「花殺しのジルドレ」
冷たくとも花は咲く、
煤けた地に開く白は体温さえなく、
それでも吹きすさぶなかを生きていた、
健気な姿を見つけたジルドレ、
か細く弱いそんな色に見とれてた、
いくつも微か、色づきながら、
風に煽られ散る花びら、
悲しそうで泣きそうで、
ジルドレなぜか憂鬱げ、
背中で風を避けながら、
花の首絞め、根から千切った、
泣くことなんてもうないと、
ジルドレ、膝を震わせる、
華はなくとも花は咲く、
焼け野原に開く赤は感情さえなく、
それでも荒らされるなかを生きていた、
生きる悲しみ気づいたジルドレ、
か弱く泣くそんな花を踏みつけた、
いくつも微か、
色づきながら地に落ち絶えた花びら一枚、
悲しそうで泣きそうで、
ジルドレなぜか憂鬱げ、
踵に命を捩るだけ、
花の根を絶ち、そして思った、
泣くことなんてもうないと、
ジルドレ、膝を震わせる、
art by AYA
あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)
あの人への想いに綴るうた
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