∞イケメン・ジョニーはスーパースター? #16 | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

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「イケメン・ジョニーがライヴに挑む?!」


「ジョニー、見ろ、一ヶ月後には俺たちがあのステージで演るんだ」
 天野くんが言う。トレードマークのニット帽は被っていない、茶色く染めたトサカを固めて立たせ、その姿はさながら串団子を連想させる。
「天野くん……アタマに槍が……」
「槍じゃない、モヒカンだよ。ジャックスタイルのさ。ちょ、ジョニー、触るなって……。このアタマは言わば、戦闘用の天野ジャックってワケだ」
「戦闘なら天野弱になっちゃダメだよ。けど、天野くんってこんなアタマしてたんだね」
 未知の生き物に遭遇してしまった、だが、その生き物は外見に反して危害を加えるような種類でもない。ジョニーは天野くんのアタマを不思議そうに見ている。
 ふたりから少し離れたところでヒラサワくんはビールに口をつけていた。

「で、ここは?」
 フロアは薄暗く、紫煙が霧のように漂う。がらんと広い地下1階には、地上には出られないような不気味な出で立ちの男女が入り混じり、タバコをふかすなりビールをあおるなり、めいめい好きなよう雑談に興じていた。
 剣山のように、あるいは怒り狂ったハリネズミのように髪を逆立てている者もいれば、目の周囲を撲られた痕のように塗りつけた女もいる。

「ジョニー、ここはライヴハウスだ、俺たちはここでライヴをやるんだよ」
「よく見てなよジョニー、すぐに始まる」

 ライヴハウス「ブラックダリア」。
 近隣のインディーズ・バンドが集まるライヴハウスである。数こそ少ないが、ブラックダリアからメジャーデビューを飾ったバンドもいないわけではない。
 ライヴを前に解散寸前にまで陥った、だが、ひょんなことからジョニーをバンドに発見しバンドに引き入れた。あまりに特殊なキャラだがコイツには何かがある。
 自分たちバンドが何をしようとしているのか体感させよう、それが天野くんの狙いだった。
 第一、口で説明したところでどうせ理解はしまい。

 会場のBGMがフェイドアウトし、ステージにだけ照明が集まる。
「ジャンクフード・イーター!!」、そう聴集のひとりが叫ぶ。
「……そろそろ始まるよ、見てなよジョニー、俺たちはもっとすごいロックンロールをやるんだ」
 返事はなかった。人混みに紛れたのか、いや、あいつは人混みのなかでもムダに目立つ、どこに行ったんだ?
「天野くん、ジョニーなら向こうに……」
 背後からヒラサワくんが解答した、親指で出入口付近を指差している。

 ジョニーの周囲には数本の空になったビール、食べ散らかしたナッツやスナック菓子が散乱していた、ポップコーンのバケツを抱いてジョニーは座り込んでいた。
「遠足かよ!! ジョニー、何やってんだよ!!」
「ハンバーガーまで持ち込んでたんだ、ジョニーくん……」
 ふたりの呼びかけに反応はない、空腹を満たし、酔ったジョニーはすでにすやすやと寝息を立てていた。

 ジョニーの寝顔は仔犬のように無防備だった。




※次回、いよいよジョニーがステージに?!
緊張と弛緩の次回へ続く。
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失笑必至の前回まではこちら♪




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