暑い、あまりにも暑い。
この星の生命ははなにをどうすれば、このような熱のなかで活動できるのか。圧倒的な太陽エネルギーを保有しているうえで、さらに熱源になるものを自ら生産している。間違いなく温暖化しているではないか、本当に冬季などやってくるのか、歩くのも困難な状況ではないか。
ペンギン星人は環境をぼやきながらペタペタと歩く。すぐ後ろに少年がついてくる、彼は彼で周囲が気になる、なぜならベラベラと口うるさく理屈っぽい着ぐるみと歩いているところを見られたくないからである。
「ペンギン星人さん、少し静かにできない? 着ぐるみ……いや、他の星から来たヒトなんて、ただでさえ目立つんだからさ」
「問題ない、君の言うように、私はこの星ではペンギンとしてしか認識されないだろう、なんら違和はない」
はぁー。少年は溜息を混じらせる、ペンギン星人はペンギンに言語能力がないこと、そしてその生息地は日本にはないこと、なにより、ペンギン星人のその容姿はペンギンには見えないであろうこと。結局のところ、ペンギン星人はそれを分かってはいなかった。
「そもそもね、君はなぜ地球に来たの?」
「愚問だ、他の星からの来訪者の目的など往々にして決まっている」
「地球侵略?」
「正解だ、私たちペンギン星人は移住可能な惑星を探している、ペンギン星は環境悪化が進んでいる、そこで私がこの星の調査に訪れたわけだ」
うわ、ベタだなあ……。少年はそう思ったがなにも言わなかった、ペンギン星人に地球侵略などという大それたことは出来そうにない。
「しかし暑い、我々ペンギン星人が活動できる環境ではない……」
じゃあ侵略しても仕方ないじゃん……。馬鹿なんだな、ペンギン星人は……。
「君、そろそろ調査を終えないか? この星の生命の知的水準の低さが理解できた気がする……」
「え、また僕ん家に……?」
「私には他にゆく場所がない」
こいつ、地球侵略なんて絶対にムリだな……。早く帰ればいいのに……。
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