「モータープール、午前5時」
いつの間にか始まった、それはずいぶん経つらしい、
新たな季節を匂わせながら、
僕は過ぎ行く季節を思う、
何があった、何もなかった、
大きく変わった、
引きずるのは長く伸びてく赤い影、
またひとつ歳だけ重ね、変わらないを吐き捨てた、
回転なんて止めてくれ、
何がどうあろうと興味はないんだ、
そんなふりを決めこむだけだ、
なかなか火がつかないタバコ、
汗のなかで湿ったらしい、ひどい気分だ、
星が円形、ダイナマイトだとしたら、
意地でも火を点けてやる、
消えた光は探さない、
もう帰る気なんてなく、銀幕だけを追いかけて、
ムービースターを夢に見た、リンスカムに逢いゆく、
それくらいしか理由がない
変わらないもの、それは例えばガスステーション、
旅人たちは生まれ土地のナンバー抱え、
生きたい場所を探してる、
ここにとどまる、それは別に嫌いじゃない、
奪い合うカネ、もうそれくらいじゃ何も生まない、
太陽が生きる場所、向かうはそこだ、
解放されて、自らなんて解放してる、
そんな捨て身も悪くはないなら、
明日は明日で新たな光を求めるだけで、
消えたものはひとつひとつ忘れてく、
明日は明日で今日とは違う風になるだけ、
やがては砂へ、そしてそこには誰もいない、
探しているのはそんな風景、
夜が来たならくすねたビールで名前知らずと語り合おう、
何もないから生きてるだけで笑う憂鬱、
口ずさむはアコーディオンの赤い色、
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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
あの人への想いに綴るうた