星屑のロビンソン <12> | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

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「ぼくはわかったんだ、いや、憶い出した……」
ロビンソンはココとザジに静かに話しはじめました。

ぼくがなぜこの世界に産まれたのか、それから、なんのために造られたのか。
ノアがこの星……地球に漂着してしまったとき、ヒトが生命活動を維持できる星じゃなくなっていることはすぐに分かった、だけど、ここしかなかったんだ。
ノアの航行は限界で、適正した星を探すことはもうできなかった。
ココ、きみはずっと後悔してる、たったふたりしかいないヒト……ジタンとニーナをこの星に連れ戻してしまったことに。
だけど、ここを選ばなかったら、ぼくらアンドロイドもヒトも、宇宙空間で塵になってしまうところだった。
結局、ヒトは生まれた星にしか生きられないような気がするんだ。


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「これを見て」
ロビンソンの左の眼が輝き、ホログラムを映し出しました。
それはロビンソンを造ったヒト、そしてその彼女が話したこと、この宇宙船ノアに託された、最後の願い。
最期を迎えつつあった、人類と動物たち。
そのすべての記録。
たくさんの、笑顔。

「ココ、ザジ。ぼくはきみたちとは違う。他の惑星でヒトが未知の危険に遭ったとき、それを救うためにつくられたアンドロイドなんだ」
でもね。
ロビンソンは続けます。

それはテラ・フォーミングというプログラムがされているからなんだ。
テラ・フォーミングは惑星改造ってことなんだけど、それはぼくだけではできない。
ぼくが持っていた右眼と、ぼくの同じ機能を持つアンドロイドの能力によってしか出来ないことなんだ。

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彼がそうだ。
名前はポセイドン。だけど彼はノアの不時着で大きな故障をして、僕の右眼を奪って去った。
ザジ、ポセイドンは敵じゃない。
だけど、僕らを攻撃してくる。
彼は排除、排撃のプログラムをされてるんだ。
熱源をすべて敵として攻撃するのが彼の役割なんだ、だけど、この星が生命を維持できる星じゃないと識別してしまってから、すべての熱源……ジタンやニーナだけじゃない、ザジやココ、それに僕も敵だと思うようになってしまった。

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「見える?」
ホログラムにはパラボラアンテナやソーラーパネルが取り付けられた、巨大な塔を映し出しました。

ポセイドンはここにいる。数百年前、ノアが発射された宇宙基地。ぼくらが造られた研究所……。
かすかな太陽の光で、いまも動き続けてる。
そのエネルギーのおかげで、ただ一つ凍ることのない人類の最期の建築物に彼はいる。

僕はここに行かなくちゃならない。



illustration and story by Billy.



<つづく>



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