- 神様のカルテ 2/夏川 草介
- ¥1,470
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すでに神様のカルテ から名作だったこの本。
「2の方がもっと面白いよ」
とのお話が各方面からあり、「1でも面白いのにさらに?!」と自分のハードルがとても上がっていた作品です。
やっと図書館の予約がまわってきたので嬉々として読みました
いやぁ。私のハードルなど軽々と越えていきましたね。名作です。
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松本市内の病院で24時間、365日医者として働く栗原一止(いちと)。
一止の働く病院に内科医として、学生時代の同期の進藤がやってきた。
ただでさえ休みなどない医者の負担が少しは減るかと思いきや、久しぶりに帰ってきた彼は事情を抱えていて・・・・。
そしてこの病院に無くてはならない人物に病魔の影が・・・。
医者の人権や地域医療の問題。「命」を描いた傑作小説。
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あいかわらず夏川さんは文章が上手いです。
文豪の小説を読みつくすとこんな流れるような文章が書けるようになるんでしょうか?
一止さんの古風な物言いが引っかかるでもなくさらっと入ってきて、それをさらっと受け止める周りの人たちが居て・・・。
なんともいえない暖かさを感じます。
今回の話は地域医療が抱える矛盾や、「医者は医者として生きなければいけないのか」というかなり重い命題が主軸にあります。
多くの人を救うのが医者の役目なら、医者自身の生活はどうなってもいいのか??
でも、患者やその家族にとってはまず「治して欲しい」という思いがあるし・・・。
そんな中でラストのほうに出てくる(これ、ネタバレじゃないよね?帯に書いてあるし・・・)
一止さんの台詞
「医師の話ではない。人間の話をしているのだ!」
という言葉に胸を打たれます。
そして、こういう紹介は好きではないですが、1では命の重さや生きる尊厳が伝わってきて、「泣く」というよりは「暖かさ」の残る本でしたが、この2は思わず涙してしまいました。
電車で読むことはオススメしません。私はカフェで読んでましたが隅っこの席でよかった・・・と思いました。
ただ「死」を書くから悲しいんじゃない。
そこに込められた人の思いを丁寧に書くからこそ、その思いをおもんぱかるからこそ心に響くんだ。
と改めて感じさせてくれた作品です。
ラストの清涼な風がふきぬけるようなまとめかたも流石。
なんとも先がおそろしい作家さんです。
★★★★★
(文句なしの5つ。間違いなく名作です。読んで損はしない作品。手元に欲しいので文庫化が待ち遠しいです)