2016年10月11日は「日本のコーポレートガバナンスが死んだ日」になった。この日、先行するTOB価格より60%も高い、しかも、8年もの間、さが美との信頼関係を築いてきたNHCの対抗TOBの提案が、何らの対話も回答もないまま葬られた。売主であるユニー・ファミリーマートHDと、対象会社であるさが美は、「現にTOBが開始されていない」「信頼関係がない」など、後付けで苦し紛れの理由を提示しているが、全く説明になっておらず、ないし、虚偽である。

この両社の取締役の行動が、株主に対する取締役の善管注意義務違反を構成することは明らかであるばかりか、東証のコーポレートガバナンス・コードにも明確に違反する行為であり、既に海外投資家からは疑問の声が上がっている。NHCは東証に制裁措置の発動を要請したが、これにもなしのつぶてである。日本を代表する法律事務所・証券会社・東証が関係しながら、この杜撰な対応がなされた背景には、銀行の影も見え隠れし、利益相反の香りがする。

明日12/16は、さが美の臨時株主総会である。スチュワードシップ・コードに署名している機関投資家はもちろん、株主はどう行動するのか注目したいところである。

 

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http://diamond.jp/articles/-/111383