「神々は黄昏る前に」
神は一瞬だから、
姿や形はないみたい、
神は一瞬だから、
輪郭もない、
神は一瞬だから、
瞬く間に消えてしまう、
神は一瞬だけだけど、
ときに微笑んでくれる、
神は一瞬だけだけど、
どんなものにでもなれる、
朝になったと感じた瞬間、大好きな人と目が合った瞬間、
キスを交わす瞬間や、
暖かい風を感じた瞬間、
いい予感がしたときや、
ささいなことで知らぬ誰かと心を通わせたときや、
ただ光を見つけたときや、
そんな一瞬に神は微笑む
光は続かないから、
長く続くものを光とは呼ばない、
光はあたたかいけれど、
影をつくって闇もあらわにしてしまう、
神は一瞬だから、
閃光と同じ、
一瞬だから閃光にしか見えない、
届かないし触れないから神は閃光のなかにいる、
神は一瞬だけだから、
僕や君にも、
一瞬だけ見える、
神は一瞬だけだけど、
その光は胸に刻まれているはずだから、
黄昏るその前に飛び上がる瞬間を、
黄昏るより先に見上げる光に手を広げる、
僕が君を好きなように、
神は一瞬だけ、
笑顔を見せてくれる、
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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
あの人への想いに綴るうた