暴君クラウス -world's end mix- | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

〝JACKPOT DAYS〟-image


暴君クラウス

そのとき彼は、眼下に広がる景色を見てた、
刑台上に俯くクラウス、その顔に色らしきは浮かんでいない、
諦めも奇跡も待たない、受容しているわけもない、
運命なんぞに抗い続けた、
さだめなどには唾吐き続けてここまできたんだ、

最期の舞台が刑台だろうと、
見下ろす世界は変わりもなく滑稽で、
無駄吠えだけの飼い犬ばかり、
僕の首を捻り斬ろうも、
やはり群れなす者には幻にしか映らない、

アジテートは快楽だった、天に中指さえ立てた、
拳ひとつを突き上げた、いまこの場にして思う、
怒号と歓声、そのふたつに大差はないと、
暴君から英雄へ、そしてまた暴君へ、
加虐と刺激の言動だけで、
踊らせてきたのは僕で、踊らされたのは群衆、
栄華の先には破滅が待って、その仕組みは神なるものか、

まるで反吐が出そうで込み上げる笑み、
幸福という幻想を、束の間、等しく与えたろう?
眼下に広がる景色は飽きた、何ひとつも変わらない、
享受がすべてなのだとしたら、一体、何が欲しかったんだ、

クラウス、欠伸を咬み殺す、
シュプレヒコールはうるさいだけだ、
ずっと遠く空を見る、口をつくのは生まれ育った小さな農村、
水辺で歌った四季の歌、もう忘れたはずなのに、

いまになって胸に鳴る、
今頃きっと雨季を迎えたころだろう、
一瞬であれ、この世のすべてを手にしたはずなのに、
愛した人はいなかった、

いまさら遅いや、だけど後悔するほど愚かしくない、
暴君クラウス、四肢を貫く鉄線に、
しかめることもくだらない、左右から向くピストルが、
鳴らされるのを待っている、いまこの瞬間見た光、
そいつだけは持ってゆこうと目を閉じる、
加虐と被虐の果てに見る、この高みだけは僕の世界だろうと、

僕はいま、誰より天に近い場所、そこにいる、
僕はいま、昇る意思のない者にはたどり着けぬ高みにて、
さらなる高みを眺めてる、


━━━━━━━━━━━━━━━

〝JACKPOT DAYS〟-image



〝JACKPOT DAYS〟-image

〝JACKPOT DAYS〟-image

あの夏、ぼくらは流れ星になにを願ったんだろう……
流星ツアー(表題作を含む短編小説集)



〝JACKPOT DAYS〟-image

あの人への想いに綴るうた

〝JACKPOT DAYS〟-image