも、回想してこちらのブログで書き綴ってまいります。
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2011年3月11日。
確かに、その数日前から大きめの地震は来ていた。
福島人というのは、地震慣れしている。
宮城沖が揺れても、福島沖が揺れても、茨城沖が揺れても、新潟沖が揺れても、大抵の場合、揺れの余波が福島に到達するからだ。
だから、数日前からの宮城沖の揺れによって幾度か強めに揺れても、その度に「あら、大きかったわね」としか思っていなかった。
そして、「なんだか、続いてるわね~」と。
私は郡山市安積町日出山のマンションの一室にいた。
午後、私は机に向かい、YouTubeで音楽を聴きながら、自分のブログを編集していた。
最後に聴いたのはアギレラの「Beautiful」。
だから、私はこの曲を、再生することが未だに出来ない。
きっとこの先も、自分からこの曲を聴くことはないだろう。
それが14時46分だということは、ずっと後になってから知った。
あの日は、18時半ごろに出かける用事があっただけで、午後はゆっくりPCに向かっていることが出来たので、特に時間を気にかけることもなかった。
二羽いるコザクラインコを一羽ずつ時間差で部屋に放鳥していたが、その時刻の15分前くらいにはどちらもゲージに入れてあったのは、不幸中の幸いと言えるかもしれなかった。
揺れる。
揺れ始めた。ガタガタガタ。
ああ、まただわ、と思った。
揺れ始めてからほどなく、私は座っていた丸椅子のすぐ後ろに密接していた三人掛けソファの上に、自分の身体をスライドさせてすっぽり収まった。
揺れが数日前からやってきていたそれよりも若干強く感じたからだった。
それに、丸椅子ではうまく身体を安定して座っていることが出来なかった。
無意識のうちに、手元にあったスマホだけを、左手に握りしめていた。
ソファのうえで、ある考えが頭をよぎった。
「(スマホで)動画を撮影しようか」
しかし、その考えを私はすぐに打ち消した。
そうした行動を選択する結果として、よくない未来を招いてしまうのでは?と危惧したからだ。
よくない未来とは何か?
私が、助からない未来である。
少ししてから、私は次の行動に出る。
100%、本能から来る行動であった。
「生き延びなくてはならない」 ただ、そう思った。
すべてが一瞬ごとの判断にかかっていた。
一瞬ごとに判断するということを、迫られた。
私は、玄関まで、猛スピードで走り抜けていた。
「玄関のドアが曲って出られなくなったらアウトだ」と思ったためだった。
もちろん、その時すでに、未だかつて経験したことのない揺れを体験していた。
しかし、私が部屋とキッチンのある通路を駆け抜けるとき、まだ床に物は落ちていなかったように思う。
玄関へたどり着き、ドアノブを握ってやっとのことでドアを押し開ける。
すると、私が開けたのと全く同じタイミングで、隣の部屋の男の子もドアを開けた。
「どうも」私たちは、お互いに挨拶をした。
「すごいですよね」
「ええ」
揺れの本番が、そこからだということを、私たちは知らずにそんな悠長な短い会話をしたのだった。
続






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