食料自給率とは、一つの国の中で消費される食料のうち、どの程度が国内産でまかなわれているかを表す指標です。
個別の品目ごとではなく、総合的な自給率で表し、
『カロリーベース総合食料自給率』と『生産額ベース総合食料自給率』の二種類(1)があります。
日本の2010年度・食糧自給率は、カロリーベース総合食料自給率で39%、生産額ベース総合食料自給率では69%となっています。
30%も違いがありますね・・・
日本国民の意識としては、7割の人が食料自給率を低いと感じているそうです。
では、ほんとうに「低い」のでしょうか?
自給率の計算方法を見てみましょう・・・
カロリーベース総合食料自給率
国民1人1日当たりの国内生産カロリー ÷ 国民1人1日当たりの供給カロリー
国民1人1日当たりの供給カロリーとは
国産供給カロリー + 輸入供給カロリー + ロス廃棄カロリー の合計です。
分かり安く説明するために「係数」を全て「1」とします。
国民1人1日当たりの国内生産カロリー「1」÷ ( 国産供給カロリー「1」+ 輸入供給カロリー「1」+ ロス廃棄カロリー「1」 )
「1」÷ ( 「1」+ 「1」+ 「1」 ) → 1÷3=33.3%
つまり、この場合のカロリーベース総合食料自給率は約33%となります。
計算上、輸入供給カロリーとロス廃棄カロリーが「0」に近づくと、カロリーベース総合食料自給率は100%まで上昇します。
「1」÷ ( 「1」+ 「0」+ 「0」 ) → 1÷1=100%
大量に輸入して、大量に捨てると自給率は下がります。
輸入供給カロリーとロス廃棄カロリーが2倍になったとします
「1」÷ ( 「1」+ 「2」+ 「2」 ) → 1÷5=20%
この場合のカロリーベース総合食料自給率は約20%まで下がります。
日本で「ロス廃棄カロリー」が高い原因は以下の三つが指摘されています。
(1) 現代人が好む揚げ物では調理に使われる油脂はカロリーベースでほぼ全量が廃棄されている。
(2) 生ゴミのうち食べることが可能な部分が捨てられたものは、2002年では38.8%を占めていた。買ったままの状態で捨てられていたのは11%で、その6割が賞味期限の前に捨てられていた。
(3) 外食産業では、宴会や披露宴、宿泊施設での食べ残しが13~22.5%と多い。
現実の食卓では「小売店の店頭に並び」、調理され「食卓に運ばれても」売れ残り・食べ残しなどで廃棄されてしまう食材量(カロリー)が相当数あります。
計算の分母となる供給カロリーは2573kcal(2005年)ですが、日本人が一日に摂取する平均カロリーは1805kcalで、それ以外の768kcalは食べられることなく廃棄されている計算になります。
また高い食品廃棄率の原因として、品質の過度の追求、具体的には外見に重きを置きすぎる品質基準や、製造年月日に過敏すぎる消費者の購買動向があげられています。
カロリーベース総合食料自給率は廃棄した食品が多ければ多いほど食料自給率が低くなるような仕組みとなっているのです。
生産額ベース総合食料自給率はシンプルです。
経済価値に注目する場合には、より的確に示すために生産額を使います。
生産額は価格に生産量で個別の品目の生産額を掛けて算出し、足し上げて国の食料生産額を求めます。
国内の食料総生産額 ÷ 国内で消費する食料の総生産額
平成18年度の生産額ベースの食料自給率は
食料の国内生産額 [10.2兆円] ÷ 食料の国内消費仕向量[14.9兆円]= 68%
だそうです。
農林水産省の試算では日本の2010年の品目別自給率は
穀類 27%、(内訳:食用穀物 59%、粗粒穀物 1%)、 いも類 75%、 豆類 8%、 野菜類 81%
果実類 38%、 肉類 56% (飼料作物の自給率は約25%)、 卵類 96%(同左)、 牛乳・乳製品 67%(同左)、
魚介類 54%、 砂糖類 26%、 油脂類 13%
穀類、豆類、油脂類が低く 野菜類、卵類が高いですね・・・
第二次世界大戦以降のアメリカによる小麦戦略(2)の影響などで、主要先進国でも日本ほど食事の変化した国はありません。
注目すべき「情報」を目にしました。
統計などで目にする各国の自給率は日本の農水省が独自に推計したものであり、日本を除く海外諸国はカロリーベース総合食料自給率の計算をしていないそうです。
雑誌「農業経営者」がこの計算方法について農水省に取材したところ、「食料安全保障の機密上出せない」との回答があったそうです。
食料安全保障の機密上出せない
とはどういう意味なのでしょうか・・・?
農水省がカロリーベースの食品自給率にだけ国民の目に触れるように仕向け
食料自給率の低さは「我が国の安全保障の問題だ!!」
と「プロパガンダ」をするのであれば、
私たちは「輸入食品は極力控え」「廃棄食品を減らし」
「国産米」を主食とし、自給率の高い地元産の「野菜」や「玉子」を極力「油脂」を控えた調理方法で行えば
今の生産量でも、
私は「食品自給率」が国民の「安全保障」に関わる問題だとは思わないのです。
Nico
引用 : 食料自給率とは(農林水産省)、どれがホント? 3種類ある食料自給率とは、Wikipedia
(1) 重量ベース主食用穀物自給率というのもあります。
どれがホント? 3種類ある食料自給率とは
http://allabout.co.jp/gm/gc/293643/
(2)農林水産図書資料月報
「アメリカ小麦戦略」
http://www.junkan.org/main/katsudo2/kyusyoku/americakomugi0307.txt
食料自給率とは(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html