∞イケメン・ジョニーはスーパースター? #69 | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

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「ジョニーにいきなり難問が。」


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「……いつでも相手になるわよ……かかってきなさい。あんたの全身の骨を砂利みたいにしてやるわよ」
「じゃ、じゃり……。あの……赤と白のボーダーを着た……メガネの外人……?」
「……なによそれ……?」
「俺ね、一度も見つけられなかったんだよ……」
「お前さん、そりゃ砂ー利ーじゃろ……」
「チャーリーよ‼ めんどくさいわね、あんたら!」

 スウィートの1フロアを自由に使い、どうやらそこを住居にしているらしい謎の老人。
 ジョニー率いるザ・シガレッツのパフォーマンスを目撃した彼によって召喚されたのだが、老紳士が放つ一言で場の空気は一変する。

「お前さんら……わしと取引しようではないか」
 君、そう言って老紳士は顎をしゃくる、どこから聞いていたのか、付き人らしきは恭しく彼にファイルを手渡す。
「ずいぶん……ずいぶんムチャな活動を続けているな……じゃが借金はまるで減っておらん……」
 眼光鋭くファイルをめくる、おそらくはバンドを取り巻く状況すべてが調査されているのだろう、彼は自らが持つ力がジョニーらとはまるで次元の違うものであることを態度でもって示している。

「そんなこと……そんなことないよ……分かんないけど……。え、あるの……?」
「あるわよ……ドンピシャってやつ……」
「だからこそ、じゃ」
 射抜く視線で彼はふたりを見定めていた。左右の眼がそれぞれの意思で動き、それぞれに威圧するかのようだった。
「わしの傘下に……メディア展開に相応しいコンテンツを持たない部門がある。ジョニーくんとムスメさん……君らふたりをスタアにしたいと思うわけじゃ」
「す、すたぁ……」
「バンド……バンドでってことじゃないわけよね、それ……」
「無論。あんなガチャガチャ騒々しい音楽なんぞ売れはせん。ムスメさんとジョニーくん……他のメンバーは何人か見繕ってある。片手間に音楽もやればいいだろう、曲は用意すればいい。ジョニーくんなら映画に、ムスメさんならグラビアに……多方向アイドル集団のような売り方じゃ、時代のアイドルを作るのが目的じゃ。やがてはグループの看板になる」

 バンドではなかった、彼のなかにバンドへの幻想はないらしい。
「じいさん……じゃあ、ヒラサワくんと天野くんは……」
「彼らに仕事が必要なら、なにかポジションをつくれば良い……衣装持ちでも付き人でも経費で落ちるしの。……もっとも、いまのバンドが仕事だとは思えんがね……君らはスタアになり借金もチャラ、迷うこともあるまい」
 もう良い、とばかり彼はファイルを閉じる。
「今のまま放蕩者としてバンドをやるか、無価値なこだわりなど捨ててわしと組むか。考える間もなかろう……」
「そんな……」
 まどかさんでさえも置かれた現実に砕けそうだった。見ないふりを続けたことでもあった。
「ジョニー……どう思う、あんた……?」




<いつもとは違う雰囲気のまんま次回へ……>

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前回まではおバカさに突き抜けたロックンロール

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あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう…… 流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
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あの人への想いに綴るうた

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